Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューTWO-STRUMMER 岩田美生(The STRUMMERS)× Aco RYDER J.OHNO(THE RYDERS)('10年4月号)

パンク・ロッカーたちの新たなるチャレンジ!
まさに“RAW”なアコースティック・パンク・ナイト!

2010.03.04

ストリート・パンクの重鎮THE RYDERSのJ.OHNOを発案者として始まった"ACO MANIA"。亀戸ハードコアで行われたVol.1に続き、5月23日にはVol.2が予定されているという。このパンクロッカーたちが今なぜアコースティックなのか!? Vol.1に出演し、同志となった盟友、岩田美生(The STRUMMERS)も迎えて話を聞いた。Vol.1は1月30日亀戸ハードコアで下島右己(ex.GUSUS)、YOSHI(THE SPANISH BARROW'IN GUITAR)、MITOME(THE STAR CLUB)、TWO-STRUMMER(岩田美生&渡辺明人/The STRUMMERS)、FUNGUS(Acoustic version/Drumless)、Aco RYDER(J.OHNO/THE RYDERS)というメンツで、椅子アリの客席という普段の激しいライヴとは全く異質なフロア構成で行われ大盛況だった。Vol.2を前に、先日の舞台裏と今後の展開について思う存分語ってもらった。(Interview:進藤貴弘/構成:平山由紀/Photo:円山正史)

剥き出しっていうところでの〈RAW〉

──"ACO MANIA"というイベントをどういうきっかけで始めたんでしょう。それぞれバンドでも活躍されてますが、あえてバンドではなく何故アコースティックでやろうとしたかを教えてください。

OHNO:元々中学生のときアコギを買って、アコースティックから音楽を始めたみたいなところがあるからね、いつかそういうことが出来たらなぁっていうのはずっとあったね。周りの、例えばTWO-STRUMMER(岩田美生&渡辺明人 from The STRUMMERS)は実際以前クアトロ見てるし、FUNGUSがアコースティック・ユニットやるって話を聞いたり、あと一番最初はミトメ君(THE STAR CLUB)に4、5年前ぐらいにツアー先で声かけられたのが始まりかな。そのミトメ君も、去年の夏あたりから「そろそろやりましょう!」って強引な押しになってきて(笑)。気持ちはありがたいけどすぐには決められなくて、徐々にやる方向に進んだっていうか。そういう流れがあったんで「初心者だけどみんなに混ぜてもらうよ」って立ち上げたんだよね。ミトメ君やYOSHI君(THE SPANISH BARROW'IN GUITAR)、元GUSUSの(下島)右己もすぐ決まって1月に1回目をやったんだよ。みんな本体のバンドってものをやってるワケで、それはそれでうまくスケジュール組んでもらってっていう結果だよね。あとはアコースティックってところで、みんなどこまで出来るのかなって。自分たち試しじゃないけどさ。あとギター1本あれば弾いて歌うってのはみんな好きなワケだから。飲み屋行って、そこにギターあれば朝まで誰かしら弾いて歌ってるっていうのはよくあることだし。いつかはやるぞ!っていうのは思ってたんだよね。遅かりしだけど時が来たかなっていう。

岩田:この話聞いて単純に面白そうだと思ったよ。まず、俺たちもそうだし、大野さんもそうだと思うけど、いろんな曲を作ってきてバンド・スタイルでやってきたけど、ベーシックはしっかりとしたメロディーが核なんだよね。そのメロディー、旋律っていうところに関してはこだわってきたしね。だから一回素っ裸になってもいいんじゃないかなって。俺たちのルーツみたいなものもそこには含まれてるから。装飾なしの血と骨というか、そういうところを晒け出しちゃうのも面白いよな。俺の方はそれだけかもしれない。あとは見るヤツが酒でも飲みながらエンジョイしてくれればいいよなっていうところがあったね。

──見てる側としてはネイキッドなものを見せてもらってるっていう部分も感じられましたね。

岩田:俺は逆にパンクだと思うんだよね。〈RAW〉っていう。剥き出しで一回やってみようぜっていう。まぁ、みんな集まればキャラがそれぞれそこで出てくると思う。バンドのフォーマットっていうのはそれぞれバンドで持ち味で持ってるけれど、飾りはなしっていうところでの〈RAW〉というね。アットホームにいわゆるフォーク・シンガー・スタイルっていう、癒しとかそういう世界をやりたいワケじゃなくて、より人間を晒したパンクな夜にしたいなっていうのはあったね。イベントとして、続いてくなら今後もそういう風になっていくといいなと思う。

OHNO:結局アコースティック・ギター持ったからってフォークやるワケじゃなくて、やる側の魂は一緒なワケで。より音楽をネイキッドにやる上で、例えばパンク・ロックが始まる以前の曲はこれからやっていこうと思うし、ルーツとしてね。そこは自分が消化したときにどうやって歌うのかなぁって。それっぽく歌っちゃうのかもしれないし、パンク・ロッカーとして「ウワーッ」と歌っちゃうときもあるかもしれない。それを含めた上でいろんなものを自分が出せるんじゃないかな。アコギ1本でどう自分がやれるのか、自分の本能が何をやるのかって確かめてみたかったね。これからやっていくうちにどう出るかわかんないけど。

