「どーして一途になんなきゃいけないの?それって人生、もったいなくない??」
缶ビールを片手にナツミが酔っぱらい口調で私に訴える。
ナツミと一緒にいるととても楽だ。
このご時世「ゲス」なんて言葉が流行りだしちゃったせいで、ちょっと男と遊んだくらいでゲス扱いされる。
まわりの優等生ぶってる女友達といるとまるで私は悪者扱いだ。
衝動的に恋に走ることをこんなにも白い目で見られてしまうなんて!!
そんななか、唯一「仲間」だと思えるナツミ。
終電が終わった後に家が近い私とナツミは駅の近くにある公園で呑みをする。外でお酒を呑むのに最高な季節なんだもん。
コンビニで買った缶ビール、つまみに柿ピーと乾き物。
この「おっさん呑み」がたまらなく楽しい。
蒸し暑い夜、酒を片手にお互いの会社の愚痴とか、気になってる男の話とかを延々とする。
「とりあえず楽しきゃいいよ、人生。」ナツミがそう声をあげる。
「本当にそう!!だって人生は一度きり!!」 調子に乗って声をあげる。
幸せが何かはよく分からないけど、私とナツミは今かなり幸せだ。
同じフィーリングの人間がいること、安月給のなかでやりくりをする生活、どうにかして仕事もプライベートも楽しんでる大人な自分たちが嫌いじゃない。
そう、大人を楽しまなきゃ意味がない。
だってムカつくことも理不尽なことも逃げたくなることもいくらだってあるから。
うちらは日々のなかで「楽しみ」を見つけて生きていく。
優等生じゃなくていい、他人からどう思われても良い。
「呑み足りなーい。もう一本、コンビニに買いにく?」
「でももう2時だよ?ま、いっか!!明日も早いけど!!あと一本ね。」
「あたしも明日早いけど!!なんとかなる!!でもちゃんと帰ったら顔パックはする!!あたしえらい!!」
夜のだだっ広い公園に女二人の声が響く。
私たちは人生を楽しんでいる。