私は容姿を、自己表現のひとつだと思っています。自分を知ってもらう名刺のようなもので、接客業の私たちにとって見た目を整えるのは仕事のひとつでもあります。「私はこういう人間です、よろしくね」とわかりやすく伝えるために、日ごろから容姿を整えています。
だから予約の段階で、
「容姿に自信がないのですが、予約可能でしょうか?」
と書いてあると、そのお客様に早くお逢いしてそっと肩を抱いてあげたくなります。あなたの容姿を誰にも否定させない、それはあなたそのものだから。あなたが自信を持ちたいと願うのならそのお手伝いを私にさせてください、と。
予約時にこんな心配をされるお客様はめずらしくないのですが、容姿も年齢も私たちキャストはまったく気にしていません。NGを出すこともありません。
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風俗店を利用するにあたって、自分の容姿が気になる……これは女性ならではの感覚だと思います。自分をジャッジされるような気がするのでしょうね。悲しいことに、女性は生まれてからずっと容姿を人から評価されながら生きています。だから、他人からのジャッジをそのまま受け取ってしまうのは仕方のないことなのかなと感じることもあります。
でも、ここは何もかも脱ぎ捨てて裸になるためのお店です。
お互いがお互いの身体を見つめ合うために、ふたりでベッドにいるのです。
他人の評価はいったん忘れて、まっさらになってみませんか?
私たちキャストにも、コンプレックスや自信のないところはたくさんあります。同じ人間ですからね。でもほかのキャストを見ていて、自分で自分をわかっている人が多いなと感じます。ここをもうちょっとこうしたら魅力的に見えるかなとか、あえて何もせずに堂々としていようとか、自分で決めて自信をつけていきます。
私がこのお仕事をしてよかったと心から感じることのひとつに、お逢いするたびにお客様がどんどんきれいになっていくというものがあります。
必ず美容院に行って、髪をきれいに整えてから来てくれる人。
動画などでメイクを研究し、めきめき上達していく人。
ダイエットをはじめたんだと報告してくれる人。
服装の趣味が変わり、こだわりのアクセサリーを買ったと教えてくれる人。
心も身体も磨かれていくのですね。
おしゃれ好きなキャストとデートコースでショッピングにいき、洋服やコスメを一緒に選ぶという話もききます。キャストに触発されて、自分もおしゃれをしたくなるって素敵じゃないですか。
服の下の隠れた場所、下着にまで力を注ぎ込んでくださるお客様もたくさんいます。
ほかのキャストがどんなふうにしているかはわかりませんが、私の場合はバスルームでなく、ベッドルームで衣服を脱いでもらいます。一緒に脱いでいくんです。少し暗くした部屋で、ふたりで裸になります。
このときに、どんな下着かをチラッと見ることがあります。
「見せて?」
と聞いてから、素敵な下着を眺めることもあります。私はこの時間がとても好きなんです。
ベッドルームで裸になるのは、洗面所だとスペースが狭く、そして明るすぎるからです。衣服の置き場所もありません。肌を見せることに対してとても緊張されるお客様が多いので、照明を落としたところで脱いでもらうんです。
女性の下着って、本当にいろいろですよね。しっかりワイヤーの入った花模様のものや、総レースのゴージャスでセクシーなもの、キャラクター絵柄の施されたもの、動きやすいユニセックスタイプのスポブラ……。
やはりここでも、”その人”が表れているのを感じます。下着はどうでなければいけないというルールは一切なく、清潔であれば十分なんですが、どんな選択にもお客様の人となりを感じます。
少しずつの変化を感じるのがうれしいのは、内面の変化も同時に感じるからです。
私たちはお手紙をもらうことが多く、そこに「お店を利用して気持ちが前向きになりました」「自信がつきました」とよく書いてあるのですが、それを読む前からわかっていることが多いです。ひと目見れば、伝わってくるんですよ。
私は「髪切った?」とタモリさんばりにしょっちゅう聞いてしまうのですが、それはうれしいからです。そんな気持ちがあふれて、聞くときはニヤニヤしているかもしれません。ちょっとしたことでも、あなたの変化を受け止めたい。
これは変化しなければだめという話ではありません。あくまでもそうしたい人の話です。そのままの姿で自分をさらけ出す、というのも、レズ風俗でこそできることだと思います。
まっさらな状態で、お互いを見つめ合いたいですね。
……つづきは、また次の夜にここで逢ってお話しましょう。
ゆう:永田カビ著『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(イースト・プレス)のモデルになった現役キャストで、2008年から在籍するベテラン中のベテラン。レズっ娘グループ全店の新人講習スタッフを兼任する。 https://tiara.ms/cast/cast.php?no=00025