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仔猫の肉球 / 雨宮処凛

2015.06.01   CULTURE | BOOK

小学館 / 1300yen

 新聞連載をまとめたエッセイ集。いじめ体験や自殺未遂、他人のふとした言動でぶり返す不安感が暴露されまくっている。ページをめくるたびに身に覚えのある恥ずかしいエピソードが続き、とてつもなく安堵した。助け合いの善意が自己責任論にかわり、道を踏み外した途端に正論で追いつめられる世界で子供達は感情を飲み込む。大人はどうするべきか?の問いに筆者は言った。「ダメな大人であれ」と。相談しやすいのはどうしようもなくてちょっとダメなのにそこそこ楽しそうに生きている人、惨めでダメな過去を語ることが今生きづらさに苦しんでいる人に一番効く…という所で笑ってしまった。確かに読後、この本の筆者になら自分の悩みを話してもいいかも…と思う人は多いはず。他者に抱かせるコミュニケーションの敷居がとことん低いのだ。見開き2ページで完結するのもポイント。生きづらさが最高レベルのときは長文など読めない。そう思うとこの本はしみじみとメンタルに優しい。(成宮アイコ)

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