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INTERVIEW

トップインタビューThe John's Guerrilla('10年8月号)

これは“変化”ではなく“進化”である。
より“伝える事”に重きを置いた会心作『UNITED DIAMOND』!!

2010.07.20

 2009年7月にリリースした1st.フルアルバム『Seize The Time』から約1年、The John's Guerrillaの新しい作品が届けられた。直訳すると"ダイヤモンドの集合体"となる今作『UNITED DIAMOND』。美しいダイヤモンドを曲やメンバーや取り巻く環境に例え、その集合体がひとつの作品となって世に放たれた。
 "我流のNEW PSYCHEDELIC"と例えられる彼らだが、今作ではプロデューサーにアイゴンこと會田茂一氏を迎えて、新たなレコーディング方法や表現方法を取り入れた結果、よりタイトに、よりダイレクトに、よりわかりやすく聴ける作品となった。
 今回は作詞作曲を手がけるボーカルのLeoの単独インタビュー。『Seize The Time』の時には闘争心を剥き出していた彼が、今作では慈愛の心が強くなったと感じるのは気のせいではないはず。海外ツアーで得た経験も加味され、より強力になったThe John's Guerrillaを感じてもらいたい。(interview:やまだともこ)

人に伝わるスピード感を重視した作品に

──突然ですが、これまでのThe John's Guerrillaって、とっつきにくそうとか、尖ってそうというイメージがすごくあったんですが、今作の『UNITED DIAMOND』を聴いたら、とっつきやすくなったと感じたんです。言葉の使い方にしても、サウンドにしても、雰囲気が変わったというのが第一印象で。

Leo:そう感じますよね。音楽って、歌詞、メロディー、ビート、見た目とか、スタイル、売り出し方など、世の中といろんなリンクの仕方があると思っています。まず歌詞的に言うと、今までは芸術至上主義というか、芸術が全てという思想だったので、十代の頃は商業的なものは全部くたばれって思っていたんです。1st.アルバムの『Seize The Time』では、戦闘開始の宣言をやっと出せたと思っていましたから。でも、今回は自分の環境に変化があったり、サポートで新しくシンセが入ったり、今まで歩いてきた道とは次元を変えてやってみようかなって。そうして違う次元に移動する際に、ちゃんと自分と向き合った上でどうしていきたいかを考えてみたら、人に届くスピードを速めたいって思ったんです。ビートとか人に伝わる速さといったスピード感を今回はすごく重要視しました。その後に歌詞を考えた時に、歌詞は英語なので伝わりづらい部分もあるかもしれませんが、自分の内面的なものをえぐってみようと。自分と向き合った時に、日々生きている中での多くの経験や、本当に大切なものを手に入れて、今までは愛ってこういうものだよなと漠然と思っていたものが、実際与えられたり与える事ができたりを具体的に感じる出来事があって、そういう経験が歌詞に出てきているのかもしれません。もともとポップアートとか村上春樹とかに影響を受けたので、難しいことをやっているのに誰でもわかるものにしているという、受け手に入っていくスピード感に面白さを感じているんです。そうして歌詞やサウンドを作っていきました。

──前の作品に入っていた『Limitless Ze Elo』は11分を超える曲でしたが、今回はどの曲も5分あるかないかぐらいですし。

Leo:今回、サウンドコンセプトとしてはダンスアルバムで行こうかという話は出ていて、音楽って自然に踊れるというのが一番だと思うので、そこに気をつけながらテンポに全く関係なくスウィングさせたかったんです。レコーディングの仕方も今までは音の入れ方も試行錯誤してましたけど、今回はシンプルに。

──そこは、プロデューサーに會田茂一(アイゴン)さんを迎えたのも大きかったんじゃないですか?

Leo:それはあります。アイゴンさんとは2曲一緒にやらせて頂きましたけど、スピード感の大切さを教えてもらいました。音楽の経験も知識も豊富な分、こうすれば良さが伝わるということを知っている人だから。その後は、いつものエンジニアさんと4曲ぐらいやったんですけど、その流れもすごく良くて、タイトに進める事が出来ましたよ。今回は、全曲にコーラスを入れるというチャレンジをしたんですけど、それも全部うまく行った。コーラスが入ることで、伝わる速度が全然違うと思っているので重要視していましたけど、今まではコーラスワークの勉強をしている段階だったんです。メンバーも最初はコーラスを入れることに抵抗があって、どうなんだろうって思ったでしょうけど、結果的に納得してくれたと思う。これまでは、コーラスを入れてもライブで出来ないからという理由もあって入れていなかったんです。

──ライブでは、メンバーの前にはマイクを立てていないんでしたっけ?

