
そして、すぐにリリースされた『COSMIC HERO』。「花が咲いた。種をまいた。赤い実がなった。」というフレーズで始まる『ワールズエンド・ガールフレンド』。結成当初はメロディックパンクをやっていたというsoulkidsならではの超ハイテンションな疾走感のあるナンバー。スロウテンポで始まる曲だが、曲が進むにつれてベースがうなりを上げ、途中に挟まれる宇宙空間をイメージさせるサウンドで、彼らの言葉を借りるなら"宇宙のワルツ"とも言える『満天星(ドウダンツツジ)』。ギターのカッティングが心地良い『メロウイエロウ』。そして、次の曲はなんとシンディ・ローパーのカバー。カバー自体初めての彼らが、まさか『Time After Time』をカバーするとは! と誰もが予想していなかった選曲。ちゃんとsoulkidsのメロディーになっているところが素晴らしい。3拍子で小気味よいリズムで無条件に体を反応させる『サイダー』はsoulkidsにとっても今までにない試みの曲。ライブで盛り上がること間違いなし。カラッとしたドラムの『聖者の行進』は、未来に向かって真っ直ぐに進もうとする4人の姿が重なる。『magnolia(again 2009 version)』は、BEAT CRUSADERS / kuhのクボタ氏プロデュースでコーラスにも参加しているとのこと。テンポの良いギターを基調に鍵盤の音が加わりキラキラとしたロックサウンド。そして、ボーナストラックが入った全12曲。宇宙的規模のヒーローとなるべく、準備の段階に入っていることを想像させる。
しかし、ジャケットのイラストになっている男性。COSMIC HEROとは掲げているものの、髪をきっちりと分け、ヒーローらしからぬ風貌を見せているのだが、ジャケットを1ページめくるとそこには、異常なまでに鍛え上げられた体を披露している彼が佇んでいた。ハッキリ言って、顔と体型のバランスが全く取れてなくて気持ちが悪い(笑)。もし、ヒーローを呼んでこの人が助けに来てくれたら、うつむき加減に「やっぱり大丈夫です」と言いたくなるほどのナゾの人物。一体何者なのだろうか。そんなことを考えさせるのも彼らの遊び心なのだろう。
近年ジワジワと盛り上がりを見せる名古屋バンドシーンの先頭に立つsoulkidsの、現時点での最高傑作が誕生した。常に前を向いて進んでいる彼らだからこそ、これからどんな形に進化し、飛び立っていくのかを楽しみにして頂きたい。(text:やまだともこ)