Text by ISHIYA(FORWARD / DEATH SIDE)
社会とは別のところで生きているPUNKSだからこそ、行動や態度、生き様で示して伝えられることがある
2022年も終わろうかという師走も押し迫った頃、しばらく会っていない海外の友人がみんなと話したがっている、という話を親しい友人から聞いた。
そういえばその海外の友人は、FacebookやTwitterなどのSNSをやっていないので「年が明けたらメールでもしてみるか」と思っていたところ、年が明けるとその海外の友人が、俺に話があるとの連絡が入った。
「俺のメールアドレスは知っているはずなんだが、なんだろう?」
と思ったが、早速、新年の挨拶がてら久々にメールをした。
すぐに返ってきたメールの内容は、レコードリリースに関するもので、ブートレグ(海賊版)で儲けている人間たちへの批判や、近しい友人がブートレグを作っていて腹が立ったなどの内容だった。
そのあたりのリリースの話と、自分の新しいバンドやプロジェクトのこと、継続してやっているバンドに俺も仲の良い友人が加入したことなど、メールではあるがいろんな話をした。
その友人は尊敬する某海外老舗ハードコアパンクバンドのメンバーなのだが、90年代に入ると仲の良い関係になった。
彼は何度も日本に来ているのだが、コロナ禍のためにここ何年も日本に来ていない。
「俺はまだ日本に締め出されている」
と言っているので、コロナやワクチン接種の問題かと思い、
「日本はPCR検査を受ければ、ワクチンを射っていなくても入れるよ」
と言うと、
「俺はPCR検査を受けない」
と言うではないか。日本に来たいのに、なぜ検査すら受けないのかを尋ねてみると、さすがPUNKSという言葉が返ってきた。
「当局の命令には従わない。俺は自分の人生のために最善を尽くす」
「コロナはでっち上げでただの風邪だ」やら「シェディングでワクチンを射った人間から発せられるもので具合が悪くなる」などのトンデモ陰謀論が、俺の大好きなハードコアパンクバンドの人間の口から出てしまうかもしれないと、暗澹たる気持ちが擡(もた)げていたが、なんてことはない。ただのPUNKSとしての生き様を全うしているだけだった。
コロナどうこう以前に、国家というものが指示するものを拒否するというのは、全くもって理にかなった自然なPUNKSとしての生き方だと、改めて感銘を受けた。
今まで国家というものが国民に対して行なってきた行為は、人命軽視、人権無視による生命の搾取に他ならない。戦争などその最もたる、国家という権力による生命の搾取だ。
現在の岸田政権による日本政府は、貧困にあえぐ民間人や、コロナで逼迫した医療を放っておいて、軍事費を増大させるためにさらに税金を毟(むし)り取ろうとしている。
世界3位になろうという軍事費で軍備を固めて、何をする気だ? 憲法9条は、お前らのような人間が戦争を起こさないためのものなんだが? ああ、だから戦争をやりたい人間には都合が悪いんだな。
「隣国が攻めてきたらどうする?」という危機感よりも、俺はお前らのような人間たちが、隣国に攻め込まないかのほうが心配だし、危険を感じる。現状アメリカの犬の日本では、そちらのほうが現実的なのは明白だ。危機感を逆手に取られるな。
安倍政権時代から、権力の暴走を阻止するための決まりである憲法を、権力そのものが無視をして、閣議決定という仲間の寄り合いで決定して強引に進めるパターンを作り上げた。そんなことが許される国になってしまっている。
勝手に自分たちの都合のいいように憲法を無視して良いのであれば、国民が法律を守る必要もないだろう。通常の国であれば、国民が怒り狂って無法地帯と化してしまうところだが、この日本という国の国民は、ここまでされてもまだ従っている。
マスクをするかしないかまで、自分で決められない国民がいると聞く。国がマスクを外せと言えば外し、しろと言えばするようだ。もう「自分で考える」という、ごく普通のヒト科の動物としての営みすらできていない。「戦争に行け!」と言われたら、二つ返事で従う兵士が、すでに出来上がっているのか……。
こんな国民なら、憲法を無視しようが、コロナのための予算を軍事費に回そうが、岸田総理の息子が税金を勝手に使って豪遊しようが、税金をさらに毟り取り金持ちを優先しようが「こいつらは何でも言いなりになるから何も問題ない。どんどんやってしまえ」と思われても仕方ないだろう。
金はあるところから取れ。あるところから取った金を軍事費の増額に使うよりも、給食費を無料にしろ。子ども食堂などという民間ボランティアに頼るのではなく、国の政策として子どもの貧困問題の他にも、あらゆる貧困問題は、差し迫った重要で急を要する生命の危機だ。公園のベンチぐらい、意地の悪いデザインをやめて寝られるようにしてくれ。昼寝もできやしねぇじゃねぇか。
どうしてそこまで自分たちのことしか考えられない人間が、この国には増えてしまったんだろう? 弱者への思いやりはないのか?
