レズ風俗にかぎらず、性サービスは1人のキャストが1人のお客様をご案内するものがほとんどです。私はお客様とキャストという垣根を越えて、人間として1対1で向き合いたいと常々思っています。
ですが私が所属しているレズ鑑賞クラブティアラには、通称「ルーヴル」という複数ウェルネスコースがあり、1人のお客様が2人のキャストを指名してキャスト同士のプレイを鑑賞したり、そこに混ざって3人でプレイしたりできるコースがあります。お客様2人とキャスト2人でのプレイも可能です。
女性同士の絡みを観てみたい……というお客様の期待に応えるには、チームプレイが必要です。ほかのお店にはあまり見られない、レズっ娘グループならではの特徴です。
プレイの最中に、「息が合ってる!」と感じるときがあります。キャストとキャストのあいだによい緊張感が生まれ、ひとつの流れに乗って一緒に最高潮に向かっているのが、理屈でなくわかるのです。この瞬間を逃さず、そのまま突き進む!
ご覧になっているお客様にも、その熱量が伝わります。ぐっと身を乗り出されるのがわかるので、私たちもさらにノリノリになります。こんなときは観る側、観られる側に分かれているのではなく、3人でプレイをしているような気持ちにさえなります。一体感が生まれるのですね。
キャストの組み合わせは、そのときどきで変わります。またお客様とのあいだに生まれる空気によっても流れは大きく変わりますので、同じプレイは二度とできません。そんななかで私たちは、常に最大限のチームプレイを発揮したいと思っています。
といっても、新人キャストは自分のことで手いっぱい。当然のことです。時間に余裕があれば、事前に事務所で軽く打ち合わせしたいと思っています。が、基本的には現場で感じ取ることのほうがずっと多いです。
私は新人キャストに対して、お客様に触れているときと同じように触れ、リードすることが多いです。言葉ではなく、身体で覚えてもらいたい。そのほうがお客様にも、自然で自由な動きや表情を見ていただけると思います。頭で考えるばかりでは、動きや表情が固くなってしまいます。
このときの私は、「いま目の前にいる新人キャストの魅力を存分に引き出したい!」という一心です。それも、いろんな面を見ていただきたいとも思っています。そのためにも、新人だからといって最初から最後まで受け身(ネコ)のままでいるのではなく、攻め(タチ)にもなってもらえるよう誘導します。これも、実践のなかで習得してもらいたい……といってもそんなカタい話ではなく、「攻めるのもこんなに楽しいんだよ!」と知ってほしいのです。
こう書くと、私が一方的に教えているという印象を持たれる方もいるでしょう。でも違うんです。キャストとキャストのあいだの関係性は常に変わるし、流れは2人で作り出すもの。だから私が教わることも多いです。
どちらかのキャストだけが「お客様にいいプレイを見せよう」と思うだけでは、相手のキャストが置いてけぼりになりますし、キャストが自分たちだけで盛り上がれば、お客様が置いてけぼりになります。そう考えると、お客様もチームの一員。誰も取りこぼさないプレイができてはじめて「息が合ってる!」という実感につながります。
それでも、ごく稀になのですが、なんだか噛み合わないな……というときがあります。お互いの波やタイミングみたいなものが、微妙にズレるんですね。
私はそんなときもあきらめないで、触れ合いをつづけます。最初は、相手のキャストからたくさん触れてもらうようにします。そのなかから、私が流れを探すのです。途中で私が攻めるほうに切り替えることもあります。思いっきり気持ちよくなってもらって、その熱さの渦にふたりして飲み込まれていくイメージです。お互いに、正解を探すのです。
新人キャストには、事前に「固くならなくても、大丈夫。私がいるからね!」と声をかけておくのも大事です。自信をもって相手と向き合えば、いいプレイにつながると信じています。これから、あなたはひとつの舞台に立つ。お客様にエンタテインメントを提供する、役者なんだ……とまでいうと、かえって緊張してしまうかもしれないので、「大丈夫、できるよ!」「不安なときは私に委ねてね」と。
こうした触れ合いは、会話と同じです。自分が本気を出さないと、相手にも本気になってもらえない。それによってはじめてチームプレイが成り立つ、というのが私の持論です。
【ゆう プロフィール】
永田カビ著『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(イースト・プレス)のモデルになった現役キャストで、2008年から在籍するベテラン中のベテラン。レズっ娘グループ全店の新人講習スタッフを兼任する。https://tiara.ms/cast/cast.php?no=00025