Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】大塚智昭(新宿ロフト店長)×西村等(下北沢シェルター店長)(2007年1月号)- 大塚智昭(新宿ロフト店長)×西村等(下北沢シェルター店長) 2007年、新春大放談!

大塚智昭(新宿ロフト店長)×西村等(下北沢シェルター店長) 2007年、新春大放談!

2007.01.01

いいものはいいって言えるようになった

──ところで、2006年はブッキングに苦労されたと思うんですが、ブッキングに関してはどんな一年でした? 例えば、昔だったら流行に乗って半年ぐらいは苦労しないで何とかなるという状況があったと思うんですが、最近はカテゴライズが難しくなったと思うんです。ライブハウスシーンの音楽の動向を肌で感じてどうですか?

西村:ジャンルレスって言ってもゴッタ煮みたいなもので、ギターロックだけどオルタナ寄りだったり、オルタナだけどウタモノ寄りだったり、それこそオルタナやってる人が別バンドですごいウタモノやったりっていうのが多かった。逆にあえて線引きするということがなかったかもしれないです。

大塚:バンド間の横の繋がりがあまりなくなってきたような気はしますね。盛り上がってるシーンも特別なくて、単体で盛り上がった記憶があります。だからワンマンが多かったんじゃないですかね。

──Rooftopを読んでる人の中にもライブハウスを運営してる人がいると思うんですが、メロコアが流行っているときのHi-Standardみたいなスターバンドがいるとブッキングはしやすいものなんですか?

大塚:それはシーンとお店が密接に繋がってないと…。

──ロフトは出演されるバンドが偏っているってことはないですもんね。

大塚:歌舞伎町のロフトとしては、オールジャンルのバンドが出演できるということを狙っていきたいです。ビジュアル系のシーンも今ちょうど盛り上がってきてますし。

西村:うちも昨年ビジュアル系のイベントやりました。

──あれは快挙でしたよね。

大塚:僕、西村さんに「シェルターでビジュアルのライブやるってどう思う?」って相談されましたもん(笑)。

──やはりビジュアルのライブをやることに迷いはあったんですか?

西村:ありましたよ。今までそっち系はやらないオーラ出しをしてて、オファーもなかったから安心していたんだけど、あのイベントはふと湧いてきた話だったんです。それで、やってもいいかなって一瞬思って…。

──そこで敢えてブッキングをした要因は?

西村:好奇心というのもあったかもしれない(笑)。シェルターでビジュアル系はダメだっていう話になったのも、嫌いだからやらないわけではないんです。あの時は機会があったからというところですね。実際どうなんだろうって思ったけど、店員のテンションも高かったですよ。

──シェルターは年々総合的なライブハウスになってる。

西村:あっちもこっちもいいと思えるようになったところが、いいところでもあり悪いところでもあり…(苦笑)。いいものはいいって言えるようになったのかな。「そんなんじゃパンクじゃねえぞ!西村」みたいのも耳にしますけどね(笑)。

──今年振り返って、これは良かったっていうバンドいます?

大塚:音源で言ったらavengers in sci-fiが良かった。『avenger strikes back』は、めちゃめちゃいい!

西村:俺は、ライブで言うとa flood of circle。まだ学生で下北中心に活動している東京のバンド。わかりやすく言うとニューウエーブリバイバルみたい。

大塚:a flood of circleは、見る度に良くなってますよね。

西村:日本語でやってるバンド、ニューウエーブリバイバルとか好きなんです。ボーカルの存在もなんとなくですけどエレカシの宮本さんとかに…似てないんですけど、存在感が…。今年はどうにかならないかなって思います。

──本人の音楽の好き嫌いがあると思いますが、ブッキングする立場としては何が一番ひっかかるんですか?

西村:基本的にライブで見るから、ひとつでもいいからかっこいい要素があればいい。20分とか30分の中で、一瞬のフレーズだったりアクションだったりがかっこよかったら…。あとはもう1回見たいかどうか。sister jetとNalasはそうでした。2バンドともがんばって欲しいってずっと思ってて、思いの外この2バンドが仲良くなって、共同企画を定期的にやろうって話になってるみたいです。あと今年1番でかかったのはバングリ(バンドオブグリマーズ)ですかね。

大塚:バングリは100%頭に残りますね。人間力が強いバンドっていいですよね。

──バンドオブグリマーズは知らない人に向けて言ったらどんな感じのバンド?

