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INTERVIEW

トップインタビューテルスター('10年1月号)

ひねくれるだけでしか感情を表現できなかった横山マサアキが、初めて感謝を口にした!!

2010.01.01

 テルスターが4年という長い時を経て、ようやくニューアルバムをリリースすることとなった。タイトルは『We Love You! You Love Us!』。ひねくれることでしか感情をぶつけることができなかった彼らが、よりによって"僕らはアナタのことを愛してます! だから、みんなは僕らことを愛してるはずだ!"と若干押しつけでありながらも、このタイトルを付けたことにまず驚いた。誰かと手を繋いで、一緒に何かを作り上げましょうなんて気持ちは皆無だと思ってましたから。しかし、時間が解決してくれるとはよく言ったもので、年齢を重ねると、人に対して感謝の気持ちを述べることもできるようで。そんな新たな感情が生まれたテルスターの最新作は、"ひねくれポップス"と言われたものとはちょっと違う。15年もの間音楽活動をしてきた中で培われた人間関係や様々な音楽が、皮肉を残しつつも表現された作品だ。
 今回はボーカルであり、作詞・作曲を担当する横山マサアキに真相を伺った。人間的にも、昔に比べたら少し変化をしたようにも思う。(interview:椎名宗之 / text:やまだともこ)

メンバーは最大の理解者

── 前作の『ある決意』は何年ぐらい前でしたっけ?

横山:2006年の5月にリリースなので、4年ぶりぐらいになりますね。

── この間に、横山さんは町田直隆&PK BATTLES、ストライカーズ、元LINKの柳井くんのバンドGRAPEFRUITSでベースを弾いたり、遊星横町のような企画バンドがありましたが、こうした活動がテルスター本体にフィードバックできた感はありますか?

横山:はい。この4年間音源を出さなかった理由を簡単に言うと、やる気がなかったんです。ライブは話が別ですけど、急かされて何も歌いたいことがないのに歌詞を書いたすることができなくて、こういうことがやりたくて、こういうことが歌いたくて、こういうことを感じたから、こういうことをみんなに伝えたいというビジョンが決まらないと一歩動かせない人間なんです。それで、2006年に『ある決意』を出した後、自分の中がからっぽだった。世の中に打ちつけたいものは何もないし、これは最高だと表現したいものもなくなってしまったんです。その時に、いろいろやってみるのもいいだろうって町田くんと一緒にバンドを組んだりして、少しずつテルスターでこういうことをやってみたいというビジョンが見えて、ようやく形に出来たという感じです。

── 端的に言うと、テルスターに煮詰まっていた?

横山:年中煮詰まっているんですけどね(苦笑)。あと、ライブハウス(新高円寺クラブライナー)を2005年に立ち上げて、僕は1年半ぐらい前に辞めちゃったんですけど、当時はライブハウスのことしか考えられなかったんです。面白いアイディアがあったらテルスターに生かそうじゃなくて、ライブハウスに生かそうって。だからバンドに対してのアイディアも出て来ないし、自分の音楽が後回しになっちゃったというのも正直なところです。

── また吐き出したい欲求が芽生えたのはいつ頃なんですか。

横山:テルスターとして何も歌う気持ちになれなくなった、というのもライブハウスを辞めた理由なんですけど、自分の歌でこういうことをやってみたいとか、こういう曲を書いてこういうふうに伝えたいと思ったのは、仕事を離れてからです。

── 千葉さんとか増沢さんは他にもいろんなバンドで活動していて、横山さんはテルスター純血主義を貫いてきましたけど、そういう縛りももう要らないと?

横山:縛っていたつもりはないんです。自分が作って自分が歌うとなると、自分のバンドしか考えられなかったんですよ。でも、ライブハウスの仕事をメインでやっている時も、新しいものを発したいという欲求があったんでしょうね。それが他にバンドをやることで、音楽的な欲求を引き出してくれたのかなって思います。初めてベーシストとしていろんなバンドをやった経験が、頑なだった自分の音楽感を少しやわらかくしてくれたし、テルスターをやろうという気持ちにさせてくれたのも大きいです。やってなかったら、作品が出てないかもしれないですから。

