ご挨拶
突然、思いついたように決まった大阪・宗右衛門町へのLoft PlusOne West出店は、多くの盟友達に助けられ、2014年4月4日、無事オープンすることができました。ロフトの大阪進出にご尽力くださった皆様に、改めてここで御礼申し上げる次第です。
特に、「プラスワン入居を機に、このテナントビルに新風を吹き込みたい」と言ってくださった家主さん。「多くの若者が集ってくれたら、この町も変わる」と、支持してくださった地元の皆さん。本当にありがとうございました。東京からやって来た新参者の我々、いつまで持続するかわかりませんが頑張ります。
株式会社ロフトプロジェクト
社長 小林茂明
統括 加藤梅造
店長 天野宇久
席亭 平野 悠 拝
カウンターの向こうに燦然と輝くオリジナル時計は、ロフト各店舗共通のシンボルだ
初日に最大のトラブル発生!
Loft PlusOne Westがオープンしてはや3週間が過ぎた。毎度ながら、新店舗オープンは一筋縄ではいかない。いろいろなトラブルがあった。
なかでも最大のものが、なんとオープンの日、それも開店5分前に起こってしまった。突然、店のトイレが全部詰まり、全く使えなくなったのだ。もう、たくさんのお客さんが受付前に並んでいる。しかもこのオープン当日は「飲み放題」方式にしていた。ゲスト陣も多い……。
慌てて大家さんに交渉。幸いにして、空き家になっていた2階のスナック2軒のトイレを使わせてもらうことができた。まったく冷や汗ものだった。
本日(4/20)は、大阪の報道ラジオ番組「ラジオフォーラム」主催。
出演は左から、今西憲之(司会・ジャーナリスト)、平松邦夫(元大阪市長)、
吉富有治(ジャーナリスト)、西宮文和(ラジオフォーラム)
時間もないがやるしかない
以前この連載でも書いたが、我々は数カ月前、大阪にはほとんど知人もおらず、マーケティングも全くない状態で、物件を決め、店舗工事に入った。ノーテンキに「これがうまく行けば、ゆくゆくはトークライブハウスで全国制覇だ!」なんて幻想を持ちながら、脇目もふらず開店準備に突入した。
オープンは4月ということは、工事は年度末。消費税値上げ直前もあってか、内装工事関係者の人員不足。大阪にはほとんどコネもなく、大半を東京で用意するしかなかった。結果、東京での場合より、1.5倍ほども費用が嵩んでしまった。
大変なのは、工事関係だけではなかった。毎日行うライブのスケジュール制作のためのブッキング交渉。新人スタッフの募集、面接、教育……。東京から乗り込んでいった開店準備スタッフの面々は、あまりの仕事の多さに途方に暮れた。それでももう、決めた以上、覚悟を決めてやるしかない。
特に大変だったのは、ブッキングだった。「大阪はキャラクターの濃い独自カルチャーを持つ土地柄だし、現地の優秀なスタッフを抱えれば何とかなるだろう」と甘く見ていたが、大阪発のブッキングがほとんど入らない。スタッフは慌てた。
まさかオープン早々、隙間だらけのスケジュールを作るわけにはいかない。東京のロフト各店で活躍している鉄板イベントの出演者たちを口説き落とすしかない、という結論に至り、「なんとか交通費と宿泊費は保証しますので、イベントを打ってください」とお願いしてまわった。出演者が一人だけで成立するイベントはなかなかないので、人数分の費用がかかってしまう。客が多く入っても赤字になる。苦難の船出だった。
大阪の路面電車。大胆なカラーリングがかっこいいな
大阪サブカルファンの優しさに包まれて
そうしてとにもかくにも、何とかスタートを切ってみると、「ロフトプラスワン大阪進出!」「大阪サブカル界に激震走る!」といったコピーが、次々とTwitterやFacebookに踊った。
大阪は今、サブカル文化の地盤沈下が激しいそうだ。大阪といえばお笑いが町中を席巻しているイメージが強いが、それも一時に比べると陰りがあるという。Loft PlusOne Westのオープンは、そんなサブカルに飢えていた大阪の人たちに、少なからぬ期待を持って迎えられたということだろう。
開店からの3週間で一番客入りの悪いのが、やはり政治・環境・社会問題系のイベントだった。これは結構辛い。なぜならこういったジャンルのトークライブこそ、ロフト以外のライブハウスではなかなかできない、まさに「ロフトでしか見られない」ウリのひとつだからだ。
でもまあ、まだまだ始まったばかりだ。「本当にプラスワン大阪進出心待ちにしていました」という言葉をいたるところで聞いた。なかにはリップサービスもあるだろうけれど、店を通じて大阪の人たちと接していると、我々の進出を心から喜んでくれている人たちを実感できる。本当に、感謝しつくせない気持ちでいっぱいだ。
ついに今年は、桜を一度も見ないで終わってしまった。大阪で、新緑の美しい季節を迎える中、私は「今度こそ、もうこれが最後の仕事になる」と、しみじみと感じながら店作りに励んだこの数カ月間を振り返っている。
これまでのロフト各店舗もそうだったが、店作りは私の独断専売勅許だ。辛かったけれど、濃密な時間を過ごした。東京から400km以上も離れた地だ。緊張の連続だった。
大阪はまだまだ良くわからないことだらけだが、本当に食とお笑い一色の町だなあ、と感じる。原発やヘイトスピーチ、特定秘密保護法、安倍強権政治などには、興味がないように見える(まあ、東京も同じようなもんだが)。我々は大阪に、大胆にもそういうテーマを持ち込もうと思っている。そして社会運動にもつなげたいと……。さて、どうなることやら。