Leo:そう。だから今はサポートシンセにコーラスをやってもらっているんです。最初はシンセもコーラスを入れることも賛否両論はあったんですけど、その存在があっての今のライブの姿なので。だから、スタートと言うのは好きじゃないので違う次元に進んだものとして、良い感じになっているなと思います。今後どうなるかわからないですが、今回はこういう作品を作りたかったんです。

──今出したい音がこの音だったということですね。

Leo:バンドとして時代と共存することは大事にしたくて、そういった意味でも時代に合わせてサウンドのアプローチができたと思いますし、出したい音楽ができましたね。もちろんレコーディング中にストレスを感じたところはありましたけど、音楽的な面では文句ないぐらい上手くやれました。

──となると、アイゴンさんから受けた影響も、上手くリンクできたという感じがしますね。

Leo:はい。結果的にそうです。レコーディングの時にアイゴンさんから、「ミックスを任せてもらって良いですか?」って言われて、出来上がったものを次の日に聴かせてもらったら、俺たちがやりたかった通りに作ってもらえてました。自分たちだけでやると、ちょっとした癖とかこだわりすぎちゃう部分とかがあるんですけど、全員納得で一番良いところでできたという感じです。忙しい中でやって頂いて嬉しかったですよ。

──アイゴンさんと一緒に作った『Peace』と『The First Nation』って、対照的な曲じゃないですか。『Peace』は雄大な感じで、『The First Nation 』はゴリっとした感じがあって。最初にLeoさんが曲を作った時点で、ああいう曲ではあったんですか?

Leo:もっと複雑でした。『The First Nation』は歌が入っていない部分が多くて、アイゴンさんから「ここはなくても良いかなって思うんだけど、どう思う?」って言われて、そのひと言から4時間ぐらいひたすら削る作業をしてこの形になって、アイゴンさんすげぇなって。

──アイゴンさんが入っていない曲もそうなんですけど、削ぎ落としは全体的にうまく行ってるんじゃないですか?

Leo:アイゴンさんとの作業がすごく勉強になって、その経験をセルフでやる時にも活かしたんです。一緒に作業した事ももちろんですが、とにかくあの一言は強烈でした。普段の自分たちでは考えつかない作業だったので。

──そのひと言がなかったら、きっとこのようなアルバムにはなってなかったですよね。

Leo:それはあると思います。そういう意味では出会いと、一緒に仕事ができた経験は大きいです。

──『Peace』は、The John's Guerrillaにしては珍しい曲ですしね。

Leo:曲は大衆に向けてのスピード感を大切にしましたけど、歌詞に関して言えば、平和について哲学の本を読むと、平和とは戦争があることを仮定された言葉で、戦争が始まった瞬間に平和は過去形として生まれる、と。別の意味では非戦争状態が平和なんだと、戦争状態を仮定として作られているという説もあって、そこから平和ってなんだろうって考えたんです。そうやっていろいろと考えていくうちに、自分でもまだはっきりとした答えは出ていませんが、この世で一番美しいものが生命の誕生なんじゃないかって思ったんです。それが俺の中では平和に結びつくところがあるんですよ。後世に残っていくものですから。その生命の誕生にリンクするものとして愛もあって、愛って男女間だけではなくライブも愛がある場所なんです。それは僕だけでなくてお客さんにとっても、愛に溢れている場所だと思っています。もし、愛を感じられなくても、僕がステージに立つ事によって、普段見えない幸せを気付かせてあげられるんじゃないかって。そういう視点も含めて、『Peace』では生命の誕生とか愛について書きたかったんです。

──自分もそうなんですけど、はっきりとした答えが出ないからもがくんですよね。

Leo:だから僕はなんとか提示したいと思っています。



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UNITED DIAMOND

RTC-013 / 1,500yen (tax in)
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amazonで購入

1.Peace
2.The First Nation
3.Hooligan
4.Rebel Sexy
5.TWENTIETH CENTURY BOY
6.Carnival For Unity

LIVE INFOライブ情報

8.20(fri)新宿MARZ
<The John's Guerrilla presents〜 AREA REDEMPTION II>
W / SuiseiNoboAz / UNCHAIN

**FTR09**
FTR 2nd Anniversary&The John's Guerrilla "UNITED DIAMOND" release tour

9.18(sat)新宿MARZ  ※FTR 2nd Anniversaryイベントに参加します
9.23(thu)仙台PARK SQUARE
9.29(wed)十三FANDANGO
9.30(thu)名古屋UP SET
10.16(sat)新宿MARZ<TOUR FINAL ONEMAN!!>

9.04(sat)music zoo KOBE 太陽と虎
<RED LINE 2010>
w)クリープハイプ / Schloder / 八十八ヶ所巡礼 / ※ゲストバンドあり
DJ / TOWER RECORDS STAFFS

9/19(sun)長野県木曽郡木曽町キャンピングフィールド木曽古道
<the 5th anniversary 木曽鼓動2010>
w)eastern youth / avengers in sci-fi / The Cherry Cokes / ORANGE PEKOE MUFF / Mountain Mocha Kilimanjaro
詳細は木曽鼓動実行委員会事務局official website【http://kisokodo.main.jp/】をご覧ください。

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