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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】毛皮のマリーズ(2007年12月号)- 轟音! 暴動! 衝撃!ロマンチックでドラマチックなロックンロールに恋狂い!!

轟音! 暴動! 衝撃!ロマンチックでドラマチックなロックンロールに恋狂い!!

2007.12.01

演奏しなくても面白いことができないとダメ

──そこまでロックに殉ずる覚悟があるならば、逆に毎日スタジオに入りそうなものですけどね(笑)。

志磨:うーん…そうですね(笑)。たとえば誰かのライヴが終わった後に階段のところでビラ撒きしようとか、そういうのがイヤだっていう話です。そういうのとスタジオに定期的に入ってコツコツ練習するのとが同じ部類に入っちゃうんですよ。

──要するに、そういうことはロックじゃないと?

志磨:ええ、そう言っちゃっていいんじゃないでしょうか?(笑)

栗本ヒロコ(b):私も練習は気が向いた時にしかやりたくないですね。テンションが下がることはしたくないです。

志磨:自分達の好きな音楽をたしなむだけの技巧が越川とヒロコにはあって、技巧と呼べるものが何ひとつないドラマーがいるっていうのは凄くバランスがいいんですよ。すべてがちゃんとできてしまうとプレスリーみたいになってしまうので。

──富士山さんは、マリーズに入る前に楽器経験が皆無だったそうで(笑)。

志磨:バンド経験もなかったですからね。でもセンスがあったのか何なのか、ドラムは割とすぐに叩けるようになったんですよ。僕らにはそれくらいで丁度いいんです。判りすぎてないところがいい。富士山の場合は上手い下手の話ですらなくて、スティックを落とすとかペダルが取れるとか、そんな低レベルの話ですから(笑)。

──そういうインチキくさいところも含めて、ロック特有のいかがわしさが匂い立っているのがマリーズの魅力のひとつですよね。

志磨:大上段に構えてるつもりもなく、自分達なりに真面目にやってるつもりなんですけどね。ヘンに潔癖なんですよ。“気が向かねぇからやらねぇぜ、フンッ!”っていうのではなく、“気が向かないからやらないでおこうよ、ね?”みたいな感じなんです(笑)。

──本作にはソウル・フラワー・ユニオンの奥野真哉さん(key)やうつみようこさん(cho)、おとぎ話の有馬和樹さん(cho)といった豪華面子がゲスト参加しているんですよね。

志磨:奥野さんとうつみさんは、ハイロウズのローディーをやっていたQ太郎さんが紹介してくれたんですよ。奥野さんとは一緒にセッションはできなくて、僕らのベーシックを送って、そこにキーボードを乗せてデータを送り返してもらったんです。ようこさんとはちょっとお知り合いになれていたので、「コーラスお願いできませんでしょうか?」と直談判して「ええよ」と男気で快諾して頂いて。ようこさんとのレコーディングは緊張しましたねぇ…。声も凄くパワフルでしたから。有馬君とは、彼が働くライヴハウスで知り合って、僕らのことは知っててくれたみたいなんです。で、初めておとぎ話と対バンした時に僕は彼らのライヴにえらく感動してしまいまして、すぐに楽屋に駆け込んで有馬君の前で土下座して「改めて仲良くして下さい!」ってお願いしたんですよ。歳も同じなので、そこから一気に仲良くなったんです。

──奥野さんとうつみさんがゲスト参加した「シスターマン」は、マリーズ流の壮大なブルース・ロックに仕上がりましたね。

志磨:そうですね。これだけ僕が18くらいの時に書いた昔の曲なんですよ。このアルバムに入れなければ、この先世に出ることはないなと思って入れてみたんです。内容が壮大すぎて、今はもう書けないですよね。若さゆえに背負ったものがありますから。

──新宿二丁目に棲息する人達のことを唄った歌ではないんですか?

志磨:違うんですよ。「シスターマン」っていうのは完全な造語で、世俗と手を切って不自然なくらいに潔癖な人っていうか、よそから見るとちょっと痛いくらいの人をイメージして作った気がしますね。ライヴでやるともっと泥臭い感じになるんですけど、今回はようこさんにゴスペルっぽいコーラスを入れてもらって、奥野さんに教会を思わせるオルガンを入れてもらって、曲の世界観とまさにぴったりの仕上がりになりましたね。

──志磨さんが思い描く50年代のアメリカン・カルチャーというのは、何処にも存在し得ない桃源郷みたいなニュアンスですか。

志磨:そう取ってもらえたら嬉しいです。間にフィルターを挟んで、ひとつ向こうにある感じですね。憧れではあるけど、決して手の届かないものというか。

──今月末にはレッドクロスでワンマンも行なわれますね。ワンマンは初めてですか?

志磨:初ですね。この1年でいろんなバンドと対バンさせてもらって、バンドの在り方や意義を根本から見つめ直さざるを得ない局面が多々あったんです。仮に機材トラブルが起こったとして、電線ひとつなくなったくらいで何もできないんじゃ面白くないんじゃないかっていうか、演奏しなくたって4人で面白いことができないとダメだなと思ったんですよね。そんな試行錯誤の時期を経てライヴへの取り組み方も変わったし、こうして手応えのあるアルバムも作れたし、今年はバンドがだいぶビルド・アップできた気がしてるんです。だから今度の初のワンマンもとことんまでやりたいですね。持ち曲を全部やる勢いで。持ち曲じゃない曲までやる勢いで(笑)。

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