どうしてなのかわからないのだけれど、謎に、よく聴いてしまっている音楽というものがあります。好きなのか嫌いなのか自分でもよくわからないのだけれど、よく聴くので好きなのかもしれません。でも、どうして好きなのか、まったくわからないのです。
そんな音楽の代表が、わたしの中では、トム・ジョーンズであります。まったく格好いいとも思えないし、音楽を聴いてゾクゾクすることもない。プレスリーやジョニー・キャッシュならば、その魅力を語ることができるけれど、この人の場合は、魅力がまったく思いつかないのです。無理矢理思い浮かべれば、凄い声量とか、勢いのある歌いっぷり、なんだか陽気で明るい感じ、などなどいろいろ考えてみたものの、やはり、心に全く響いてこない。まるで、けなしているようだけれども、そんなことはありません。なぜなら、わたいしは、やはりいつのまにやら、トム・ジョーンズを聴いてしまっているのです。どうしてなのだろう?
昔、日本に、ニューラテンクォーターというナイトクラブがありました。ここは、力道山が刺された場所でもあって、有名な高級ナイトクラブでしたが、トム・ジョーンズがショーをしたこともあり、当時、なんと12万円のチャージだったそうです。
また、最近のトム・ジョーンズは、2021年、80歳で発表したアルバムが全米1位になったそうで、79歳で全米1位になったボブ・ディランの記録を抜かしたとニュースになっていました。ど
うでも良いようなニュースですが、アメリカの方々は、やはり永遠にトム・ジョーンズが好きなのかもしれません。それにしても、あのマッチョな感じは、今の時代とは完全マッチしてないように思えるのですが、そこが逆に良いのでしょうか? そして80歳にしても現役バリバリでやっている感じが良いのか?
うでも良いようなニュースですが、アメリカの方々は、やはり永遠にトム・ジョーンズが好きなのかもしれません。それにしても、あのマッチョな感じは、今の時代とは完全マッチしてないように思えるのですが、そこが逆に良いのでしょうか? そして80歳にしても現役バリバリでやっている感じが良いのか?
などと、この原稿を書きながら、いまも、わたしはトム・ジョーンズを聴いているわけで、それは、『The Best Of... Tom Jones』というアルバムで、今回のおすすめにしたいと思います。さらに、トム・ジョーンズの最新アルバム『Surrounded By Time』を聴いてみたら、このアルバムも、まったく洒落ていなくて良かった。まったく深みのないレナード・コーエンといったらいいのでしょうか、でも、この深みのなさが良い。また、同じトムでも、トム・ウェイツだと味があるけれど、トム・ジョーンズの良さは味がないところなのかもしれません。味はときたま邪魔になります。トム・ジョーンズは、スープがただの湯のラーメンのようでもあります。でも、そのようなラーメンは他にはありません。唯一無二の深みなさや味のなさが、トム・ジョーンズの魅力なのかもしれません。