気合い一発のダウンピッキング!
──みなさんRAMONESに色んな形で影響を受けつつ、現在ではそれぞれ違うジャンルで自分のバンドをやられているわけですが、現在の自分の中でのRAMONESの位置ってどんな所にありますか。
RYOJI:一番ルーツとかスタンダードな部分がブレそうになると聴くっていう感じですね。ディー・ディーが亡くなったタイミングで、ボーナストラックを加えて紙ジャケになって初期の4枚が再発CDになったんですよ。ジョーイが亡くなった時にも、さらに4枚再発になったんですけど、それを全部一気に買って勉強し直しましたね。8ビートのスピード感とかポップ感とか、やっぱりあれが基本なんですよね。
MINAMI:俺は正直、最近ではあんまり聴かないですね。でも、今時のわりと凝っている音楽とかあるじゃないですか、自分がそういうのをあんまり肌に受け付けないっていうのはRAMONESが根底にあるからじゃないかなと思います。曲作る時にしても、意識しない所でそういうのはあるんでしょうね。
OHNO:同じ日本人でも、MINAMIくんとかRYOJIくんとかの世代の人って、スカコアとかスカパンクみたいな物をやれるくらい、色々な物を吸収している世代っていう感じがするんだよね。77年、78年頃のパンクの影響を直接受けている俺とかKOJIの世代っていうのは不器用な人間が多くて、本当に無骨で、ダウンピッキングで良いやみたいな感じなんだよ。多分僕らの世代のバンドっていうのはみんなそういう感じだと思うけど。だから、同じ日本人で同じRAMONESの影響を受けてても、世代によって反映の仕方が違うのかなって思うね。リズムの取り方とか全然違うもん。メチャメチャ上手いからね。ただ、気合い一発のダウンピッキングをやらせたらオレたちの方が上だとは思ってるけど(笑)。そこは絶対に負けられないから!
KOJI:そういう気合いみたいな部分は自分のポリシーになってるからね。そればっかりは譲れないよね。でも、音楽を楽しむっていう時に、本当に気合いが必要かって言ったらそうでもないのかもしれないけど。
──やっぱりRAMONESって、「技術よりも気合い」っていうのが全面に出ているバンドですからね。
OHNO:ただ、RAMONESも聴いてるのとやってみるのでは印象が全然違ったりもするんだけどね。今回、みんなに協力してもらってレコーディングしたんだけど、その8ビートのノリの「間」を取るっていうのがいかに難しいかっていうのは感じましたね。普通にRAMONESを歌ってると、妙に間延びした感じがしちゃうんですよ。みんな結構苦戦してたもんね。意外とRAMONES難しいなと。
──普段はギタリストであるMINAMIさんなんかは歌ってみてどうでしたか。
MINAMI:いやあ……、もういいかな(笑)。自分はやっぱりボーカリストじゃないなって。すごい良い経験にはなりましたけどね。でも、RAMONESって歌いにくいですね。とにかくキーが微妙なキーだったりとか。
OHNO:MINAMIくんは英語ペラペラなんだけど、ジョーイ・ラモーンの英語の発音って変わってるでしょ。
MINAMI:そうですね、真似しようとすると難しいですね。妙に粘っこいというか。
OHNO:だからMINAMIくんが歌詞通りに歌おうとするとRAMONESから離れていってしまうという。MINAMIくんの方が正式な英語なんだろうけどね。
RYOJI:歌詞カード見ながら練習してると「絶対そう歌ってないだろ、ジョーイ!」っていうのが何カ所か出てきますからね。これはもう、聴いたカタカナで歌うしかないなと。
──曲自体はもう覚えてるから、ヘタに歌詞を読まない方が良いと。
OHNO:でも、RYOJIくんは結構問題なくスルスルやってたよね。MINAMIくんはガーッと声を張る方なんで、RAMONESのキーって低いから歌いづらそうだったけど。
MINAMI:ごまかせないんですよね。
──ジョーイ特有のシャウトしてるんだかしてないんだかわからない歌唱法ってありますからね。
MINAMI:そうなんですよ。
OHNO:やっぱりロックンロールの歌い方なんだろうね。UKのパンクだと、もっと投げ捨てるように歌ってたりするけど、RAMONESは本当に歌モノっていう感じの歌い方だからね。
RYOJI:そこは、やっぱりジョーイのルーツがオールディーズだったりっていうのがあるんですかね。