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INTERVIEW

トップインタビューテルスター「We Love You! You Love Us!」TOUR FINAL ワンマンライブ('10年5月号)

テルスター「We Love You! You Love Us!」TOUR FINAL ワンマンライブ('10年5月号)

2010.04.15

15年間変わらずに走り続けた4人の、変わる事のない迫力のあるステージ

 1月20日に行なわれた阿佐ヶ谷LOFT Aでのトークイベントを皮切りに、ロフトグループ全店舗を回ったテルスターの"LOFT CIRCUIT 2010"のファイナル公演は新宿ロフトワンマン。ワンマンは、CDリリースと同じ4年近くぶりとなる。
 緊張感とワクワクとした気持ちが交錯したフロアに、いつものSEが流れ始めた。この時すでにフロアの盛り上がりはピークに達していた。多くの拳が上がり、1曲目は『We Love You! You Love Us!』。阿佐ヶ谷LOFT Aのトークイベントで、コールアンドレスポンスを強制的に練習させられたこの曲だったが、4ヶ月も経てば両者のやりとりもバッチリだ。続いて『理解者』。この時すでにステージ上ではトラブルが発生していたそうだが、トラブルさえも笑いに変えるテルスター。そこからも15年だろうが、変わらずにかっ飛ばしたステージを魅せる。7曲目の『約束はしない』を歌い終えたところで、ボーカル&ベースの横山が話を始めた。「僕の気まぐれな音楽制作活動に付き合ってくれて、どうもありがとう」と。確かに前作から約4年もの間、リリースがないのではとテルスターから去っていった人も少なくはないだろう。しかし、それでもこうしてリリースを待っていてくれて、ワンマンに足を運んでくれた人。そしてなかなか新曲を出さない横山に、しびれを切らしながらも黙ってついてきてくれたメンバーに対してのありがとうの気持ちが出たのだろう。15年かかってようやく口に出せたこの言葉は、とても大きいものだ。このMCを聴いて少ししんみりとした会場だったが、それをぶち破ったのも横山だった。いつもの「行きますよー!」というかけ声とともに始まったのが、『そのまま進むのだ』。「楽しい!」という気持ちは、ステージからもフロアからも十分に溢れていた。そのこらえきれない気持ちは、メンバーそれぞれのプレイからも感じられたし、フロアの全員が笑顔だったことからもわかるだろう。そして何より待っていた、あの長い時間が無駄ではなかったことも。  ここからは、15年の歴史の中から新旧交えた楽曲が続く。『違和感みたいなもの』では、マスザワの小刻みな動きに目を奪われる。普段テルスターではマイクを立てない千葉がMCを無茶ぶりされ、オチのないMCで会場に冷風を吹かせた。そして再び横山がしゃべり始め、千葉、増沢、山田の3名が少し気を抜いたところで突然『手垢つきだ。』のイントロを弾き始める。テルスターではよくあるフェイントではあるが、3人の驚きつつも何とか曲に入ることができてしまう感じは15年もの間、気まぐれな横山と付き合ってきた証だった。『都合いいよね』を歌い終わった時点で、「遊びはここまでだ!」と言うと同時に『孤独が匂うのだ』を。私が初めてテルスターを見た時と変わらない、般若の形相で歌う横山。お決まりの「決意はありますかー!!」という言葉で始まる『決意はあるのか?』。この曲の後に言った横山の「皆さんのおかげで15年経っても好きな歌を歌う事ができて幸せです。皆さんには感謝の気持ちしかありません」という言葉も、心の底から出てきたものだろう。『街に残る』で最後にもうひと盛り上がりだと思ったが、その後に『ブラスバンド』。この日最大級のぐしゃっとしたステージ&フロア。一音一音間違えずに弾く事はここでは重要なことではなくて、勢いとか、こみ上げる気持ちがグワーッとステージから押し寄せてきて、フロアも一層の盛り上がりを見せた。
 アンコールがかかり、再び登場し『心ふるわせたこと』を演奏。インプロ的な要素が入るこの曲は、先ほど般若の顔して歌っていた横山も、ギタリストに徹していながらも落ちないMCをした千葉も、コミカルにそしてパワフルに動きながらギター&鍵盤を弾いていた増沢も、動きまくる3人を支えていたドラムの山田も、それぞれが各楽器に徹して音を奏でる。本当に"奏でている"のだ。そして最後に『夕日は昇る』を演奏して全21曲。燃え尽きた。
 しかし、アンコールは鳴り止まない。その気持ちに応えて横山が一人で登場。演奏はなかったものの最後は一本締め。終始良い雰囲気でライブは終了した。そして、一番聞きたかった言葉、「20年でも続けていきます」と言ってステージを後にした。結成してから15年、そしてワンマンは4年振りではあったが、ライブの勢いも、放たれる言葉も衰えてないことを実感した。たくさんの人に感謝をすることができた今、また新たな気持ちを携えて自分たちなりのスタイルで活動を続けていくのだろう。(Rooftop:やまだともこ)

3/8 新宿LOFT
01.We Love You! You Love Us!
02.理解者
03.何も答えないさ
04.willy willy dance
05.我流で枯れ流
06.ヒネクレファンクス
07.約束はしない
08.そのまま進むのだ
09.ホントのところ
10.ソウルミュージック
11.インチキさを、ずっと
12.違和感みたいなもの
13.重々承知でまぁまぁね
14.手垢つきだ。
15.都合いいよね
16.孤独が匂うのだ
17.決意はあるのか?
18.街に残る
19.ブラスバンド

アンコール
1.心ふるわせたこと
2.夕日は昇る



PHOTO BY:クラカタレイコ

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