街はイルミネーションがわざとしらく輝き、色とりどりのクリスマスソングが鳴り響く。
そんな師走、香織とノリで相席屋に行くことになった。
新宿の靖国通り、ビルの6階にある相席屋。
とりあえず男と呑みたかった。
相席屋に向かうエレベーターの中で、たまたま男性ふたりと一緒になった。
そこで偶然、目が合った人。二重の塩顔、身長が180センチくらい、スーツがとても似合っていた。
目が合った瞬間、そらせないでいた。
それは私だけじゃなくて彼も同じだった。
3秒ほど目が合った後、6階に着きそうになったとき。
名前も知らない彼が「あの、相席屋行くなら4人で別で呑みませんか?」と言ってきた。
一緒にいた男性は「え!なに急に!」とびっくりして、香織も「え?え?」と急なことで戸惑っていたけど、私は咄嗟に「是非!!」と大きな声で返した。
彼の名前は佐藤さん、友達が吉村さん。SEの仕事をしていてうちらと同じで軽いノリで相席屋に行くところだったらしい。
ノリもいいけど、気遣いもできるふたりで不思議なほどに意気投合した。
あっという間に終電の時間がきた。
「お手洗い行ってくる。」そう言って席を立つと
「俺もトイレ。」と佐藤さんが後ろをついてきた。
トイレに並んでいると気持ち良さそうに酔っぱらった佐藤さんが「明日は仕事?」と聞いてきた。
「仕事だけどお昼からかな。」
「じゃあ、このあと二人で呑まない?」
この言葉をエレベーターで目が合ったときから待っていた。
こんなチャンスを逃したくなくて頷こうとしたとき、ふいにキスをしてきた。
ふわっとしたキス。
やさしく唇に触れた瞬間、胸がバクバクと鳴り響きだした。
やばい、これ。
一目惚れ、お酒の酔い、師走のよく分かんない衝動で私は思わずキスをし返していた。
恋なんて素面じゃできない。