「北朝鮮や中国などが攻めて来たらどうする?」などという、ありもしない不安を煽り、使いもしない役立たずの中古兵器をアメリカから買わされるために国民から税金を毟り取るなんて、まるで統一教会が「この壺を買わなければ地獄へ落ちる」と騙して、恐怖や不安を煽って売りつけてきた手口と、全く同じではないか。
攻めてくると言われている北朝鮮に、統一教会を通して税金から送金しているのが自民党だぞ? こんなバカな話があるか? 自民党が日本のことを考えていないのは、火を見るより明らかではないか。
宗教とは呼び難い詐欺集団の統一教会とここまでズブズブで、やり方まで同じただのカルト政党がこの国の政権与党であるのに、なぜその自民党を支持するようなおめでたい考えになるんだ?
ここまで舐められて馬鹿にされても、まだ従順に従い、クソ以下の新興宗教と全く同じやり方で国家を動かす政府を信用する国民。完全に異常だ。狂っている。
まずこの日本という国の政府が、今まで国民に対して何をしてきたかを考えてくれ。隅から隅まで、信用に値するものなどひとかけらも存在しないではないか。
単純にシンプルに考えれば、一体自分が何をすべきかが自ずと見えてくるはずだ。
少なくともPUNKSたちは、基本的に「国家」というものが信用できないと知っているはずだ。そして自らの思いを、行動として実践できる強さと勇敢さも持っているはずだ。
現在はインターネットで様々な情報に触れるのは簡単だ。しかし自分の生き方の基本を見失って、流されないように気をつけて欲しい。
社会的に虐げられている弱者や動物などの、被搾取者の視線や立場で物事に対峙し、連帯していく優しさと愛を持っているのも、PUNKSたちの生きている世界だ。
ガキの頃から社会とは別のところで生きているPUNKSだからこそ、行動や態度、生き様で示して伝えられることがある。少なくとも俺は、そんな人たちの背中を見て育ってきた。
アンダーグラウンドで蠢(うごめ)く人間の強さが、世の中の何かひとつでも変えられるなら、生きてきた意味もあるってものだ。
生命を軽んじる横暴に、立ち向かう勇気を持て!
BOB MARLEY & THE WAILERS『GET UP STAND UP』
目を覚ませ!
立ち上がれ!
お前の権利のために
目を覚ませ!
立ち上がれ!
闘いを諦めるんじゃない!
伝道師よ 天国が地球の下にあるなんて俺に言うな
あんたは知らないんだろう
価値ある人生の本当の意味を
黄金じゃなくても輝けるんだ
物語には語られない一面がある
お前には光が見えているんだ
お前の権利のために立ち上がれ! さぁ
目を覚ませ!
立ち上がれ!
お前の権利のために
目を覚ませ!
立ち上がれ!
闘いを諦めるんじゃない!
ほとんどの人は考える
偉大な神が天から降りて来て
全てを取り除き 誰もが天に昇れるはずだと
でももしも 価値のある人生を知れば
地上に意味を見出すはずだ
お前には光が見えているんだ
お前の権利のために立ち上がれ
目を覚ませ!
立ち上がれ!
お前の権利のために
目を覚ませ!
立ち上がれ!
闘いを諦めるな!
人生は君の権利だ
目を覚ませ!
立ち上がれ!
俺たちは諦めない
お前の権利のために
目を覚ませ!
立ち上がれ!
抗いつづけろ!
闘いを諦めるな!
主義主張のゲームは俺たちには通用しない
死ぬとイエスの名により天国へ行くなんて
俺たちはすでに気づいているんだ
全能の神はただの人間だと
お前も誰かを見下すときもあるだろう
でも常に全ての人を見下しているわけじゃない
俺たちには光が見えている
お前は何がしたいんだ?
俺たちは権利のために立ち上がる!今こそ!
目を覚ませ!
立ち上がれ!
朝だろうと
夜だろうと
お前の権利のために!
目を覚ませ!
立ち上がれ!
闘いを諦めるな!
◉ジャマイカのレゲエバンド、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの前身は、1963年にピーター・トッシュ、ボブ・マーリー、バニー・ウェイラーの3人で結成したザ・ウェイラーズ。1974年にウェイラーとトッシュが脱退した後、バンド名をボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズに改めた。「GET UP STAND UP」は、1973年にリリースされたザ・ウェイラーズの4枚目かつ最後のアルバム『Burnin'』に収録。
【ISHIYA プロフィール】ジャパニーズ・ハードコアパンク・バンド、DEATH SIDE / FORWARDのボーカリスト。35年以上のバンド活動歴と、10代から社会をドロップアウトした視点での執筆を行なうフリーライター。