── 課外活動を通じて、テルスターを客観視できましたか。

横山:できましたね。

── 改めて、どんなバンドだと思っていますか。

横山:テルスターはテルスターでなきゃできない音楽をやってると思いますし、そう思わなければやってないと思います。やる価値がある音楽だと思うし、聴く価値がある音楽だと思う。そういう意味で、すごく価値のあるバンドだと思うから15年続けてきたし、それは自分の誇りでもあります。あと続けることが大事だと言う人もいますけど、僕はあまりそうは思わなくて続けたいから続けてるんです。嫌だったら辞めますし、毎日ラーメンを食べてる人に「ラーメンを15年も食べ続けてすごいですね」って言っても「好きだから食ってるんだよ」ってなりますよね。そういう感じです。

── テルスターは、横山マサアキという人間性をダイレクトに出すには格好のバンドですか。

横山:そうですね。結成から僕が主導権を握っていて、僕の美意識を貫いて、その美意識をメンバーが理解してバックアップしてくれるという形なんです。だからみんなで何か作り上げるというよりも、僕が思った世界をメンバーが理解して、もっと強力なものにしてくれるし、そこに安心を求めているというか、メンバーが面白いと言ってくれるものは絶対に面白いという自信もあります。

── そうは言っても、横山マサアキ&ヒズ・バンドにならないところが面白いですね。

横山:それがメンバーチェンジをしてこなかった理由でもあるし、メンバーは最大の理解者だと思っているんです。だから、まず出来た曲を誰に最初に聴かせたいと言うとメンバーだし、メンバーが面白いと思わなければ面白くない音楽なんだなって思いますから。僕が詞も曲も書いているんですけど、メンバーも横山マサアキ&ヒズ・バンドにならないものにするセンスが良かったんでしょうね。

── あんなに個性とアクの強い3人をよく束ねて牽引しているなと改めて思いますけどね。

横山:束ねきれてないですよ(苦笑)。3人ともテルスター以外にもバンドもやって、僕が作る曲に魅力がなければやらないだろうと思うんです。ライブハウスの仕事をしていた当時は、千葉が社長でしたからライブハウスの主導権は千葉でしたけど、テルスターになると自分の方が主導権を握らなければいけないところで自然にできたのは、自分の作る楽曲やテルスターの活動が面白いと思ってくれていると信じているし、横山のバンドだから一緒にやってやらなきゃなって思わせるんじゃなくて、テルスターでなければ感じられない感動をメンバーと共有することを大事にしなければいけないなと思ってやってます。

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We Love You! You Love Us!

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2010.1.27 IN STORES
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LIVE INFOライブ情報

テルスター結成15周年&CDデビュー10周年&NEW ALBUM
『We Love You ! You Love Us!』発売記念プロジェクト〜LOFT CIRCUIT 2010 supported by Rooftop


【ROUND 1】2010年1月20日(水)阿佐ヶ谷LOFT A
『テルスターNEW ALBUM 「We Love You! You Love Us!」発売前夜記念トークショー』
〜テルスター自身が語る「History of テルスター」&アルバム先行試聴会!

【ROUND 2】2010年1月24日(日)新代田FEVER
テルスターpresents!「We Love You! You Love Us!〜大感謝祭2010」
<出演>テルスター / Bacon / ストライカーズ / The JFK / Y.U.G(植木遊人グループ) / 町田直隆&PK BATTLES / No Regret Life / Natural Punch Drunker / [opening act] 遊星横町
※出演全バンド、テルスターの楽曲を1曲カバーします!

【ROUND 3】2010年2月9日(火)下北沢SHELTER
テルスターpresents!「We Love You! You Love Us!〜発売記念スペシャルライブ」
<出演>テルスター ...and more

【ROUND 4】2010年2月18日(木)新宿Naked LOFT
『テルスターNEW ALBUM「We Love You! You Love Us!」発売記念リクエスト大会』
<出演>テルスター(アコースティックセット)
※テルスターがリクエストにお答えするアコースティックセットライブ!

【ROUND 5】2010年3月18日(木)新宿LOFT PLUS ONE
テルスターpresents!「We Love You! You Love Us!〜裏・大感謝祭トークショー2010」
〜感謝祭2010出演バンドが語る「テルスター秘話」&テルスター楽曲カバー映像大公開!
<出演>テルスター / 星野概念(ストライカーズ) / 町田直隆 / 植木遊人 / ...and more

【FINAL ROUND】2010年4月8日(木)新宿LOFT
テルスターTOUR2010「We Love You! We Love Us!〜TOUR FINAL」
テルスターワンマンライブ

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