もう恋なんてしたくない。
こんなに苦しくなったり切なくなったりするなら
もう誰も好きになりたくない。
午前一時
浩一に送ったLINEが一時間経っても既読にならない。
いつもなら一時間くらい既読にならなくても何も思わないのに。
最後に言い放ってしまった喧嘩腰の言葉に少しだけ後悔をしている。
あんなことを言いたかったわけじゃない。
ただ、あたしはあたしのことをちゃんと見てほしかっただけだ。
読まれないままのLINEをスクロールさせて、一ヶ月前、三ヶ月前の会話を読み直してみる。
こんなに楽しく会話できていた・・・・
二人とも思ったことを言い合えたり、許し合えたり、認め合えたはずだったのに・・・
どうして今はこんなに遠く感じるんだろう。
あたしが浩一の「一番」じゃなくなったからだ。
どのときが「一番」だったかも分からないけど、確かに一ヶ月前よりも、三ヶ月前よりも心の距離が遠ざかってるのは分かってる。
午前三時、送ったLINEに既読がつかなくてなかなか眠れない。
もうこんなことくらいで落ち込んだり、イラついたりするなんて嫌だ。
本当は会ってちゃんと話したい、こんな言葉のやりとりだけじゃ何も解決しない。 せめて電話で声だけでも聴けたら・・・
既読がつかないけど、電話をかけみた。
馬鹿みたいに10コールも鳴らした後、諦めて携帯をベッドの投げた。
夜が長くて気が狂いそうだ。
浩一から一本でも連絡があれば、それだけであたしは呼吸がちゃんとできるのに。
さめざめ:笛田さおり(フエダサオリ)
女の子の誰にも言えない“生”の気持ちを歌うアーティスト。時に痛く、辛く、切なく。時に傷ついた心にそっと優しく寄り添う。
1982年1月24日生まれ 鎌倉市出身
音楽家・文筆家・作詞家・アクセサリー作家
2004年、作詞家としてメジャーデビュー
2009年、「愛とか夢とか恋とかSEXとか」の誕生をきっかけに笛田さおりのプロジェクトとして“さめざめ”の活動を開始。
2012年12月シングル『愛とか夢とか恋とかSEXとか』でビクターエンタテインメントよりメジャーデビュー
2014年9月メジャーファーストフルアルバム『さめざめ白書』をリリース、同月にディスカヴァー・トゥエンティワンから初の書籍「誰にも言えない恋ばっか」を出版。
2015年11月11日 インディーズ回帰作「HのつぎはI」をリリース発表
2016年7月 「きみが死ぬとき思い出す女の子になりたいEP」をリリース
2017年6月7日ミニアルバム「東京ポルノ」リリース