なぜ電力会社が強いのか、その構造が見えてきた。電力会社の得られる電気料金は「総括原価方式」という仕組みで作られ、必要となった資金に3%の適正報酬率を上乗せして電気料金総額から徴収できるのだ。わずか3%だが、電力会社が得られる収益を最大にしたかったら、「必要となる資金」を大きくすれば報酬額を大きくできる。つまりカネをかければかけるほど儲かる仕組みになっているのだ。その結果、日本の電気料金は先進国で最も高くなり、多額のカネのかかる原子力発電を推進できたのだ。
この3%上乗せできる費用には、広告宣伝費も含まれる。電力会社や業界団体、関連法人全体で、推定1500億円以上の広告宣伝費が使われている。日本最大のこの資金が、メディアを黙らせている。金融機関に支払う金利も3%上乗せできる対象だ。わざわざ高い金利で借りれば、報酬額を大きくすると同時に金融業界を支配できる。発電所の多額の建設費はゼネコンを潤し、1994年の「ゼネコン疑惑問題」で明らかにされたように、口利きした政治家へ1〜3%が政治資金として流れた。こうして電力会社は、周囲の業界すべてを潤しながら影響力を強くしてきたのだ。
このツケを払わされたのは主に家庭だ。電力会社以外から電気の供給を受けられない仕組みの中で、否応なしに人々の電気料金から奪われた。さらには電源三法の税が上乗せされ、原発などの立地費用に使われた。これらすべての被害者とされた家庭は、アメリカの実に3倍の電気料金を払わされることになったのだ。
ぼくらは被害者になっている以外にないのだろうか。太陽光発電が値下がりし、高性能なバッテリーが開発された今、家庭は独立して発電できる可能性がついに出てきた。昼間発電した電気を貯めておいて夜に使えば、電力会社の送電線につながらなくても電気が自給できる時代になれる。それなら送電線にリボンをつけて、みんなでテープカットしてしまおう。電力会社から独立して、自分たちで電気を自給してしまえばいい。電力会社は最大の収益源を失うことになる。ぼくらは言いなりになる羊たちを脱して、意志をもって独立宣言をするのだ!