21世紀型のフォークソングを
── サウンドはフォークソングを根底としていますが、バイオリンが入り、新しいフォークソングの形を提示していますよね。バイオリンを入れようと思ったのはどういうきっかけなんですか?
金田:最初は俺とキーボードの2人でスタジオに入っていて、メンバー揃えようってなった時に、もともと知り合いだった谷崎は絶対にヒマしてるからって声かけて(笑)。バイオリンを入れようとは思ってなかったけれど、“21世紀型のフォークソング”ということは決めていました。あと、以前組んでいたバンドでは、自分の気持ちを架空の世界に置き換えて歌うという表現をしてましたが、それに飽き飽きしていて、結局自分のことは自分で歌わなきゃって思ったんです。それは僕にとってフォークソングは“生き様”だから。普通の1人の人間が生きているということが僕にとってフォークなんです。だから、ジャンルとしてのフォークと言うよりは生き方を歌おうという。21世紀型のフォークソングと言ってるのは、どんな楽器が入ってもTHEラブ人間の歌って、フォークギター1本で歌えるんですよ。少年少女が、お父さんが使っていた古いギターを押し入れから出してきてすぐに歌える曲じゃないと意味がない。だから、曲は絶対にフォークギターで作っています。
── 自分たちより下の世代にコピーして欲しいという気持ちもありつつ?
金田:コピーして歌えるものなら歌ってみろって思ってますけどね(笑)。歌って欲しい気持ちはもちろんあって、今も何人かコピーしてくれているんです。本人に目の前で歌ってもらったこともあるんですけど、すごく感動しました。
── 先ほど、フォークギターで曲を作っているとおっしゃってましたが、レコーディングではギターは何本使っているんですか?
金田:1本。自分のギターは2本しか持ってなくて、そのうち1本は壊れていて困ってるんですよ。
── この作品が売れたら、あと1本ギターが買えるんじゃないですか?
金田:その時は、今のギターを直しますよ。お金持ちにはならなくて良いんです。奥さんと子供を養えるぐらいのお金があって、家賃におびえないで歌が歌えたら充分ですね。今も毎日歌う事が出来て幸せですけど。
── 家賃におびえていた時期があるってことですね(苦笑)。でも、確かに一人暮らしを始めた当時って、私もそうでしたけど家賃が払えなかったりとかギリギリの生活をしていた時期があって、その頃に比べると年もとったし、少しは生活が変わってきていると思うんです。そういう時期に比べると、今歌詞を書く時に出てくる言葉は変わって来ているんですか?
金田:変わってますね。そういうことを歌う時期が終わったというだけです。5月にリリースしたシングル『砂男』は、まさにギリギリの生活をしていた時期に出来た曲なんですが、自分がまたこういう歌を歌う時は、メジャーじゃなくなって誰からも見放された時なのかなと思った事もありますが、それはないし、これから新しい歌を歌えると思うとすごく楽しみなんです。
── まだ見てない景色の歌がたくさんありますから。
金田:毎日歌う歌は変わっていくわけで、本当に金がなくて死にそうな時期は長かったですけど、メンバーもいたし、夢見る気持ちはずっと忘れなかったので。
── ところで、今回はリリースがあって、2ヶ月ほど続くツアーがあって…。
金田:今回のツアーはいろんなことをやろうと思って、学園祭編とライブハウス編があるんです。
── 中盤の9月17日には新宿ロフトでのライブ『ETERNAL ROCK CITY.2011』がありますが、ロフトは初めてなんですか?
金田:初です。本当に憧れのライブハウスなんです。初めてダイブしたのもロフトで、めっちゃ怒られて(笑)。中学生には刺激の強い怒られ方でした。中学生からずっと顔が変わってないので、「いい大人がダイブしてんじゃねーよ」って言われて、中学生ですって(笑)。
おかもと:私も好きなバンドをよく見に行きましたよ。
──スタッフ共々、みなさんのライブをとても楽しみにしています。では、最後にTHEラブ人間というバンド名について伺いたいのですが、このインパクトのあるバンド名にしたのはどんな意味があったんですか?
金田:かっこつけたくないし、そのままでいることが人間なんだと思います。あと、やっぱりライブが好きで人と目を見て話がしたいんです。
おかもと:いろんな人と話して、いろんな事を知りたいんです。
金田:大事なことは全部お客さんが教えてくれるので。自分たちでは何も完成しない。曲を作って、スタジオで練って、CDを出したところでもダメで、直接人と会って、向き合って話すことが大事だと思ってます。“対ヒト”なんですよね、結局は。いつの間にかいろんな人に出会えてますけど、気付かないうちに自分で選んでいるのかなって。これからも、このままぶれずに。何を言われても、自分たちのやりたいことを突き詰めていきたいと思っています。