岩田:やってる方は逃げ場所はないよね。バンドでのパフォーマンスと違って後ろ振り向けないし。アコギと肉声だけで勝負。面白いよね、緊張感あって。

──それぞれのバンドと違う世界があって見ていて面白かったですね。

OHNO:全く距離感が違ったっていうのがあったね。俺は今回初めてだったんで。こういうことをやるのも、一人でやるのも初めてだし、そこはもう全然違う世界だったね。観てる人の距離感もすごく近いし。何でギター弾いて歌うだけでこんな難しいんだって、これメチャメチャ難しいぞって(笑)。

──そういう緊張感ある中でMCも面白かったですよね。岩田さんが「ケツに汗かいちゃったよ」とかストラマーズでは絶対言わないだろうって。

岩田:素だからさ...(笑)。俺なんかね、声かけられたらどこでも歌うし。突然その辺の飲み屋とかでやるとかね。それぐらいのフットワークの軽さでいいっていうか。例えばジョー・ストラマーなんかもバスキング、駅前で缶置いてストリート・シンガーをTHE CLASH以前にやってたとかあるし、自分もやってみたいなぁっていうのはあったよね。どこででも歌うっていうのは好きなんだよね。肉声で勝負するっていう緊張感もあるけども、素で晒すというところだよね。

──先日のACO MANIA vol.1ではいかがでしたか。

OHNO:この前はまずやってみたよね。お互い知り合い同士なんだけどすごい緊張感あったし、普段のバンドでは見られない状況だったよ。楽屋がバンドだと人数も多くなってグチャグチャしてるでしょ。アコースティックの場合は人数も少ないんでみんなとコミュニケーション取れるし、ある意味一体感があったね。本番中は楽屋でもすごく盛り上がったしね。みんなで一つのモニターで他の人の演奏を見てたのが面白かった。見ながらいろんなこと言い合ってさ。

岩田:みんな見てたよね。好き放題言いながら(笑)。1回目は見てるお客さんも何が出てくるんだろうなっていうのがあったよね。でも予定調和になったら面白くないから、そこは今後続けていく上でのひとつのテーマというか。

OHNO:最初想像できないものが出てくるっていうインパクトじゃなくて、観ていてその空間が好きでっていうなら観て欲しいし、そこからはもうホントに、これはこれでいいよねって言ってくれる人が居ればね。

──選曲も楽しめました。

岩田:10代の頃好きだった曲をやろうかなって。バンドやる以前に自分が単なるガキだった頃俺も歌ってみてぇなぁって歌ったりするじゃん、鼻歌で。それが70年代、80年代の日本のロックだったり。自分のルーツっていうか好きなものでしかないから。

OHNO:不思議なことに歌えちゃうんだよね。まだ覚えてるんだよね、歌詞とかギターのコードも。やっぱり中学や高校の頃鼻歌で歌ってたのは忘れないよね。

岩田:大野さんが『ZIGGY STARDUST』この前やったけど。俺はその辺の好みも知ってたから意外じゃないけど、お客さんは「おっ!J.OHNOがDavid Bowie!?」ってあったよね。そういうのは新鮮だよね。

──そういうフェイバリットな曲だとか、メモリーっていうよりも童心に還るみたいな感じもあるんですね。

OHNO:俺たちって高校ぐらいのときにパンクロックが出てるから、それ以前中学の頃はパンクロックがなかったわけで。だから当然ポップスも聴くし洋楽に触れる前の日本の歌謡曲とかも聴いたしね。覚えてるからね、物心ついた頃から歌ってるものは。

岩田:一人のリスナーとしての話なんだけど、ギンギンのバンド・スタイルでやってるヤツがアコースティックにトライしたみたいなアルバムがたまにあって、そういうのを聴くのも結構好きだったりする。その人間味やダークサイドに触れるような気がして。イケイケでラウドにやってる連中でもアコースティック・スタイルの曲がアルバムに1曲ぐらいあったりそういうのが割と好きなんだよね。

OHNO:そうそう! SOCIAL DISTORTIONのMike Nessがギター1本で弾いてる姿を見てかっこいいなぁって思ったり、俺は『Bad Luck』のアコースティックバージョンの方が逆に好きだったりする。

岩田:あれは相当クールだったよね。あとJohnny Thundersの『Hurt Me』とか大好きなんだよね。



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LIVE INFOライブ情報

ACO MANIA Vol.2
5月23日(日)亀戸ハードコア
http://www.kameido-hardcore.com/

THE RYDERS
4月18日(日)沖縄CYBER BOX
4月29日(木)甲府CONVICTION
6月6日(日)下北沢SHELTER
6月12日(土)名古屋TINY 7
6月13日(日)大阪KING COBRA
http://www.the-ryders.com/

The STRUMMERS
5月12日(水)下北沢SHELTER
6月6日(日)下北沢SHELTER
6月12日(土)名古屋TINY 7
7月25日(日)下北沢SHELTER
http://www.thestrummers.com/

TWO-STRUMMER
4月16日(金)下北沢CLUB 251

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