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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】テルスター(2006年5月号)- 決意はあるのか?

決意はあるのか?

2006.05.01

横山マサアキが横山マサアキである決意

02_ap06.jpg──『心ふるわせたこと』はうんうんって聞かせるアルバム。でも今回はこれでもかこれでもかって畳みかける。迫力があってライブ盤みたいです。

横山:今回は一発録りだったので。OKかどhいうかは聞き直す前に、感情を込められたかどうかで決めたので、ライブ感が出てると思います。間違ってたとかずれてたとかうまく弾けなかったというのは今回考えずにやりました。

──ライブの雰囲気そのままで、迫力のある横山さんの顔が浮かんできました。

横山:それはうれしいですね。本望です。気持ち的にはライブのつもりで。音とか構築していくことが僕の中であんまり重要じゃないのかなみたいな。どれだけ熱くなれたかってところでしたから。

──前のはキレイでしたもんね。

横山:音も歌もハッキリくっきりみたいなかんじでしたけど、今回はもっと生々しい感じを出したいなと。これがテルスターらしさじゃないかなと。キレイに取り繕うよりかは、手づかみでラーメンを食べるような(笑)。

──野獣的な。って手づかみで食べる必要はないですけどね(苦笑)。

横山:でも敢えて熱湯のスープに手を入れる!ってことをやってみました。

──…はい。テルスターらしい作品というか、横山さん個人がすごく出ている作品だと思いました。

横山:横山チックですかね。って僕の何を知ってるんですか(笑)? さっきから横山さんらしいと。僕の何を見たんですか? 僕の好物さえ知らないのに(笑)。

──好物? 脂っぽいもの好きそうですよね。

横山:失礼なッ(笑)。もう! そんなインタビュアーいないですよ(笑)。脂っぽいモノ好きですけど…。そうじゃなくて、僕が詞曲を書いて歌ってるんで、たぶんテルスターに関しては僕の気持ちだとか心情とか生き様みたいなものが中心になっているというのは抗えないんでしょうね。それがメンバーはおもしろいと思って一緒にやってると思うので。横山アンソロジー。人間横山マサアキをフォーカスして、曲にしても貫いてみました。

──ジャケットも横山さんの幼少時代ですし。

横山:人間横山マサアキを打ち付けたような感じを出したいなと思いまして、自分の色が出せたんじゃないかと思います。自分の音楽観とか人生観を凝縮した曲を作れたのは横山マサアキが横山マサアキである決意なんです。僕は僕として生きていく決意があるっていう強い感じが表せたんじゃないかなっていうので充実してたんじゃないかな。

──ひねくれたところもあり、素直なところもあり、皮肉っぽいところもあり。…というのも『海洋博』(M-4)の「大就職セミナーにセイウチたちの群れ」っていうフレーズが皮肉っぽく感じたんです。

横山:就職に対して群れる人をセイウチに例えて「バーカ!」みたいな? そんな感じではないですよ。クラブライナー(新高円寺にあるテルスターメンバーが主に経営するライブハウス)を始める前はサラリーマンやってましたし。でも現代社会を皮肉ってるように見えるんでしょうね。僕の音楽のテーマは人との関係もそうですし、社会と自分との関係もそうですし、違和感を感じる部分ていっぱいあるじゃないですか。そこに焦点を当ててコミュニケーションというところで皮肉な部分が『海洋博』にはすごく出てるのかな。

──この曲だけ雰囲気が違いますもんね。

横山:他は言いきってる感じですけど、曲調も違うしこれだけシニカルですよね。そういう部分もひとつの本音なのかなって思いますけどね。

──「登場人物は上様で…」っていうのは?

横山:誰にでも当てはまることだよってこと。登場人物はあなたかもしれないし僕かもしれない。そういうことを言ってると思うんです。

──横山さんたまに第三者的な言い方をしますよね。

横山:自分の魅力が自分でわからないように、いくら客観的に自分を見てもわからないんですよ。まだそういう部分を模索してるんじゃないでしょうか。

──模索中ですか。あと、『ジャズとか、』(M-5)というタイトルだったんですが、この後に何か続くんですか? もやもやしたかんじが残りますね。

横山:聴きたくなるじゃないですか。このタイトル見て何か感じます?

