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0回「愛されてもいいんだよ」がいいんだよ。」

第20回「愛されてもいいんだよ」がいいんだよ。」

2021.09.03

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この8月、漫画家・天野しゅにんたさんの最新コミック『愛されてもいいんだよ』(講談社)2巻が発売されました。舞台はレズ風俗店「ゆりとぴあ」。
 
 
レズ風俗が出てくる漫画といえば、永田カビさんがご自身の体験を元にして描いた『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(イースト・プレス)があまりに有名です。そこから5年以上が経ち、いまはいろんなコンテンツで当たり前のように目にするようになったなぁと感じます。
 
『愛されても〜』の主人公は、ゆりとぴあキャストのここあちゃんで、ほかにも何人ものキャストさんやお客様が登場するのですが、レズっ娘グループ代表・御坊さんが取材協力しているだけあって、内容にリアリティがあります。
 
ひょっとしたら、レズ風俗で働くノウハウとしても読めるかも……? なんて思っています。
 
*     *     *
 
同作にも毎話、絡みのシーンが出てきますが、もっと直接的で生々しい、女性同士の性描写があるコンテンツも存在しますね。レズAVや百合モノといわれる漫画、小説です。
 
実のところ、私はそうしたものをあまり見ません。どちらかというと、BLのほうが興味があります(笑)。
 
AVのことは詳しくは知りませんが、レズAV愛好家の男性も多いと聞きます。百合漫画も、最近は女性ファンに支持される天野しゅにんたさんのような作家さんも多いものの、やはり男性に向けて描かれたのがはじまりと聞きます。
 
男性と女性とでは、目線が異なる気がします。エロの概念や価値観のようなものが違っているのではないか? 観ながらそんなことを考えてしまうんです。
 
10代のころ、セックスというものがなんなのか、とても不思議に思っていました。学校では詳しく習わない、いろんなことを探った記憶があります。
 
怖いけど、経験したい!
 
そんな好奇心が強かったのでしょうね。オトナの階段を速く駆け上がりたい気持ちでいっぱいでした。ひとりエッチを覚えたのも、おそらくそのころだったような気がします。体の変化に興味津々、まさに思春期まっただ中だったのです。
 
そうして探求していくなかでAVとも出会いましたが、どれだけ見ても実感が湧かず、これはやはり実際に経験するしかないのだろうか? と感じていました。みずから動いて自分の身体と心で体感せずにはいられない性格、いまも変わりません。
 
レズ鑑賞クラブティアラには、鑑賞コースや、カップルコースがあります。キャスト同士によるプレイを至近距離でご覧いただけます。
 
鑑賞などを楽しみに来てくださるお客様のなかには、AVや百合漫画などの愛好家で、同じようなものを観たいと期待していらっしゃる方が多いです。なので私たちは、演出として少しオーバーに動いたり、見られ方を意識して体位や角度を考えたりします。
 
基本的にシナリオは作らず、リアリティを大事にしています。その場の流れに、委ねるんです。キャスト同士の組み合わせにもよりますし、間合いや呼吸といったものは、その場その場で生まれるものだからです。
 
AVや百合漫画を観ると、たしかに勉強になる部分もあるのかもしれません。でも特にAVは、プレイが少し過激だったり演出が大げさだったりします。魅せることを意識したプレイなので、ショーやエンタテインメントの要素が求められているのは理解したうえで、自然ではないなぁと感じてしまいます。
 
そんな理由から、私は参考程度に見るにとどめています。
 
……実は、エッチな映像を見たり漫画を読んだりすると、なんだかそういう気分になってしまうので、収拾がつかなくなる、というのも、あまり観ない理由のひとつです(笑)。
 
お客様とお逢いしているときに、そんな話をすることもあります。
 
女性でもAVを観るのは、いまや常識。みなさん好みやこだわりを、それぞれにお持ちです。こういう話は、女同士だからこそ面白く、盛り上がるものです。お客様からエロ本的なものや、百合モノBLモノの同人誌をプレゼントしてもらうのもめずらしくありません。
 
なんと! めちゃくちゃ古い春画をちょうだいしたこともあります。
 
春画は笑いの要素も多く、「笑い絵」と言われることもあるそう。作品ごとに知らない世界に出会うことができ、見ていて飽きません。
 
この時代は、性に寛容だったのですね。とてもオープンな空気を感じます。温泉や銭湯も混浴が主流だったとか。性やエロスが、現代とは違った意味で、日常的で生活の一部だったのかなぁと思いながら絵を眺めるのは、とても楽しい時間です。
 
エロも、ひとつの文化。時代とともに変わるものなのですね。
 
私はこれまで、プレイについては自分の勘に頼ってきたところがありますが、こうした芸術やコンテンツをもっと気軽に楽しんで、そこからインスピレーションを受ける人もいるかもしれません。奥深い世界だと思います。
 
 
ゆう:永田カビ著『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(イースト・プレス)のモデルになった現役キャストで、2008年から在籍するベテラン中のベテラン。レズっ娘グループ全店の新人講習スタッフを兼任する。 https://tiara.ms/cast/cast.php?no=00025
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