我が青春、友部正人さんのライブへ
生き急ぐ、死に急ぐ
今年はことのほか、いずれ訪れる自分の終末をいつだってイメージしている。もうすぐ後期高齢者の仲間に組み入れられことになる焦りなのか。足腰は弱り頭は痴呆が始まるだろう危機感が身近に迫ってきているのだろうか。街を歩いてヨボヨボ老人を見ても、なんと私より歳が若かったりすることに愕然となる。私より若い周りの連中が、どんどん亡くなっているのを見るにつけ、次は自分にやってくると私は観念する。
一方で死に急ぐという言葉は「自ら死を選択し、死をゴール(目標)として生きている様」なのだ。例えば「〜歳までに死のう、それまでは一生懸命生きよう」など、いざとなると死ぬのが怖くなるのだろうか。限りある命を生き急ぐとはつまり、人生を軽んじていることに他ならないと言う。
岡本太郎美術館にて
”これが最後”がたくさんありすぎる……
老齢になるといろいろな青春時代の思い出に身を委ねることが多い。
なんども書くが、私もあと何年生きられるかわからない歳になった。そうなると、40数年前の青春時代に感動した音楽家のライブに行くことが多くなった。友部正人さん、金子マリさん、山下達郎さんや山下洋輔さんらのライブに足を運び、柱の陰からこっそり観ながら「ふむ、多分、友部正人(69歳)のライブを観るのはこれが最後だろうか、どっちが先かわからないが」と感慨にふけってしまう。まだまだ最後に見たい音楽家はたくさんいる。自分がおっ死んじまう前に、我が青春の蹉跌を一つ一つ検証したい気分なのだ。毎晩、酒を飲みながらBluetoothで音楽を聴きまくっている。そうするとどうしてもライブが見たくなる。
LOFT9での小泉純一郎
3月11日小泉純一郎さんとウーマンラッシュアワー・村本大輔さんの「『原発ゼロ、やればできる』(太田出版)出版記念イベント「原発ゼロ、本当に『やればできる』のか!?」」というイベントを見に行った。ロフトグループ久々のヒットである。
小泉さんの脱原発理論は見事でよく勉強しているし説得力は抜群にあった。村本大輔さんのツッコミも素晴らしかった。
しかし、村本さんのツッコミで沖縄辺野古問題に触れながらも、小泉さんは「日本は世界最強の軍隊のアメリカに守ってもらっているんだから仕方がない」と言った対米従属論を展開した。さらには狭い日本にある原発をテロリストに襲われたら一発で日本は終わってしまうと言う。
アメリカが51機もある日本の原発をテロリストから守ってくれるわけがない。もうここで小泉さんは破綻していると思った。もう、「中国や北朝鮮が攻めてくる」なんてことは通用しないと思うのだ。日本の軍事力は世界八位だ。自分で守れないわけがない。どうやって攻めてくるというのか?
これは以前、河野太郎現外務大臣(脱原発で何度もロフトに出演している)も同じで、最終的に外務大臣の役になって「脱原発は封印」といった情けないことをやって平然としている。結局は自民党とかそれに付随している連中はみんなこれなんだ、と思った。
でもさ、世界で一番戦争ばかりやっているアメリカ。インチキしても一国を潰してしまう国、(イラク、アフガン) アメリカの言うことを聞いたカダフィーは暗殺され国は壊滅、パナマでは侵攻して大統領を逮捕、チリでは武力で政権を倒してしまう暴力国家、なんて信用できるのだろうか?
日本に二発の原爆を落とし、東京はじめ日本中の数十万人の無防備な市民を空襲で焼き殺した非人道的な国に従属するのは耐えられないと思うのだ。これに怒っていない日本人は特殊だ。
LOFT9でのウーマンラッシュアワー・村本大輔さんと小泉純一郎さん
【小説】すみません、セックスで僕を救ってください
まだ冬が終わっていない。夕陽の街路の先を猫が横切った。寂しい冬を過ごした。
私は強引に隣のベンチに腰をかけ、本を読むふりをしながらその女を観察した。女はサングラスをかけベンチに座っていた。白っぽいブラウス、60歳を過ぎているのかもしれない。女はサングラスを外して僕を見るともなしに見た。私は勇気を出して声を出さずに「こんにちは」と口を開けた。彼女は僕など見えないそぶりをして立ち上がって私に言った。
「怒ってなんかいないわよ」
「どうしてそんなことを言うの」
「だってあなた、話しかけてこないから」とサングラスを片手に言った。
「君だって話しかけてこなかった」と私。
「私が怒っていると思って、遠慮して話しかけてこないのかと思ったから」
「すみません、セックスで僕の命を救ってください」突然そう思った。
どう頼めばいいのだろう……。(続く…か?)