──ジャズとか、なんだろうって思います。

横山:この2曲はシニカルで歯切れがよいかんじではないですね。なんだろうっていう気持ちを誘った音楽かもしれないですね。

──やっぱりちょっとひねくれてますね(笑)。

横山:ひねくれ者達のためのひねくれた音楽(笑)。

──そういう人たちがストレートに詞にぶつけていて、素直になるっていいことだなって『ある決意』を聴いて思いました。

横山:そうそう。素直になるって恥ずかしいじゃないですか。僕も恥ずかしかったですもん。

──そして最後の『夕日は昇る』では友部正人さんの曲をカバーされて。

横山:音楽と友部さんの関係がすごくいいなと、そこに影響を受けたんです。音楽の捉え方が理想なんです。ああゆう人になりたいんじゃなくて、ああゆう関係性で音楽と付き合っていきたい。

──ではこの曲を選んだのは?

横山:友部さんの中ではストレートな物言いの曲なんですけど、今回の自分達の力強さにテイストが似ていhいて、今までもテルスターのライブで演奏していたので、いい機会というか、流れとしてもいいんじゃないかと思ってやりました。違和感なくできてます。

たとえ一人しかいなくても音楽を届けたい

──クラブライナーの経営もされていろんなバンドと出会って、自分達に影響されることってあります?

横山:もう毎日のように。音楽性は100バンドいたら100通り音楽の捉え方があって、どれが正しくてどれが良くてこのバンドをマネしようとは思わないですけど、100人が100通りのことを自信を持ってたらいいと思いますし、悔しいと思うこともあるって刺激的な影響をうけてますね。具体的に音楽性に影響してるかはわからないですけど、音楽を作ってる人間として何かを発信したいっていう方々が毎日ステージに上がってるのを見ると勇気づけられますね。

──いろんな人がいますからね。そういう意味ではバンドやって、いろんな人にも会えて一番いい環境なんじゃないですか?

横山:心身ともに充実していますし、音楽に対する思いもライブハウスもいい状況、いい影響を与えてるとも思います。テルスター、ザ・ガールハント、スケルトンズ含めたライナー界隈の感じってのが今非常に熱を持ってやれてるんじゃないかなってのは嬉しいですね。素晴らしい環境だと思います。

──ところで、テルスターは全国ツアーも始まってますが。

横山:昨年ぐらいから全国津々浦々ライブをやらせてもらえるようになって、バンドをやることライブをやることをもう一度噛みしめるような経験がすごく多くなりましたね。「聴いてくれる人が一人でもいるなら歌いにいきたい」というのを今までは一人だったら行く意味ないんじゃないかとか思ったりもしてたんですけど、今ではたとえ一人しかいなくても音楽を届けたいなって純粋な気持ちでライブをできるかな。という意味ではすごく楽しみです。ぜひお近くにお住まいの方は遊びに来ていただければ。

──テルスターがツアーに出たらクラブライナーはどうなるんですか?

横山:ホールには人がいるんで大丈夫です。だからクラブライナーの看板も背負ってライブをしに行こうかなと思ってます。

──最後に7/15のロフトワンマンの意気込みを。

横山:1年ぶりのワンマンなので、いろいろ思ってきたこと考えてきたことを全身でぶつけられるライブにしたいです。悔いのないように、思いの丈を全て表現できるようなライブになればいいなと思いますね。がんばるのは当然なんで、僕にとっても見に来てくれる皆さんにとっても価値のある一日にします。はい。テルスターも記念碑的ないいミニアルバムができたと思います。自信をもって聴いて欲しいって言える作品なので、聴いたことない方がいたら手にとってライブに遊びに来てもらえたら最高に嬉しいです。これをラーメンに例えると…。

──ラーメンのたとえはもういいです(笑)。

横山:今回Rooftopにもいろいろお世話になり、LOFTにもお世話になりますし、みなさんに支えられてやれてるなっていうのは日々実感してます。

──いろんな人に支えられて成長してくものですからね。

横山:みんなまわりに対して仲良くしていくべきだと思いますよ、これからの社会。

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