Text by ISHIYA(FORWARD / DEATH SIDE)
流れに身を任せる柔軟さと、何にも縛られない自由さを持ち合わせ、葛藤を詩的に表現する抜群のセンスを持っていたJHAJHA
2026年7月25日、元LIP CREAMのボーカルで、その後JUDGEMENTでも活躍し、最近は桑名六道やジャジャ岩城として弾き語りでも活動していたJHAJHAが亡くなったと、友人から連絡があった。
6月23日に鉄アレイのKAKIが亡くなったばかりだというのに、連続の訃報で正直ダメージがデカい。
月イチの連載コラムで、2回続けて友人の訃報を伝えるなんて、いったいどういうことなんだ……。
KAKIは親友だった。JHAJHAは友人だと思っているが、先輩であり多大な影響を受けたボーカリストでありPUNKSだった。
LIP CREAMの生き様に、どれだけ影響を受けたか。その偉大で素晴らしくかっこよく、最低で最高なバンドのメンバーは、もうひとりしかいなくなってしまった。
2024年にLIP CREAMのPILLさんが亡くなり、BASTARD、JUDGEMENTのIIZAWAが亡くなり、2025年には一緒にライブに出演していたインドネシアのSERINGAIのリッキーが目の前で亡くなり、ASYLUMのGAZELLEが亡くなり、いつも被災者のボランティアに駆け回っていたゆかりちゃんが亡くなってしまった。
そして2026年になり、3月にGABBAが亡くなり、6月には大阪にあったライブハウスEGGPLANTのケイヤンが亡くなり、マレーシアのMAGNICIDEのIemが亡くなり、その後すぐにKAKI、そしてJHAJHA……。
この3年足らずの短期間に、あまりにも多くの仲間がいなくなってしまった。
いったい何が起きているんだ。あまりにも死にすぎている。俺には整理がつかない。
正直、ネガティヴな感情に持っていかれる。ダメだとわかっていても、どうにもならない。
今の世の中を見てみろ。こんなに酷い有様で、希望なんかひとつも持てない。弱者を見ようともせず寄り添うこともしない政治家たちと、何も変わらない人間が社会の大多数を占めている。
SNSでは文句ばかり。不平不満やストレスのはけ口として、片手でスマホを操作しながら誰かや何かを吊し上げて満足する。
戦争は絶え間なく続き、弱いものは弱いまま、強者の理屈で命を奪われ続ける。
金がねぇところには金は集まらず、金のあるところにだけ行きやがる。
そんな世の中なら、おさらばしたほうがよっぽど楽だ。よっぽど苦しまずに済む。
ああ、俺は何を言っているのだろう。そんなもの、ただの独断と偏見じゃないか。こんなことを書く必要などどこにあるんだ。
あまりにも混乱しすぎてまとまらない。俺の友人たちが俺に伝えてくれたと思っていたことは間違いなのだろうか。
どうしようもなく悲しくて寂しい気持ちに支配されてしまう。
それでも生きなければ、生きなければともがき、あがく。
だが、生きていればいいことがあるのだと信じ続けるのも疲れてきた。
心配させようとしているわけじゃない。大丈夫だから安心してくれ。
ただ、死んでいった者たちを思うと、ネガティヴな感情に支配されてしまう。
それほど、仲間の訃報が続いたことで混乱している。
生きることの苦しみに、抗ってきた仲間たちだ。その仲間がどんどん減っていく。みんないなくなってしまう……。
ありきたりの言葉しか出てこない。死んでいった者たちの分まで、あいつらが生きたかった一分一秒、一日一日を無駄にしない。
何度そう思えばいいのだろう。
俺がその気持ちを忘れてしまっているのか?
だからみんな死んで教えてくれているのか?
どうして俺はこんなにわがままな考えになってしまうんだ。
独りよがりも大概にしろ。
死をもって証明されるのは生き様だ。
JHAJHAはひねくれたやつだった。単純さとは縁遠い思慮深さがあり、ともすれば嫌味にすら聞こえるようなことも言う人間だった。
でもなぜか、親しみを感じていた。LIP CREAMのメンバーの中でも、JHAJHAだけは「さん」や「君」をつけずに呼び捨てだったし、年齢もひとつ上の同世代だと思っていた。
だが、亡くなったときに初めて実年齢を知った。全然先輩だったことを、死んでから知った。
それほど、生きている間に上下関係というものを感じさせない、細やかな心づかいを持った人間だった。
時には強く、時には弱く、そして流れに身を任せる柔軟さと、何にも縛られない自由さを持ち合わせ、葛藤を詩的に表現する抜群のセンスを持っていた。
LIP CREAMのときのJHAJHAのかっこよさは、ファッションやルックス、ステージング、歌詞、歌、その全てが、俺には絶対に真似のできないものだった。
他のメンバーも全員ベクトルが違う方向を向いていて、そのバラバラの個性がバラバラの方向のままひと塊となって怒涛のように押し寄せてくるライブに、かっこ悪かったものはひとつもなかった。
俺はLIP CREAMに学んだんだ。生き様というものを、PUNKとは何かというものを。
大きな声では言えない悪いことの先生でもあったしね。
どうしようもない気持ちが晴れない。だが、押しつぶされるわけにはいかない。
みんなから教わったことを胸に刻み、俺は生きていく。
生きること、それが最低限の愛だ。
さて、どうしようもねぇけど、クソみてぇな世の中だけど、生きてりゃそのうちわかるだろ。
イノチの全開。死人に口なし死に行く春。もっとおもしれェことあんだろ?
シンプルがあるだけだよなぁ、JHAJHA。
JUDGEMENT『シンプル』
ヘイあつらもこの狂った街で
シアワセ探してる
せっまい通りでハダよせシワヨセ
今日を探しているのさ
自分の仕事やコイビトの事
うじうじなやんでいるみたい
ぜんぶウソさ本当さウソさ
今すぐわらいとばせ(だけど)
シンプルでありたいのさ
シンプルがあるだけなのさ
ああ この街の空の上
とうとうまばゆい光が
全ての生き物の命が
原子のチリに分解される時
その時もテンパッタあいつ
うじうじなやんでいるみたい
その時もテンパッタあいつ
眠れず自分を探してる(だから)
シンプルでありたいね
シンプルがあるだけなのさ
シンプルでありたいね
シンプルに生きたいね
◉JUDGEMENTは、BASTARD解散後にギタリストのZIGYAKUを中心として1990年代前半に結成されたハードコア・パンクバンドで、疾走感と重厚感のある独自のハードコアサウンドを展開。「シンプル」は、2000年9月にHG FACTよりリリースされたEP『JUST BE...』に収録。同作のメンバーは、ギターがZIGYAKU、ドラムが元DEATH SIDEのMUKA-CHIN、ボーカルが元LIP CREAMのJHAJHA、ベースが元SCREAMING HOGのさくらという新たな編成だった。
【ISHIYA プロフィール】ジャパニーズ・ハードコアパンク・バンド、DEATH SIDE / FORWARDのボーカリスト。35年以上のバンド活動歴と、10代から社会をドロップアウトした視点での執筆を行なうフリーライター。


































































