消費税の増税は戦争に向かう足音だ
2019年10月1日に消費税が10%に引き上げられた。今どき福祉の充実に使うという嘘を信じている国民などいるわけがない。苦肉の策としてキャッシュレスポイント還元というシステムをでっち上げ、テレビやマスコミを使い躍起になって宣伝をしている。
少し前にあったマイナンバー制度。あんなものに登録する必要がないことは少し調べれば分かることだが、マイナンバーの失敗によって新たな国民監視システムが必要になった。消費税を上げることで、困った庶民たちがキャッシュレスポイント還元に飛びつくと「どこの誰が」「いつ」「どこで」「なにを」「どれだけ買った」かが分かるようになる。クレジットカードと同じ個人情報が必要なキャッシュレスポイントカードならば、それをすべて手に入れることができる。企業と国なんてズブズブだ。
煙草を吸う人間なら知っているtaspoや、東京で言うとSuicaやPASMOといった電車に乗るために必要なICカードの国家での使われ方を知っているだろうか? 居処が分からない容疑者を探す場合に、taspoを「いつ」「どこで」使ったかを調べ、近隣に聞き込みをするなんてことは当たり前の捜査。SuicaやPASMOの履歴を調べて「お前、昨日この駅で何時何分に降りてるけど、どこ行ったんだ?」と取り調べで言われるのも警察の常套手段。「悪いことをした人間が捕まるならいいじゃないか」、そう思う人間が増えれば「奴ら」にはしめたもの。
このまま格差が縮まることなく貧困に喘ぐ国民が大多数を占める国になれば、非正規労働者たちは職を失う。そこで必要なのが、憲法改悪による戦争のできる国づくり。貧困に喘ぐ庶民は安定収入が得られる兵士になるしか道が残されないほどに締め付けられていき、戦争で使い捨てられる生命の補充として使われる。戦争で国や企業は潤って借金も返済できる。ディストピアの出来上がり。トンデモ論の絵空事と思うかもしれない。しかし現実はそんな国であるアメリカが日本の手綱を引いているじゃないか。消費税の増税は戦争に向かう足音だ。右だの左だの罵り合って同じ穴の貉になっている隙に、そんな世界が出来上がっていく。戦争になってみろ、お前らが真っ先に殺されるんだ。
日本ハードコア屈指の名盤オムニバス・アルバム『GREAT PUNK HITS』の帯に書かれている「奴らを高く吊せ!!」という言葉がある。日本のハードコアパンクの歌詞によく出てくる「奴ら」という表現。「奴らって誰だよ?」という揶揄もよくされていた。「奴ら」がどんな存在かも分からないのか? ビッグブラザー(※)はすぐそこにいる。世の中を下から見上げ続けている俺たちが、今度は「奴ら」を高く吊るしてやる番だ。
※ジョージ・オーウェルのディストピア小説『1984』に登場する、一般市民を監視し独裁権力を振るうエリート階級の頂点にいる独裁者。
GISM、THE EXECUTE、あぶらだこ、LAUGHIN' NOSE、THE CLAY、G-ZETという日本を代表するハードコアパンク・バンドの音源を収録したパンク史に残る名コンピレーション・アルバム。1983年発表。
【ISHIYA プロフィール】ジャパニーズ・ハードコアパンク・バンド、DEATH SIDE / FORWARDのボーカリスト。35年以上のバンド活動歴と、10代から社会をドロップアウトした視点での執筆を行なうフリーライター。