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COLUMN

2回「炎上の2人」

第12回「炎上の2人」

2016.10.03

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 この前まで何人かに殺害予告をされていました、大島薫です。
 いやぁ、初めての殺害予告でしたが、犯人の1人は未成年だったようで、警察署で親御さんと一緒に反省文を書かされたようです。この方に関してはそれくらいで済んで良かったですね。
 さて、なぜボクが殺害予告をされるまでに至ったのかについては、「大島薫 炎上」などで検索すると、なにかしらの記事が出てくると思いますので、そちらでご覧いただくとして、しかし、長い炎上でしたね。
 わりとこんなに炎上したことがなかったので、これは是非薪をくべていきたいと思い、先日ボクのインターネット番組で同じ8月に炎上した勝部元気さんをゲストに迎えて放送を行ないました。
 勝部元気さんは、2020年のオリンピックのPR動画を観た感想に「女子高生の制服を性的なアイコンとして捉える考えは古い」というようなコメントをされて、これまた炎上された方です。
 正直申しますと、ボクは最初こちらの勝部さんのことを、なんでもかんでも差別だと訴えるちょっと変な人くらいに思っていたのですが、番組で実際にお呼びして様々な見解をお伺いしてみると、非常にクレバーで、思想的にはわりとリベラルなのではないのかなと感じました。
 8月はボクと勝部さんの件以外にも「ゴルスタ」や「PCデポ」など様々な出来事があり、ネット上では炎上の多かった月とされています。こちらに関しても番組中に勝部さんとボクという炎上した2人が自論を交わしたのですが、なかなか頷ける点が多かったように思います。
 もちろん、いくつか意見が分かれる事件もありました。その炎上案件の一つが「貧困JK」です。こちらは、NHKで特集された「貧困で進学ができない」と訴える女子高生が、実は貧困ではないのではないかとして、インターネットユーザーらからツイッターのアカウントなどを特定される事態に発展した一件で、ニュースなどでも見かけた方が多いのではないでしょうか。
 炎上後にネットで件のJKを特定しようとする流れや、JKの画像を使って誹謗中傷する流れが流行ったことについては、「良くない」という点でボクらの意見は一致していたのですが、そんな中で唯一意見が食い違ったのは、貧困JK当事者の責任の有無です。
 勝部さんはJK側に公人性は低いのでそこまでの責任はないというお考えでしたが、ボクはJK側にも多少責任があるという考えです。
 それというのも、仮にテレビ関係者、学校関係者に祭り上げられたとしても、「貧困」という呼称を背負って、テレビに出演し、フォーラムに出席して表に出ることを最終的に選んだのはJK側の意志なのは間違いありません。
 いま現在JKは過去の散財や、多少高額な買い物をした画像等を投稿していたツイッターアカウントを削除していますが、ボクとしてはその「アカウントを削除する行為」が良くなかったのではないかと考えています。
 もし本当に貧困を訴えたかったのであれば、削除をするのではなく、誹謗中傷する彼らに「それでも自分は貧困である」と言い続けるべきだったのではないでしょうか。
 貧困というのは個人差があります。他人が表面上だけ見てその人の貧しさを論じることは非常に難しいことです。だからこそ、彼女はみんなが注目している炎上の只中で、自分の現状を吐露すべきだったと感じます。
 日常において多くの場合、「自分語り」というのはなかなか許してもらえません。聞いてもいないのに自分のことをベラベラと話す人は嫌厭されがちです。その嫌われることの多い、自分語りが全員に聞いてもらえる状況とは、まさに他人に非難された時だとボクは考えています。
 今回、番組の最後に「自分にとって炎上とは?」を勝部さんと互いに発表し合ったのですが、勝部さんは「ゲリラ豪雨」だとお答えになっていました。気圧のぶつかりで一瞬ドシャ降りに見舞われるけれども、すぐに雨は止んで晴天がやって来る。なるほど、言い得て妙です。
 それを受けてボクは炎上を「チャンス」としました。一瞬降るその大雨を、どこかに隠れてしのぐのか、ここぞとばかりに自分の畑を耕し、豊かな実りを得ようとするのかは個々の判断です。ボクは降りしきる雨の中、畑を耕す人でありたいと思います。
 
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