2006年4月号での対談風景
なんとも長らくライブを見ることをしていなかった。
私は当時、巻き起こった「爆音ブーム」に注目して、サンボマスター、フラワーカンパニーズ、ギターウルフ、怒髪天などそれなりに聴き込んでいた。
原発事故の後、クワトロで聴いたサンボマスターにはぶっ飛んだ。
熱い観客たちはスリーピースの力強い爆音に酔いしれて恍惚状態だ。
そこでボーカル&ギターの山口隆の幼少期、東京に出てゆく時の、思い出話しに移る。
そのフレーズが福島弁まっしぐらだ。
原発があって、地震があって、ボロボロな福島へ、愛を込めてそれもベタな福島弁で語る。
若き聴衆は涙を浮かべて、両手をかざして受け止めていた。
「おっと、これはすごいバンドだ」
そう思った。
あれから10年か。
結成から20年がたっても、サンボの演奏スタイルはほとんど変わっていなかった。
あちこちで若い子が踊り、手を高く上げている。
爆音バンド・サンボマスターを見る〜中野サンプラザ(2021年6月18日)
またもや私のわがままで、ソールドアウトのところを招待枠で滑り込んだ。
だって、聴きたかったんだよ。
あのスリーピースの力強い爆音と山口のMCを。
山口の喋りはまさに私が最近聴き込んでいるヒップホップなんだよ。
テンポよく心に入り込んでゆく。
「愛と平和」「ヒューマニティ」「君が優勝なんだ」「諦めないで」
どんなに打ちのめされたって悲しみに心をまかせてちゃだめだよ。
新しき日本語ロックの道と光だ。
若干軟弱に思える「青春讃歌」「みんながんばろうね」も、山口のシャウトにより赤裸々な感情が爆音にのってくる。
でもさ、山口が叫んでも、本当にそれが若い連中の精神に通じているのだろうかと疑問を持ってしまう。
いくら愛と平和、ヒューマニティと叫んでも、若いお客さんはどんな言葉でもノれればそれでいいだけのような気がしてしまったんだ。
あれから20年、お客さんも相当変わっているはずだから、今の若者には新鮮に映るのだろう。
いいバンドが20年も生き残っていることに賞賛だ。
【復刻インタビュー】サンボマスター(2006年4月号)
サンボマスターと平野悠対談の全てをロックンロールと呼べ!