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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】テルスター(2005年1月号)- 本気と本音の真っ向勝負! 受け取って下さいテルスターの最高傑作!!

本気と本音の真っ向勝負! 受け取って下さいテルスターの最高傑作!!

2005.01.01

例えゴールだとしても本当にゴールなのかなって疑い続けるというか、問い続けるというか、そういう気持ちが新しいモノを生んでいくし、原動力となると思いますね

──では最後に、Rooftop読者に一言お願いします。
 
横山:15年間くらい音楽を続けてきて、こういうのが嫌になる時もあると思うんです。音楽に関わっていると良いことばっかりじゃないと思うし。でも、そういう営みも含めて全部、本当に素晴らしいことだと思うんで、社会的や経済的な理由を言い訳にして音楽を聴くのを止めたりするのはやめて欲しいですね。音楽に対する熱い想いを忘れないで欲しいですね。まぁ、みなさんと一緒にやっていきたいです。“それでいいじゃないか”っていう感じです。
 
──“それでいいじゃないか”ですか。
 
横山:20代後半になっても何が欲しいとか、どんな仕事がしたいとか、何になりたいとか、お金が欲しいとかモテたいとか考えが錯綜するんですよ。考えたりすることは悪いことじゃなくて、そういうことが実は一番大事なことであって。簡単に答えを見つけてゴールを見つけて、そこで安住していくのは面 白くないし、僕は生きてることだとは思わないんですね。例えゴールだとしても本当にゴールなのかなって疑い続けるというか、問い続けるというか、そういう気持ちが新しいモノを生んでいくし、原動力となると思いますね。
 
──赤裸々な横山さんが今作に出し切られていますね。
 
横山:話が大きくなってしまいましたが(笑)、そういう心持ちで音楽を作りました。それは絶対に伝わると思っているんで…結構いいですよ。僕が聴いていて感動しますから。今まで自分の音楽を聴いていて感動しなかったですからね。
 

テルスター横山マサアキ氏による『心ふるわせたこと』全曲紹介!!

1. そのまま進むのだ
 人なんてだいたい上手くいかないんですよ。他人から見て上手くいっていることでも大概、上手くいってないんですよ。でも上手くいってないと思いながらも進んでいくこと、それが次に何かをする上での動機になる。別 にあなたやみんなの失敗は失敗でもなんでもなくて、次に何かをやる上でのステップ、材料なんじゃないかと。“上手くいかなかったことに対して責任を取ることはないんだよ”っていう歌です。
2. ホントのところ
 先程も申し上げましたが…僕のホント(本音)のところです。
3. ヒネクレファンクス
 素直っていう言葉は捻くれたからこそ出てくる言葉なんだと思うんですね。戦争があって平和があるじゃないですけど、素直さの対極として捻くれというものがある、それを突き詰めた感じですね。ファンキーでダンサブルな感じで、曲自体は新しくなくてテルスター結成当時からあったもので、こういう音楽をやるのはちょっと早すぎるんじゃないかと…この曲を作った時のテルスターではやっても意味がないんじゃないかと思っていて。でも今はそういうんじゃなくて、“今やらなきゃ、これも僕なんだし”って。だって自信があるんだもん。新境地開拓ですね。
4. 禁じられています
 最初のイントロなんかは昔のソウルっぽいっていうか、R&Bっぽいっていうか。この曲は新しいですね。この3・4曲目はテルスターにとって新しい感じですね。…恥ずかしいですね、自分の曲を解説するのって(笑)。
5. 呼んでも来ない
 1stアルバムに「呼んで呼んで」って曲があって、呼んでみたんだけど…ちょっと来なかったみたいな(笑)。すれ違いを唄ったアンサー・ソングです(笑)。
6. 何も答えないさ
 答えを出しても、出した答えに対して疑いを持つっていうか…安住しないっていうか。前は向くけど答えは出さない、みたいな。
7. ブラスバンド
 ブラスバンドって知ってます? それですよ、それ。僕、中学1年の時に吹奏楽部に入っていまして、その中学の付属の高校が甲子園に出場した時にブラスバンド部として応援したんです。この曲の内容とは全く関係ないんですけど…(笑)。これは“ブラスバンド”っていう曲名が自分のなかで来たんです。“ブラバン”…“ブラスバンド!!” そういう無責任なところも見せたつもりです。でも歌詞は無責任じゃないですけどね。歌詞的には、この曲もあまりに本音すぎて本音のタイトルにしようと思ったんですけど、「ブラスバンド」っていうタイトルにすることによって…『スウィングガールズ』とか流行ってるし、そのブームに乗ってみました(笑)。それは冗談ですけど、人間が判り合える、合わないとか判り合ってるけど信じてないとか、複雑な人間関係を唄った曲ですね。タイトルには何の意図もないです。自分らしくなれないのが僕にとっての自分らしさですね。
8. 我流で枯れ流
 これは一番最後に出来た曲で、結構“枯れちゃった”とか言う人いるじゃないですか。実際枯れてないのに自分で枯れちゃったと思ってるだけなんじゃないかって。自分で自分のことを枯れさせているだけであって人はどうも思ってないよ、自惚れるなってことですね。これは自分に対しても。結構、本質ですね。この曲だけ増沢君がメインでヴォーカルをとっているので、見え方としては新しいテルスターかもしれないですね。
9. 心ふるわせたこと
 先程言った感じで…。
10. ひとりはひとり
 これは僕の弾き語りなんですけど、いろいろ取り繕いながらやってきましたが、本当の自分の本音ですね。テルスターのメンバーの横山っていうよりは、一個人の横山としての独り言ですね。昔、一人で弾き語りとかしていたんで、そういうことをやってもテルスターなんだっていう自信ができたからやったんでしょうね。今まではこういう曲を入れたらテルスターじゃなくなってしまうっていう不安定さがあったんですけど、何やってもテルスターだって胸を張って言えるようになったんでやりました。はい。このアルバムは良いですよ。
 

テルスターA&RのN氏が熱弁する『心ふるわせたこと』のここを聴け!!

 今までみんなが言うように、テルスターの曲は捻くれていたのがほとんどだと思うんですけど、今作も多少は捻くれているけれど今までとは明らかに違いますね。横山君の中で強く思っていたとしても恐る恐る言っていたことが、今作は無理矢理にでも強く言い切っているっていうのがカッコいいと思うんですよね。100%自信はないけど言い切ちゃっている部分、揺れ動きながらも進んでいこうとする部分が説得力になってるんじゃないかと。それは「そのまま進むのだ」の最後の歌詞“楽勝! 楽勝!”っていうところに如実に表れていて、今までだったら言えなかったと思うんですよね。本当は楽勝じゃないのに“無理にでも言ってやるぜ!”っていう姿勢っていうか、そこがカッコいいですね。
 さっきの話の中で「我流で枯れ流」は“枯れているわけではないのに、自分で枯れたと言ってしまっている”ってあったけど、実際それは横山君自身のことだったっていう。それがこのインタビューで判って良かったですね。今までは本質を説明立てていたものが、今回はそれなしの部分で横山君自身のパーソナルな作品になったなと。人間臭さが凄い出ている、だからこそグッときてしまうっていう。どこを聴いて欲しいっていうのはないですが、このアルバムの魅力はやっぱり人間が生きていく上でいろんなことを思うっていうこと、そんな人間臭い部分、そこが最大の魅力だと思います。横山君自身はカリスマでも何でもなくて、楽しんだり悩んだり時にもがいたり…それはみんな一緒なんだよって。今回のキーワードは“人間臭さ”だと思うんです。…やっぱりこの企画なしにしましょ…(笑)。
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