不器用極まりない男のやさぐれた夜の捌け口は、一杯のウヰスキーとそっと寄り添うブルースがあればいい。それがポケットサイズのブラックニッカと夜のストレンジャーズの歌ならばなおいい。ミウラ(vo, g)が喉元から振り絞る酒焼けした歌声は、他人行儀で冷たい夜を甘美で優しい夜に変えてくれる。日本全国津々浦々でブギ革命を巻き起こしている夜のストレンジャーズ(通称:夜スト)が約1年振りにブチかます通算4作目のアルバム『SOUL ON FIRE』は、ロックンロール、リズム&ブルース、ブギ、ソウル、ジャズ、ロッカビリー、パブ・ロックなどあらゆる音楽的要素を噛み砕き血肉化した渾身の一作だ。男心をくすぐるセンチメンタリズムと心意気が全13曲に通底し、如何にも夜ストらしい誠心誠意なソウルは健在。ネモト・ド・ショボーレ(DECKREC代表)が見守る傍らで旨そうに瓶ビールを呷るミウラが、終始はにかみながらもこの会心作について誠実に語ってくれた。(interview:椎名宗之)