今、私は夢を見ているような気持ちだ・・・。
それは、半年くらい前から準備していた「雨宮処凛Presents バンギャル ア ゴーゴー」が開催されるからである。ってなに? という人が大半だと思うので説明すると、なんと、私の大好きなバンドさんをお呼びして新宿ロフトでライブをして頂き、後日、ロフトプラスワンで「公開打ち上げ」的なトークイベントをする、というシリーズ企画! その第1回目が1月20日にロフトで、31日にプラスワンで開催されるのだから、今や盆と正月とクリスマスと誕生日と戦争と大地震が一気に押し寄せたように私の頭の中だけが大騒ぎ!なのだ。考えると、楽しみすぎて本気で眠れない・・・。
自分の好きなバンドさんに、自分の企画に出て頂く。そしてトークイベントでは自分が司会。現役バンギャ時代、メンバーさんと一言喋るためにスタッフにハエのように追い払われながらも極寒の中、ライブハウス前で「出待ち」「入り待ち」し、それでも空振りに終わることが多かった私が、合法的に「司会」として誰に追い払われることもなくお話ができるなんて!これがどれほど嬉しいことか、バンギャなあなたにはおわかり頂けるだろう。
数少ない友人・知人に話し、自慢したところ、ジャニヲタな子には心底羨ましがられ、V系好きには「何それ! 悔しすぎる!」と悶絶された。また、友人の一人には、「街でイケメンを見かけると追跡する」という変質者がいるのだが、その友人に話したところ早速「この人すごいカッコいい!」と興味津々、危険なので当日は出入り禁止にする予定だ。もし泣きつかれても、知らない人のふりをしよう。
さて、そんな記念すべきイベント第1回目にご登場頂くのは、「Mix Speaker’s,Inc」さんと「ダウト」さん!! キャー!! 今こうして書いているだけでも魂の震えが抑えられず、今にも絶叫しながら家を飛び出し、近所を5周くらい全力疾走してしまいそうだ。ハァ、ハァ・・・。
そう、ただひとつ心配なのは、このように、「嬉しすぎておかしくなってしまう」自分である。イベントまでまだ1ヶ月近くあるというのに、既に興奮から動悸・息切れ・めまいといった症状が現れだし、「救心」の購入を検討中。今でさえこんな状態なのだから、当日、メンバーさんを目の前にして、挙動不審な自信が500%くらいあるのだ! トークで司会とか、できんのか?
それにしても、現役バンギャになったばかりの20年前、ライブに行くことで親に怒られ、学校に行かずに先生に怒られ、と嫌なことばっかだったのだが、20年経って何か「報われた」気持ちでいっぱいだ。「好き」のパワーって、すごい。きっとあなたの「好き」も、いつか報われるはずだ。私みたいに20年後とかかもしんないけど。
(写真)なんとなく日帰り旅行で行った名古屋で。
雨宮処凛(あまみや かりん)プロフィール
1975年北海道生まれ。小説家、随筆家、ルポライター、社会運動家。十代の頃よりヴィジュアル系バンドのおっかけ、「ミニスカ右翼」と称しての右翼活動、パンク・バンド『維新赤誠塾』、『大日本テロル』ヴォーカル、映画『新しい神様』出演など様々な活動の後、自身のいじめ体験、リストカット体験などを赤裸々に綴った『生き地獄天国』(太田出版)で文筆家デビュー。現在は生活も職も心も不安定さに晒される人々(プレカリアート)の問題に取り組み、取材、執筆、運動中。反貧困ネットワーク副代表、『週刊金曜日』編集委員、日本厚生労働省ナショナルミニマム研究会委員、他。師匠は作家の故・見沢知廉。自身の体験を元にビジュアル系のおっかけ少女の青春を描いた小説『バンギャル ア ゴーゴー』が講談社文庫より発売中。