異次元の常識 text by ISHIYA(FORWARD / DEATH SIDE)
国家に何をされても黙って何もせず、諦めきった無関心でいいのか?
2020年12月18日に、桜を見る会問題に関して安倍元首相が国会招致に応じる考えを見せたというニュースが流れた。
あれだけ「補填はなかった」と言っていたにもかかわらず、地検特捜部の捜査により虚偽答弁が発覚すると、政治資金収支報告書への不記載を公設第一秘書に認めさせて責任をなすりつけ、公設第一秘書の略式起訴という方向で地検特捜部は調整に入っているという。
虚偽答弁を強硬に主張した当の安倍本人は、国会招致にて誠意を持って対応し、陳謝する方向だというが、日本の首相を務めた人間でありながら「謝って済むなら警察はいらない」という日本語は知らないようだ。
これは知人同士の喧嘩などではなく、完全なる事件・犯罪であり、国民が納得のいく責任を取らなければならないのは明白な事実である。
略式起訴なんてものは、裁判も行なわれず罰金の支払い命令が下るだけで、首相の公設第一秘書であれば逮捕勾留もされないであろう。
謝るだけでは済まされない問題だというのに、12月20日の自民党・森山国対委員長への取材では、証人喚問にすら否定的というではないか。安倍は自らの虚偽答弁に対して、国民に謝る気すらないのである。
こんな政治を引き継ぐ、菅のような総理による政権が行なう愚策を支持することなど有り得ない。
安倍から引き継いだGO TOトラベルによって、コロナ拡大の片棒を担ぎ強行していたかと思えば撤回し、その理由については「素人だから専門家の判断に従う」とのたまう。
専門家がGO TOトラベルの実施時に、どれだけ言及していたかを無視する都合の良さだけでは飽き足らず、コロナ対策として政府が呼びかけている「4人以下での会食」を守らずに、8人で会食をしたことがバレると「国民の誤解を招くという意味で、真摯に反省している」と、あくまでも国民が誤解したためだと自らの非を認めることをしない。
安倍以来、そんな悪夢よりも非道な政権を続けさせているのは、私たち国民であることを自覚しなければならない。
1970年代に起きた、イギリスのパンクロックムーヴメントで絶大なる人気を博したバンド、THE STRANGLERS。
初来日時の東京公演で、「SOMETHING BETTER CHANGE」を頭からいきなり3回連続で演奏し、その後客席になだれ込み、暴れてブチキレるという伝説のライブを行なったバンドだが、その「SOMETHING BETTER CHANGE(何かが変わったほうがいいんだ、何かが変わるべきだ)」と連呼する歌詞は、何をやってもただ笑って拍手するだけの日本のオーディエンスへ向けたメッセージであったと思われる。
何をされても黙って何もせず、諦めきった無関心な日本人という姿は、現在その酷さを増していると言っても過言ではないだろう。
このままでは国家に殺される。悪夢のような自民党政権を終わりにすることで、何かが良くなることは確実だ。少しでも何かが変われば、今より良い状況になる。何かが変わったほうがいいんだ。何かが変わるべきなんだ。
今年はぜひともそんな年になってほしいと、心から願うばかりである。
SOMETHING BETTER CHANGE / THE STRANGLERS
お前が俺を見るときの
俺の身のこなしが好きじゃないのかい
俺の言うこと お前は気にいっていないのかい
俺が楽しんでるみたいにするのが気に入らないのかい
お前が叫んでも俺は気にも止めないんだ
何かが起こっている
今起こっているんだ
それが判るには お前はあまりにも何も見えちゃいないのさ
何かが起こっている
それは今起こっているんだ
待っている時間なんてないのさ
何かが変わったほうがいいのさ
何かが変わったほうがいいのさ
何かが変わっていくのさ
俺の踊りが気に入らないのかい、お前を苛立たせるかい
俺の服の型が気に入らないのかい
俺が楽しんでいるようなのが気に入らないのかい
お前の鼻に指を突き立てながら
何かが起こっている
今起こっているんだ
それが判るには お前はあまりにも何も見えちゃいないのさ
何かが起こっている
それは今起こっているんだ
待っている時間なんてないのさ
何かが変わったほうがいいのさ
何かが変わったほうがいいのさ
何かが変わっていくのさ
そう お前を変えるぜ
何かが変わったほうがいいのさ
何かが変わったほうがいいのさ
何かが変わっていくのさ
何かが
何かが変わったほうがいいのさ
何かが変わったほうがいいのさ
何かが変わっていくのさ
俺は言ったぜ
何かが変わっていくんだ
変わる 変わる 何かが変わっていくんだ
変わる 変わる 何かが変わっていくんだ
変化
メンバーは親日家のジャン=ジャック・バーネル、ジェット・ブラック、バズ・ウォーン。バーネルを中心として1974年に結成。1977年に『RATTUS NORVEGICUS』でメジャー・デビュー。以来、パンク・ムーヴメントの代表格、ニュー・ウェイヴの旗手として人気を博す。1990年に創設メンバーのヒュー・コーンウェルが脱退。2020年5月に1975年よりメンバーだったデイヴ・ポール・グリーンフィールドが71歳で死去。「SOMETHING BETTER CHANGE」は1977年発表の『NO MORE HEROES』に収録。
【ISHIYA プロフィール】ジャパニーズ・ハードコアパンク・バンド、DEATH SIDE / FORWARDのボーカリスト。35年以上のバンド活動歴と、10代から社会をドロップアウトした視点での執筆を行なうフリーライター。