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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】MARS EURYTHMICS(2007年10月号)- 4人が溶け合って醸し出す音は薫り高く、スパイシー!

4人が溶け合って醸し出す音は薫り高く、スパイシー!

2007.10.01

ツアーという濃い時間を経て、バンドはひと皮むける

──いよいよ全国ツアーが始まりますが、バンドがツアーに出る意味は何だと思いますか?

磯部:まぁ毎日本番だし、街から街へ移動して、みんなが見に来てくれて、僕らを知ってる人たちとどんどん出会えるなんてね。音楽をやりながらいろんな人に会って、毎日緊張感を持って演奏してると自然とうまくなるし、バンドも濃い人生を過ごして、ひと皮もふた皮もむけますよね。

──ツアーで成長していくと?

磯部:それもあるでしょうし。欠けていく瞬間でもあるかもしれないし。マーズはまだ始まったばかりだから、すごく実りあるツアーになると思いますよ。 ーーー“初”の全国ツアーだと、またスペシャルな楽しみがあるものですか?

磯部:まぁ辛いですからね(笑)。僕は慣れてますけどね。遊び方とか体の使い方とか、土佐くんは若いからどうなんだろう? まぁはじけりゃいいやんって思います。体力もあるし、遊びなさいなと(笑)。

──やっぱり体力は消耗するものですよね。

磯部:そうですね。でも、楽しいに決まってますし、意外とあっという間ですから。それはびっくりする。ツアーって、最初は「うわー、まだ1本目!」とか思ってるけど、終わるときはあっという間ですから。やった記憶もないし。

──え?

磯部:振り返るのが大嫌いで、常に次の日、次の日って進んでいくんです。よく地方のライブハウスで「前も来ましたよね?」って言われるんですけど、「来たっけ?」ってなる。前に来てたからどうとか思わないもんね。地方で「前も会いましたよね?」って言う人を全然覚えてないこともありますね。髪型とか変わってると記憶がない! でも向こうは僕が磯部だってわかってますよね? 「覚えてないかもしれないですけど、前にもお会いして、こういう話して」って思い出すスキを与えてくれると、「思い出せました!」ってなるし、礼儀正しいと思いますけど、いきなり「覚えてますかー?」は失礼!! もう覚えてても「覚えてない」って言いたくなるんですよ! 最初は「こんにちは」でしょ!?って(笑)。

──磯部さんは場所が変わっても同じライブを提供したいと考えるほうですか? それとも場所によって違ったものにしたいと考えるほうですか?

磯部:どっちも意識してやってきたんですけど、最近、ライブはナマモノかなって思いますね。変わっていくのが楽しいですし、その日その日を楽しみたいですから。「あの曲、こっちでは蚊の鳴くような声でやってたよ」「でも“蚊の鳴くような”って言い方ヘンだよね? ホントは蚊の飛ぶような音じゃない?」とか会話が膨らんでほしい(笑)。

──(笑)今の磯部さんからは「ライブはこうでなきゃ」とか「バンドはこうでなきゃ」ってしばりを全く感じませんね。

磯部:そういうのはね。バンドをやる以上、何か結果を残して反省して…だから。振り返るのも大事ですけど、「今日の演奏どうだった?」とかそういうことしか覚えてないし、じゃあ明日は変えていこうってなる。そういうのを繰り返して、気づいたらいいバンドになっていくんじゃないでしょうか。よくしたい、よくしたいって思った結果、変化してしまったっていうならしょうがない。本人たちは「悪い感じになっていこう」と思ってやってたわけではないでしょうし。その辺が儚い作業なんですけど。すべてが時の運というか、人との縁ですよね。そんな旅にまた出るんだなと。でも、どっちにしても良くなる旅ですからね。

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