夏場は、ズブズブとブルーズ・ミュージックを聴きながら、夜に埋もれていきたいときもあります。部屋でひとり酒を飲みながらブルーズを聴き、勝手に酔っ払い、酔い潰れて眠り、汗まみれで吐きながら夜中に目を覚す、なんてことが、わたしも何度かあります。そして「ああ、いま俺はブルーズだ」などと感じるわけですが、本当のブルーズはこのような安っぽい私事ではないというのも重々承知しつつ、やはりブルーズは最高なのでした。
まずは王道、ロバート・ジョンソン。わたしは、『ロバート・ジョンソン ブルース詩集』というのを持っていて、出版されたときに買ったのですが、現在、中古で6千円以上と高値をつけています。確かに価値ある内容の本ですが6千円ってどうなんでしょう? 図書館にあったら借りて書き写すことをお勧めします。
わたしは、「悪魔に魂を売った奴は、いったいどんな詩を書いていたの?」、そんなことを思いながら読んだのですが、それは、ふざけた不条理小説のようで、いたるところにヤバい雰囲気が張り巡らされていて、弛緩しているようだけど緊張感のある不思議なものでした。
またロバート・ジョンソンといえば、平本アキラ先生の『俺と悪魔のブルーズ』も凄まじい漫画なので、ブルーズを深掘りするのにうってつけなのです。このように、わたくし、いっぱしのロバート・ジョンソン通ぶっておりますが、まったくそうではありません。なんせ、初めてロバート・ジョンソンをレコードで聴いたとき、「どこが良いんだ?」と思ったりしているのですから、どうしようもありません。
ロバート・ジョンソンを聴いたきっかけは、ローリング・ストーンズやエリック・クラプトンなどのロック・ミュージシャンが影響受けたということで、聴いてみたのです。しかし、最初は戸惑い、「どこがロックなんだ?」とか思いました。このような方は結構いるのではないでしょうか? でも、いま聴くと、「とんでもなくロックだ」と思えるから不思議なものです。
そんなこんなで、ミシシッピー・デルタ・ブルーズを面白いと思い、ふたたびロバート・ジョンソン聴き出すきっかけとなったのが、今回紹介したい、ブッカ・ホワイトの『Memphis Hot Shots』というアルバムです。これ、まずはジャケットがイカしています。薄汚い宇宙服を着た人間がボロいギター持っています。なんだかブッカ・ホワイトのことを書くスペースがなくなってきましたが、彼のブルーズは軽快で、図太く、最高です。
なにはともあれ、掘り下げていくのが楽しいブルーズ・ミュージック、しかし、いくら掘り下げても、謎が多く、深淵な世界が広がります。今年の夏も夜はブルーズ・ミュージックをたくさん聴こう。
補足ですが、ブルースを聴きながら読む本にうってつけなのが、写真とヘンテコな文章がミックスされた、わたくしの新刊『沓が行く。』ではないかと思うので、宣伝させていただきました。どうぞ皆様、ブルーズとセットで読んでみてください。