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トップコラム戌井昭人の想い出の音楽番外地第百六回「連載再開はダモ鈴木を偲んでCANから始めます」

六回「連載再開はダモ鈴木を偲んでCANから始めます」

第百六回「連載再開はダモ鈴木を偲んでCANから始めます」

2025.06.24

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 しばらく連載を中断していましたが、また再開させていただきます。のこのこ戻ってきましたが、どうぞよろしくお願いします。
 別に死にかけていたわけではありません。いろいろバタバタしているような気になって、音楽連載に追っつけなくなっていました。
 
 それにしても、やはり音楽を聴くというのは、とても楽しいことであり、さらに、気になった音楽というものは、誰かに伝えたくなるものです。
 では、久しぶりですが、単純に、わたしが聴いた音楽で、お勧めしたいものを、偏った感じ、正しい情報2パーセントくらいで、紹介していきますので、ご勘弁ください。
 
 この連載を中断していたときに、ダモ鈴木さんが亡くなりました。ドイツのバンド、CANのボーカルであった、ダモ鈴木さんを、インターネットが盛んになる前に知ったわたしは、当時は、情報がほとんどなくて、とても謎の人でした。だから、エキセントリックな噂ばかりを聞いていました。叫び声をあげてスタジオからいなくなって脱退したとか、伝道師になって、アフリカかどこかに行ってしまったとか、でも、後から知ると、それは、いろいろ誇張されていたところもあるようです。
 
 ダモさんは、その後も、ドイツに住んで、いろいろお仕事されていたようです。なんだか、記事を読むと、ドイツにある日本企業のアドバイザーみたいなことをされていたとか、結構、真面目にやっていたのかもしれません。
 後年というか、何年か前に、ダモさんは、日本にやってきて、盛んにライブをやっていました。そのとき、友達も一緒にライブをしたりしていました。どんな人だったか聞くと、過去にメチャクチャな噂があったのに、とても紳士的でクレバーな人だったのだそうです。
 
 そして、ダモさんの死亡記事が、去年、小説を連載していた読売新聞に出ていたときは、思わず切り取ってしまい、興奮して、Xにも載せてしまいました(投稿はこちら)。
 
 でもって、この『音楽番外地』の連載の最初が、CANだったので、再開にあたって、またCANから始めてみたいと思います。
 
 “CANであって“KAN”ではありません、と、以前も書きました。
 しかし、CANのダモ鈴木さんも亡くなりましたが、残念ながら数年前に、「愛は勝つ」の、KANさんも亡くなってしまいました。
 ドイツバンドのCAN好きからすると、口頭で、「カン好きです」言うと、「愛は勝ちますよねぇ〜」などと言われることがあり、ムカっとしていました。そのことも前回に書きました。
 
 でもって、今回、あらためて、KANさんの「愛は勝つ」を聴いてみたら、なんだか良い曲でした。1990年の発表で、『野球選手が夢だった』というアルバムに入っています。他の曲を聴いてみても、キュンとくるような感じのものばかりで、1990年、当時の自分だったら、「なんだ、この曲!」と悪態ついていたと思いますが、どうにもこうにも、あのころの淡い感じが甦ってきて、なかなか良いものでした。なんだか歳をとったものです。
 

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 しかし、当時の、わたしの青春は、やはり「最後に愛は勝つ」ではなく「虹の上から小便」でした。「ひとりでそこにすわってる、あたまのいかれたやつ、にじのうえからしょうべん」といった歌詞。
 この曲は、CANのアルバム『TAGO MAGO』に収録されている「OH YEAH」というものです。曲名が、本当に適当な感じですが、ドイツバンドの重厚でテクニカルな演奏の間から聴こえてくる、メチャクチャだけど、とても格好いい、ダモ鈴木の日本語には、本当に痺れたものです。
 
 「OH YEAH」と「愛は勝つ」、これを交互に聴いてみると、本当にいろんな種類の日本人がいるのだなと思えてくるのです。
 

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LIVE INFOライブ情報

戌井昭人 Book Marché『古本ともろもろ喫茶』
 

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Photo|ASADA MASASHI
 

 作家の戌井昭人がレイニーデイブックストア&カフェに自身の蔵書を持ち込み、古本市を開催します。コーヒーとお菓子も用意します。当日、お店はさながら懐かしい古本喫茶になります。
 この日は戌井本人が店の主人。店番をしております。思い入れのある本、読んでもらいたい本など、置いてある本のエピソードを語りながら販売をします。また、「読書会」や「創作作文講義」も行ないます。もちろん、コーヒーやお茶を飲みに来るだけでも構いません。のんびりと本の時間を遊んだり、創作的な気分になってみたり、本をめぐる小さな旅、ちょこっとのぞいてみてください。
 
Book Marché「古本ともろもろ喫茶」
①コーヒーとお菓子と古本マルシェ
開催日
第1週:2025年6月27日(金)、28日(土)、29日(日)
第2週:2025年7月4日(金)、5日(土)、6日(日)
11時開店、18時閉店
 
②創作作文講義
☞お申し込みはこちらから
開催日時
第1回:2025年6月28日(土)15:00〜16:30(90分)
第2回:2025年7月5日(土)15:00〜16:30(90分)
参加費:¥15,000(税込)/ 全2回
募集定員:最大8名程度
 
文章を書いてみましょう。1回目、戌井昭人が90分の講義を行ないます。2回目には、皆さんが作ってきた作文の発表会を行ないます。創作は、堅苦しいものではありません。あなたが見たものを書く。表現された世界がどんな風に見えるのか、そんな時間を楽しみませんか。
 
③読書会
☞お申し込みはこちらから
開催日時
第1回:2025年6月29日(日)15:00〜16:40(100分)
第2回:2025年7月6日(日)15:00〜16:40(100分)
参加費:¥10,000(税込)/ 全2回
募集定員:最大8名程度
 
戌井昭人の好きな作家、好きな作品を読んで、みんなでその本について語らいましょう。1回目は深沢七郎『みちのくの人形たち』、2回目はつげ義春『貧困旅行記』をとりあげます。
*参加費に書籍代は含まれません。また、会場で課題図書の販売はありません。
 
<参考>
◉深沢七郎『みちのくの人形たち』(中公文庫)
◉つげ義春『新版 貧困旅行記』(新潮文庫)

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