一路ウシュアイアへ
1月28日ピースボート南回り世界一周の旅に出てから50日目。ブラジルのブエノスアイレスで下船して、11日間のオーバーランドツアーに参加する。イグアスの滝を観光して、次の日アルゼンチンの世界最南端のパタゴニア州ウシュアイア国際空港に着く。パタゴニアの雪をかぶったとんがった山々、蒼い透き通った海、世界中で一番空気がきれいと言われる町を散策。風は思ったより強くはない。素晴らしい眺めだ。
南極最大のペンギンコロニー。5000羽もいるという。まわりはペンギンの糞だらけで氷河が黄色になっているほどだ
随分前からこの地を訪れたかった。感動している。午後5時、港より南極観光船ウシュアイア号に乗船。わずか2,950トン全長84mの小さな船だ。アメリカの南極観測船を改造したのだそうだ。船はドレーク海峡を滑る様にして南極をめざす。素晴らしい景色だ。この海峡を通っただけでも今回のツアーに参加して良かったと思う。湾の外に出ると台風の余波を受けて、海は荒れ狂い、この小さな船を襲う。波の高さは8mにも達し、キャビンの窓にまで荒れ狂った波が来る。船酔い止めの薬を飲み、ベットの手すりにつかまって寝る。2日間の荒波との戦いの末、ついに南極大陸に到着した。波は静か、天気は快晴。そうなると船内は快適だ。乗客の笑顔も戻って来た。1日2回の上陸、10人乗りのゴムボートで島々に上陸する。ペンギンの群、アザラシのコロニー、白に囲まれた美しい山々。無数の氷山が紺碧の青を発している。無数のペンギンが波間をはねる。そしてついにクジラを見た。遠くにシャチが見える。ここまで来て良かったと思う。気温は思ったより暖かくマイナス1度くらい。もう言葉にも出ないぐらい美しい。5000羽のペンギンのコロニーは圧巻だ。ペンギンの小道があり、人間は通行禁止。船の環境保護の監視本部は完璧だ。何度も船内で環境保護学者のレクチャーを受ける。ペンギンにもアザラシにも近よるなと、この船のスタッフの意識は高い。4度目の上陸は、南極のたったひとつの郵便局。氷山が崩れる瞬間を見た。凄い爆音が響き渡った。南極の透き通った海、氷山、流氷、高くそびえる氷の山々。出来たら真冬に来てみたかったと思った。
ゴムボートに乗っていたら、「ざ〜ざ〜」という轟音が聞こえ、氷山の一角が崩れた。幸い小さな崩壊で津波は起こらなかった
フィヨルド遊覧
スペイン語圏に来てから、私は船の従業員とそこそこの怪しげなスペイン語を使う。中学生英語程度のスペイン語なのだが、それでも皆から見れば「スペイン語ペラペラ」に見えてしまう。南極観光最終日におばさま方からお呼びがかかった。「明日港に着いたら、世界の果てを走る蒸気機関車とパタゴニア国立公園に行きたいのだが、通訳兼ボディーガードをやってくれ」と言う。「女だけでは不安」なのだそうだ。船の上でもこのツアーでもそれなりに1人ぼっちを通して来たのだが、断れる訳にもいかず引き受けてしまった。まあ4〜5人、タクシーの1台でも捨えばなんとかなると思ったのだが、次の日船を下りると25人もの人がいてビックリしてしまった。ミニバスを調達してツアーに。スペイン語を喋れるのは私1人。じいさんとばあさんばかりの先頭に私は立った。
なんとかツアーも無事に済んだ。明日にはこの船はマゼラン海峡を通過する。左に大西洋右に太平洋を眺めながら、船はフィヨルドを上がって行く。
ガラパゴスで本物のイグアナに出会った
こちらはゾウガメ。絶海の孤島だと思っていたガラパゴス諸島だったが、金持ち連中のリゾートと化していた。ここまで観光化していたとは……