2006年に新宿ロフトは30周年。下北沢シェルターは15周年を迎えた。そこで新宿ロフトは1年かけて30周年の歴史を見せる一大イベントを、下北沢シェルターは地方ツアーに回りツアーファイナルをシェルターの10倍以上にもなるZepp Tokyoで行うという、お互いのライブハウスにとって歴史に残る1年となった。今回は2007年を迎え、昨年の思い出と共に今年に懸ける熱い野望を両氏にお話していただいた。ライブは会議室ではなく、現場で行われているんだということをヒシヒシと感じた対談となった。でも、ライブハウス運営するって大変ですね...。(interview:椎名宗之 / text:やまだともこ)
ライブハウス離れをした人たちにも来て欲しい
──2006年の総括として、ロフトは30周年、シェルターは15周年を迎えて、率直な手応えを伺いたいのですが…。
大塚:30周年イベントの仕込みを始めたのが一昨年の10月ぐらいからだったから、とにかく長かったです。毎日すごく濃かったです。
──年齢的に若い大塚さんがロフトの30周年っていう歴史を顧みるときにプレッシャーになるとかあったんですか?
大塚:めちゃめちゃありましたよ。自分が産まれる前からライブをやってる人がいっぱいいましたからね。76年から86年の10年を振り返るっていう第1期の1月なんか関係者が全員自分より年上…。
西村:年上と接するって気を使いますからね。
大塚:でも、自分の知らない時代にライブやっていて、今でも音楽を続けてる人っていいんですよね。ムーンライダースとかのライブはすごく感動しました。
──ロフト30年の歴史を見せるっていうイベントも、10/1に行なった30時間ライブも「始める」ということは相当な動力ですよね。ロフト20周年は武道館で、30周年はあえてロフトで根を張ってイベントやりましたもんね。
大塚:ここからっていうのがありますから…。
──『SHINJUKU LOFT 30TH ANNIVERSARY“ROCK OF AGES 2006”』では、年間を通して貫こうとしたポリシーってあります?
大塚:店長になったのは昨年の10月からなんですけど…。出演者がどんなに先輩でも乾杯の音頭をとるとか出演者全員と会話するとかは常に気を付けてましたよ。このイベントによって新たな出会いも数々あったので、今年はロフトを知らなかった人にも知ってもらえるようになりたい。ライブハウス離れをした人たちにも来て欲しいですね。
──小滝橋にすごく通ってたんだろなっていうお客さんも年間で見た気がしますよね。
大塚:『ROCK IS LOFT 1976-2006』(2006年8月発行の新宿ロフトの30年をまとめた本)とか30周年記念Tシャツもそうなんですけど、ロフトに来たお客さんがけっこう買ってくれるんです。ロフトが好きで来てくれてた人がいっぱいいたんだって嬉しくなりましたよ。
──30年間の重みを25歳の大塚さんが背負うプレッシャーもありますよね。
西村:俺はそのプレッシャーには耐えられない(苦笑)。
──そんなこと言わずに…(笑)。シェルターは15周年を迎えSHELTER TOURSに出たり、Zepp Tokyoで大がかりなイベントもやられたり…。
西村:そう考えるとロフトとは対局でしたね。ロフトは自分の店でイベントをやり、シェルターは外でイベントをやった。でもお互い意地張ってたわけじゃなくて自然にそうなったという感じでした。
──SHELTER TOURSは念願の夢でしたよね。
西村:昔からどっかでやりたいって思ってたんです。
──ツアーはバンドと関係者の愛で成り立っているところが多かった気がしましたよ。
西村:仕事ではあるんだけどツアーの参加にOK出してくれたバンドは、それ以上の関わり合いでできたものなんじゃないかって思いますよ。だから、俺がシェルターで働き始めてからのバンドが多かった。もっと昔のバンドをからめても良かったのかな。
──でもツアーをやったりZeppのイベントにしても、10周年の時とは変えていこうというのはわかりましたよ。
西村:昔からシェルターは旬なことをやりたいっていうところがあるんです。流行ってるものを追いかけるっていう意味とは違うんですが…。
──ツアーは本当に楽しそうでしたね。
西村:WEBやRooftopの誌面にも書いたけど、身内ノリがでかくなったっていう感じでいいかな、と。お客さんとかバンドとかっていう括りがあまりない。みんなで一生懸命やりましたね。
──Zeppで一番象徴的だったのは、最後のバンド(YOUR SONG IS GOOD)のアンコールが終わって、店長(西村)がステージに出てきた時に、シェルタースタッフの煽りと後ろにいる関係者のヤジでお客さんも盛り上がってましたよね。
西村:大きな飲み会やろうっていうコンセプトだったので。だから飲みに来たお客さんがいっぱいいた。たくさん身内を作るっていうことには成功したと思いますよ。
──単純にひとつのライブハウスの店長だったらツアーとか出来ないですよね。
西村:他の小屋の人とかうらやましがってたと思います。でも地方だとニュアンスが違ってライブハウスの人が、気に入ったバンドとツアーしたり、バンドに付いて回ったりしてることってあるみたいですよ。