前回から引きつづき、ゲストの「もあ」さんに、心身に障害などがあるお客様への“合理的配慮”についてうかがっています。もあさんは、元レズっ娘クラブ大阪店のキャストで、現在はスタッフとして、私たちキャストをサポートしてくれるメンターの役割を担ってくれています。
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ゆう:精神的な配慮が必要、または内面への補助が必要なお客様の場合はどうですか? 困ったときに私たちキャストがあたふたしちゃうとお客様は不安になるでしょうし、かぎられた時間を楽しんでもらうためには最低限知っておくべきことってあると思うんです。
もあ:そうした方だと一目ではわからないことが多く、より深くお話をうかがったり共に時間を過ごしたりしないと見えない部分もあると思います。
ゆう:内面に抱えていることを、キャストがある程度察したり把握したりするためには、お客様とどんな対話をとったらいいんでしょう?
もあ:わたし個人としては、無理に察しようとしなくてもいいのではないかな、と思います。「キャストと過ごせる特別な時間は、理想の自分でいたい」ーーそう感じてくださる方もいらっしゃいますし、お客様が伝えたいなと思ったときに伝えやすい雰囲気を作るのが大切なのではないかと思います。
ゆう:その時々の温度感や空気感を大事にして、ヘンに察しようとしなくてもいい……やっぱり“自然体”がいいのかな。ただ、最初は精神的配慮が必要だとはわからず、何度かお逢いするなかで「もしかして?」と思うこともありますよね。気がついた時点から態度を急に変えてもいいものですか?
もあ:お客様から「今後はこうしてほしい」と伝えていただいたことに関しては、その時点からしっかり対応していくべきだと思います。ですが、自分の判断で「なんとなくそうかな?」と思ったことで急に態度を変えるのは、わたしがお客様の立場だったらイヤだと感じてしまいます。普通に接してほしいな(笑)。ほんのちょっとだけ気にかけて、困っていそうなことがあればその都度ささやかな気遣いをするのがいいと思います。これはどのお客様でも変わらない、基本的な考え方だと思います。
ゆう:そうですよね、すべてのお客様に言えることですね。また、いろいろ配慮しすぎてしまい逆に気を遣わせてしまうこともあるかもしれない。新人キャストさんだと慣れないことが多くて、不安に感じてそれがお客様に伝わるかも。お客様にストレスを与えない、よりよい距離感を保つ方法があったら教えてほしいです。
もあ:繰り返しになってしまうのですが、いつもと変わらない接客プラス、困っていることがないかほんのちょっと気にかけてもらってるな、と感じてもらえるような距離感がいいのかなと思います。なにもかもしてしまうのではなくて、お客様がひとりではむずかしいことをサポートする、くらいの感覚がちょうどいいのではないでしょうか。
ゆう:キャストたちが無理をしてストレスを抱えてしまうこともありそう。そうならないためには、どうすればいいのかな。
もあ:無理は禁物、ということは覚えていてほしいです。無理してしてもらったことって受け取る側は申し訳なくなっちゃうし、そうなるとお互いにとってよくないと思います。自分のできる範囲でお互いに相談しあってちょうどいいところを探していく、そんな気持ちでいいと思います。
ゆう:その考え、安心するキャストは多いと思います。お客様自身から症状や状態を発信してもらっていない、伝えてもらっていない場合に間違いをおかすこともあるかもしれません。予約の段階からある程度ご自身の症状を記載いただくように推進したほうがいいと思いますか?
もあ:推進まではしなくてもいいのかな。伝えたくないことだってありますよね。伝えたいときに伝えられる環境があることが、まずは大切なのではないかと思います。日本人って、「察してください」「察しますね」という文化なので、言葉に出して伝えることがなかなかできない人もたくさんいると思います。でも、せっかくの楽しいひとときを我慢して過ごしモヤモヤが残ってしまったらもったいないですよね。配慮してほしいことや伝えておきたいことがあれば、あらかじめ伝えていただくのがいちばんだとは思います。特に、車いすをご利用の方や補助犬を連れてご利用される方は、入れるお店やホテルがかぎられてくるので、キャストが事前に準備しておくという点でも伝えていただけるとスムーズにご案内できると思います。
ゆう:その時々に応じてということですね~。では、最後の質問です。お客様の相談を受け応えしているときなどに、キャストが「あっ、踏み込んじゃいけなかったかな」など不安になって自分をセーブすることもあるように思います。ここから先は専門の方に任せた方がいいのではないかというのは、どこでどうやって判断すればいいですか?
もあ:お客様からの相談ごとって、お話を聞いてほしいだけでアドバイスを求めているわけではない人も多いようにと思います。共感しすぎるとしんどくなってしまうこともあると思うので、私はあまり踏み込みすぎないことを大切にしていました。自分がお話を聞いててしんどいなと思ったときが、ストップのタイミングだと思います。ちょっと厳しい言い方ですが、キャストはカウンセラーではないので無理はしないでください。しんどくなってしまったら正直に自分にはむずかしいとお伝えしてみるのもいいかもしれません。
ゆう:たくさんの質問に答えくださりありがとうございました!
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もあさんの言葉で、救われたと感じる方も少なくないのではないでしょうか。この記事を読んで、私でも逢いにいけるんだ! と前に進む気持ちを、そして挑戦する気持ちを後押しされたと感じてくれれば、私もとてもうれしいです。
もあさんはこれからもスタッフとして、希望するキャスト向けに事務所で手話講座を開いたり、サイト内のアクセシビリティのチェックやお手伝いの必要なお客様向けのページ作成などのサポートをしてくださるようです。レズっ娘グループの今後がますます楽しみになりますね!
もあさん、本当にありがとうございました。
【ゆう プロフィール】
永田カビ著『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(イースト・プレス)のモデルになった現役キャストで、2008年から在籍するベテラン中のベテラン。レズっ娘グループ全店の新人講習スタッフを兼任する。https://tiara.ms/cast/cast.php?no=00025