最近、ガソリンがやたら高い、車に乗っていて、ガソリンメーターが減っていくと憂鬱な気分になります。
わたしは、以前、ガソリンメーターの付いてないオートバイに乗っていました。古いベスパで、何キロ走ったか計算しながら乗らなくてはなりませんでした。しかし、計算を間違え、いろんなところで、よく止まっていました。そして汗まみれになりながら、バイクを転がし、ガソリンスタンドを探したものです。
金がないからなのか、ケチなのか、その両方なのか、ギリギリまで給油しない友達がいました。口癖は「メーターがゼロになってもけっこう走ります」、彼の車に乗っていたとき、ガス欠で止まってしまったことが何度かあり、ガソリンスタンドまで車を押したのですが、246の坂で止まったときは、地獄で労働させられているような気持ちになりました。
でもって、わたしは、高校生のころガソリンスタンドでアルバイトをしていたことがあるのですが、どうも態度が悪かったようで、本社で働いている人が給油に来たとき、怒られ、スタンドの裏に連れて行かれ、こっぴどく説教されました。元気に挨拶、車が見えなくなるまで頭を下げてろ! などなど、本当にうるさかった。他にも「オーライ、オーライ」と車を誘導していたら、轢かれたことがあります。つまり態度が悪いというか、鈍くさかったのかもしれません。
昔のスタンドは、街がいまほど明るくなかったから、看板が煌々と光っていて、とても魅力的でした。以前は、「Esso」というスタンドがありました。「Esso」はロゴも格好良く、青い枠に赤い字で、アメリカンな感じがしました。いまは合併されてしまったのか、無くなってしまったのかわかりませんが、見ることはありません。
なんだか、まったく関係ない話をしているようですが、この「Esso」のマークが張り付いているアルバムがあります。これが、エッソ・トリニダード・スティール・バンドです。スティールパンのバンドで、なんと、ヴァン・ダイン・パークスがプロデュースをしていて、いろんな曲がカバーされていて、最高です。とくに、ジャクソン・ファイブの「I Want to Back」をカバーしたものが良くて、歌は、間抜けに清々しく、素晴らしい。
でもって、このバンド、どうして「Esso」なのか? さらにアルバムにあるのは、ガソリンスタンドと同じロゴなのです。最初は「Esso」のコマーシャルバンドなのかと思ったけど違うようです。考えてみれば、スティールパンという楽器はドラム缶を加工した物だから、使っているスティールパンが、Essoのガソリンが入っていたドラム缶だったの? ちゃんと調べればわかるのかもしれませんが、まあ、どうでもいいです。誰か知ってますか?
とにもかくにも昨今、電気自動車への移行がもてはやされ、ガソリン車が悪のようになっているけれど、ガソリンがあって、そのドラム缶があったからこそ、このように素晴らしい、奇跡のような音楽を奏でるバンドが生まれたのかもしれません。そう考えると、ひとまずガソリンに感謝です。