hare-brained unityが約2年ぶりのオリジナル作品となる、ミニアルバム『4 ON THE FLOOR』を10月5日にリリースした。こちらは和田大樹(b. / prog)が立ち上げた、プライベートレーベル"Play decibel"の第1弾となる。4つ打ちの踊れるダンスビートは変わらずに、"ヘアブレ像"を追究し、より輝きを増したサウンド、歌に寄り添った音作り。2年前にリリースされた『Awake Disco Musik』と聴き比べても、違いは一目瞭然だろう。2年の間に20代から30代に入り、彼らが何を思い、この作品に取り組んだのか。今回は、hare-brained unityのメインコンポーザーである和田大樹に話を訊いた。(interview:やまだともこ)
自主レーベルの設立と第一弾リリース
── 確か8月ぐらいにWEB Rooftopで“hare-brained unityの新作リリース決定”というニュースを掲載したら、Twitterを通してすごく反応があったんです。待っていた人が多かったんだと、あの時にすごく感じましたよ。前作『Awake Disco Musik』が2009年7月のリリースで、今日に至るまでライブはたくさんやっていましたが、それ以外はどんな活動期間だったんですか?
「前作をリリースして、曲を作ろうみたいな感じでもなく1年半ぐらいはライブだけをやって。昨年の終わりぐらいに“来年CD出したいね”という話をして、『HELLO』とインストの『one』以外は今年に入って作り始めました」
── 前作をリリースして燃え尽きた感じだったんですか?
「いつもそうなんですけど、出そうって決めてから曲を作る事が多いんです。スイッチが入ってからじゃないとあまり作らない。今回入っている『HELLO』はデモ音源をライブ会場限定で配って、そうやってライブに絡めて作るというのはあったんだけど、あとはライブばっかりやっていたから」
── 誰かに急かされたりしないんですか?
「しないんです(笑)。今回は自分で急かしました」
── 今までは和田さんが作曲をして、布谷さんが歌詞を書くことが多かったですが、今作の『4 ON THE FLOOR』は全曲和田さんが作詞・作曲をされたのはどういった経緯なんですか?
「布谷以外の誰が歌詞を書いても曲を作っても良いと思っているんだけど、今回俺が作ったデモを聴かせた時に、良いんじゃないかって感じだったから、歌詞も書こうかなと思って」
── 言いたい事が溢れ出てきた?
「歌ってる人じゃないからというのもあるんだけど、言いたい事はそんなにないんです。俺自体は普段生活をしていて不満があるわけでもないし、訴えたいことも特にないんだけど、歌詞を書こうと思って書けないことはない。そんなに声を大にして言いたいことはないけれど、普段思ってることぐらいだったら書ける。今回の作品には入ってないんですが、この間も3時間ぐらいで書けたものもあります」
── 歌詞はこういうテーマで書こうというものも特になく?
「そういうのもなくて、ピアノで歌のラインが入っているんですけど、聴いているとどこかに日本語とか英語の言葉が浮かぶので、そこから広げていくんです」
── テーマがないとは言え、全体的に恋愛を歌った曲が多いですよね。
「『HELLO』だけ歌詞を書いた時期が違うので微妙に違うんですけど、今回書いたのは結果そうなったというか。恋愛って誰でもするものだから、聴いてくれた誰かが共感することが多ければそれで良いかなって。歌詞も小難しくなくて良いと思っているんです。布谷の歌詞は想像力を働かせるとか、答えをお客さんに委ねるような言葉が多いんだけど、俺はこの人こういうことを言いたいんだということが1回聴けばわかるという歌詞を書きたい。だから、そんなに時間がかからないんです」
── 自分で書いた歌詞だから、布谷さんにこう歌って欲しいということは伝えるんですか?
「歌詞に関しての意味とかのディスカッションはあまりしてないです。誰にでもわかりやすい言葉しか使ってないし。ボーカルのディレクションはしますけど」
── 今回のレコーディングは、ディレクターとかエンジニアの役割をほぼ和田さんがやっているんですか?
「そうです。ドラムやボーカルを録ってもらったりはしましたけど、ギターとベースは自分でレコーディングして、ミックスもやって、マスタリングはやってもらいました」
── ずっと作業していた感じですね。
「今年に入って曲を作り始めて、レコーディングしてミックスして、自分のレーベルから出すので、デザイン関係の入稿や発注等々やっていたら、今年これしかやってねえなみたいな状態ですけど(笑)」
── もう今年も終わっちゃう、と(笑)。でも、となると今まで以上に思い入れが強い作品じゃないですか?
「全部思い出も思い入れもあるんですけど、CDってこういうふうに作って出るんだなという過程は見れたのは良かったですよ」
── それってバンドを結成した時の自主制作盤みたいな感じ?
「その時は会場限定でしたけど、今はお店に対して何をするとか、こういうことも必要なんだなとか、知らない事っていっぱいあるんだなって。こういうスケジュールでいろいろ進むんだというのを勉強させてもらいました。今も昔からお世話になっているレーベルの方に手伝ってもらってますけど、基本はまず自分でやってみて、わからないことは相談するという感じです」