大塚:『ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース』の頃のニールヤングだなって思った。

西村:プロフィールにはニールヤングって書いてるけど、俺はTeenage funclubっていう感じがする。

──(笑)無意味な轟音みたいな…。

西村:いつの間にか人が1人増えて5人になって、トリプルギターでがんばってましたね。

──(笑)なるほどね。やっぱりライブハウスの現場でしかわからないものってありますよね。

西村:どっかの映画じゃないですけど、「現場で起きてるんだ!」って(笑)。

何にも変わろうとしてません

──2006年はいい感じで過ごせましたか?

西村:俺は仕事をなめてたわけじゃないですけど、ツアーとZeppが終わって気が抜けちゃいましたね(苦笑)。

──2007年の展望は?

西村:これを聞かれてよく答えるのが「何にも変わろうとしてません」。どっかのウイスキーみたいにがんばります(笑)。

──深く濃くやわらかく…(笑)。でもライブハウスとしてはその時々で受けるシーンの流れとか、お客さんの反応を見ると基本は変わらないけど細かいところでシフトチェンジはしなきゃいけないですよね。

西村:シェルターの中でもニューラインナップのラインは一個作りたいな。ツアーもまたやりたい。それができたらもう一皮剥けるんじゃないかな。春になんかやりたいです。春って大学とか就職とかで東京にいっぱい人が入ってくる時期だから面白いことやりたいな。

──夏休みの季節とかになると、今度は学生さんがライブハウスに遊びに来るんじゃないですか?

西村:いやー、フェスで全然ですよ。でも大きなフェスになればなるほど、出演するバンドのジャンル決めてないじゃないですか。だから、フェスのバックヤードは雰囲気が良かったり、シーンを作るとは違うカテゴリで流れがあるんですよ。

──でも何日もフェスでお客さん持っていかれちゃったら、正直イベントが大変じゃないですか? ああいうフェスってライブハウスの店長的にはどうなんですか?

西村:俺はバンドやってるからバンドで出たい! フジロック出るんだったらホワイト以下は出ない!(笑)

──ロフトも大変でしょ?

大塚:大変ですね。

──ライブハウス主導で屋外のフェスをやるとかおもしろそうですよね。

大塚:前々から、ロフトテントとかシェルターテントっていう話はあるんですよ。でも最近はロフトプロジェクトが主体で“ROCK ON THE ROCK”(愛知県で行っているイベント)がそうじゃないですか。

──違うよ。ロフトかシェルター主導でやりますよ!みたいなもっとでかいこと言おうよ(笑)。

西村:野外でやるかはわからないですけど、もう1回全国ツアーとオールナイトでイベントやりたい。

大塚:俺はコマ劇場の前に櫓をたてて盆踊りやりたいんです。歌舞伎町大祭りをロフト始動でできないかと思って。ロフトで屋台出して…。

──ロフト31周年の構想としては?

大塚:リニューアルして8周年。けっこう変わったと思うんですよ。歌舞伎町ロフトが好きなアーティストもいるし、西新宿が好きなアーティストもいっぱいいるし、昨年ようやくミックスできたかな。祭りもやりたいですけど、中学生が出演する500円ライブとか今までのライブハウスのイメージを覆したい。

──ロフトは、前代未聞の30時間ライブやったじゃないですか(笑)。

西村:あれギネス載るの?

大塚:どうなんですかねー。

──(笑)あのイベントはどうでした?

大塚:30時間ライブは、とにかく長かったです。

──すごいイベントでしたよね。

大塚:30時間っていうお祭りイベントだったっていうのもあるけど、500円だからっていうのもあって意外とお客さんが来てくれたんです。バンドを見に来たっていう人もいっぱいいましたけど、ロフトってこういうところなんだって見に来る人も多かった。あとは目当てのバンド以外にも楽しんでましたし。

──それは、ロフトが目指すロッキンコミュニケーションですね。30時間はやってよかったですか?

大塚:やってよかったです。

このアーティストの関連記事
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