最近、ゲーム実況をよくやっている。まだ設備が足りなく、スマホゲー中心だが、その中でも楽しいのは「人狼殺」だ。もともとはPCゲームだったが、最近スマホ版が登場した。よくある人狼ゲームをボイスチャットを使って行なうというゲームで。これがけっこう楽しい。
もはや人狼ゲームといえば、すっかりメジャーになった心理ゲームだが、通常の会話では行なわれないような駆け引きに新鮮な刺激をもらっている。
普通の会話でいえば挨拶から始まり、趣味の話や、仕事の話など相手の話に同調したり、冗談を言ったりにこやかに進むのが普通だ。だが、人狼ゲームは疑い合いのゲームなので、そうは進まない。ときには罵倒に近い言葉が行き交い、すり寄り、駆け引き、嘘が横行する。
最初はリアルに罵倒やミスを責められることに、リアルに傷ついたりしていたのだが、慣れてきたいまはそういったものの見方が変わってきた。細かいルールはすっかり知れ渡っていると思って省略するが、たとえばこんな会話があったとする。
「4番のハンターは村人で間違いないが、本当に無能なハンターだ。ハンターならちゃんと局面を見なければいけない。ここまで人狼が残ったのは4番の責任だ」
と、こんなにミスを責めている相手が同じ村人チームだったりする。たとえばこれが会社内で上司と部下の間で行なわれた会話だとしたら、「はぁー? おめぇクビにしてやろうか!」と思う場面だが、人狼ではこれを指摘されたときに「ああ、仲間なのか」と思ったりする。
つまり、これは仲間同士へのアピールでもあるわけだ。「自分は仲間だよ。どうして信じてくれないの?」という切実な叫び。
考えてみると、リアルな日常会話でもこういうことってあったのかもしれないなと感じる。誰かが誰かを罵倒したり、愚痴を言ったり、それはつまり「自分はあなたのことを考えてやってるんだよ。なのにどうしてわかってくれないの?」という、駄々をこねる子どものようなもの。逆にいえば、特に信頼もしていない相手に「共感する」、「わかる」、「その通りだ」なんて簡単に同意する。
リアルな世の中のほうがよっぽど嘘つきで人の皮をかぶった狼だらけなのかもしれない。
大島 薫:1989年6月7日生まれ。ブラジル出身。ノンホル(女性ホルモン未使用)、ノンオペ(性転換手術をしていない)を公言している、純粋な男の子。Twitterフォロワー約15万人を誇る。女性よりも可愛らしい容姿を武器にセクシー女優として活躍していたが、2015年6月に引退。現在はマルチタレントとして幅広く活動中。