俺たちは爆弾落として後は知らないよ(笑)
──今回アルバムタイトルにもある「バビロン」という言葉は、FOOLSの曲によく出てきますが、レゲエとかを聴いてないと、意味を知らない人も多いですよね。
誠二 俺もバビロンは正直よくわからないだよ。それは良さんに。
良 だからそれを話し出すと長くなるからさあ…。10時間ぐらいかかるよ。
誠二 核心的な所はわかるけど、説明するとなると。
──たぶん、東京に住んでる人のほとんどは自分が住んでいる場所がバビロンだとは思ってないじゃないですか。それでFOOLSをたまたま聴いちゃうといきなり「おい、お前の住んでるのはバビロンだぞ!」って言われてしまう訳で。
良 まあ、だから歌聴けばわかるじゃない。それでいいんだと思うよ。山の中でバビロンとか言ってもしょうがないし。
──いわゆるヒッピーのように山とか田舎に行かずに、FOOLSがあくまで都市でやり続けるというのは何でなんでしょう?
良 そりゃ田舎行くのも金かかるし、仕事もないだろ。
誠二 いや、闘うとか何とか、もう少しカッコいいこと言ったほうがいいんじゃないの?
良 闘うもなにも、俺たちは爆弾落として後は知らないよ(笑)。
森 私が言うのもなんですが、FOOLSのよさってそこだと思うんです。レゲエとかラスタファリアンの人達とは違った表現ができるのがFOOLSだから。思想が先にあるわけじゃなくて、それこそ健みたいにノンポリな所から入った人がいろんなことを吸収していくというのがFOOLSなんです。最初から「バビロンだ!」って所から始まってない。
誠二 まあアルバムタイトルだからそこは食いつくよね。でも残念ながら俺たちもあんまり語れないんだ。本人(耕)がいればもっといいこと言ってくれると思うんだけど。
──早く旅から帰って来て欲しいですね。ただ、去年の3.11、とりわけ原発事故以降はそういうバビロン的なシステムに気づく人が増えてきてると思うんです。世の中おかしくね?みたいな。
良 逆に言えば、そういうことを昔の奴らは知ってたんだけど、今の20代、30代ぐらいは知らないように育てられちゃったんだよ。それにようやく気づいてきたっていうのが…、あー、めんどくせえ。
誠二 そこは良がちゃんと語ってくれないと(笑)。
良 だから60年代70年代生まれの親の子供達がようやく20代ぐらいになって、今やっと気づき出したってこと。10代はどうか知らないけど。
誠二 まあそういう意味でも、いいタイミングでCDが出たと思うよ。
今は着陸して整備中だけど、また発進するよ。
──最近よく考えるんですけど、もし耕さんが今ここにいたら何やってるのかなって。
誠二 いたら真っ先に被災地に飛んでってるでしょう。それは手紙にも書いてあったけど。
森 『NO MORE WAR -地球の上で-』(1991年リリース)の時もちょうど湾岸戦争が起こって、今ここで声あげなきゃだめだって、その時も突貫工事でアルバムを作ったんですよね。このアルバムも「TV EAZY」と同じで、今でも説得力があるのが果たしていいことなのかとは思いますよ。
誠二 実際「TV EAZY」を最初聴いた時は俺もあんまりピンと来なかったんだけど、今は自分で歌っているというのもあって、気持ちが入るね。サウンド的にも全然成り立っていると思うし。
良 まあこのアルバムは売れると思うよ。下北では評判いいらしい。一軒だけだけど(笑)。
──いやホントにいいアルバムなんで、あとは聴く機会さえあればと思うんです。ライブを見る機会でもいいですが。
誠二 ライブもどんどんやっていきたい。二人になろうと一人になろうと。
良 今は着陸して整備中だけど、また発進するよ。
──対バンもどんどんやってく感じですか?
誠二 誘われればどこへでも。むしろ知らないバンドとやりたいね。
──今の時代は特にFOOLSみたいなバンドが必要なんだと思うんですよ。
森 毎回そう言われるんですけどね…。
良 こういう時代だから。俺たちは先駆けだからね。さすがFOOLSは読みが早い!って言われるよ。ヨミじゃなくてノミか(笑)。
誠二 このCDが起爆剤になってくれればいいよね。今まで聴いてきた人には賛否両論だと思うし、それは覚悟の上なんじゃけど、FOOLSを知らない人にも聴いて欲しいね。
──確かに初めて聴くのにいいかも。選曲もある意味ベスト盤的ですし。
誠二 それは戦略でもあるかな。
良 俺は新しいと思うよ。聴くのが怖いんだよ。もってかれちゃうから。
誠二 まあ音は20代のバンドみたいだから。若々しいというか(笑)。
──とにかくFOOLSを聴く人が増えれば日本はもっとよくなるはずですから。
誠二 そこまで言っちゃいます?
良 日本もアラブ化する? いよいよ春が来るね。
誠二 もうじき耕も帰って来ますから。なにより本人に早くこのCDを聴いて欲しい。
──きっと嬉しいでしょうね。こんなふうに出迎えてもらって。
誠二 すねてるかも。
森 今はすねてるかもしれないけど、自分の送った詞がこんなふうに曲になっているのを聴いたら喜ぶと思いますよ。
誠二 まあこんなバンドいないからね。向こう側から歌詞が送られてきて、それに曲をつけてレコーディングするバンドは。
森 だいたいヴォーカルがしょっちゅう旅に出るバンドなんてないから…。
誠二 最近はネットとかで離れてても曲が作れる時代だけど、俺らは手紙でやりとりするしか手段がないからね。こんなアナログなバンド日本にいないでしょ。それも画期的じゃないかと思いますわ(笑)。
伊藤耕(vo)1955年東京生
川田良(g)1955年東京生
福島誠二(b)1964年広島生
庄内健(ds)1984年秋田生