ISHIYA 異次元の常識
経済が破綻した国で、経済を安易に回復できる方法が戦争だ
2019年11月に、千葉の幕張メッセで世界最大級の武器見本市が開催され、国内外の企業150社が出展した。
日本で世界最大規模の武器見本市開催は初であるが、それまでにも会場となった幕張メッセでは、過去2回、2017年6月と2019年6月にも武器見本市が行なわれていて、武器見本市が3回も開催された国は今のところ世界中にどこにもないようだ。
日本では1967年に「武器輸出三原則」を表明し、厳しい制約をしてきたのだが、安倍が総理に復帰した2014年以降、輸出を原則解禁している。
日本からも川崎重工や三菱重工などが、誘導ミサイル駆逐艦や水陸両用車といった、戦争でしか使い道のない武器を出展したという。
戦争がある限り、武器見本市に出展しているような軍需産業は永遠に潤い、一般市民と兵士たちが死んでいく。軍需産業や政治家、一部の富裕層以外の一般大衆の人間たちの生命が、金儲けのために虫けらのように扱われる。
武器見本市に出展もしているロッキード・マーティン社CEOのマリリン・ヒューソンは「中東や中国、北朝鮮の緊張がある限り、我が社の繁栄は続く」と言っているという。
9.11のあと、当時のアメリカ国防長官ラムズフェルドは「脅威を永遠に持続させよ」というメモをスタッフに渡したという。
こんな地震ばかりが起きる狭い国土に乱立する原発が、ただ電力のためだけにあるとでも思っているのか?
貧困を生み出す政策しかとらない安倍政権が、日本をなぜ貧困にしようとしているのかわからないのか?
経済が破綻した国で、経済を安易に回復できる方法が戦争だ。
「防衛のためには武器が必要」そんな軍需産業にケツを掻かれた政府の妄言を信じて戦争が起きれば、死んでいくのは何の罪もない人間や動物、自然たちだ。
世界の軍事市場は50兆円規模と言われている。日本でも2017年までの4年間で川崎重工、三菱重工、三井造船などの軍需大手株に買いが集中し、Jアラートの販売メーカーや武器を作る会社の株価が急騰した。
貧困と恐怖を作り出し、戦争を起こし、武器商人が儲ける仕組みの見本市が平和憲法を有する日本で行なわれている。
死ななきゃならないのは、俺たちなのか? 兵士たちなのか? それとも敵国の子どもたちか?
俺が日本最初のHIPHOPバンドと認識しているJAZZY UPPER CUTというバンドがある。『JAZZY UPPER CUT』というアルバムに収められている「DEATH TO THE WAR」という曲で「戦争だけが死ねばいい。戦争こそが死ねばいい」と、ボーカルのNOBUさんが唄っているのだが、武器を手に入れるならば戦争を殺す武器を手に入れろ。
殺すのは人間や動物や植物や空や海や山じゃない。戦争そのものを殺すんだ。そうすれば奴らは窮地に陥り、爆弾でもミサイルでもなく、幸せな営みが私たちに降り注ぐ。
JAZZY UPPER CUTはラップの桑原延享を中心に、石渡明広(gt)、早川岳晴(ba)、寒川光一郎(sax)、つの犬(ds)、スクラッチにDJ KRUSHが参加した大所帯バンド。90年代前半に活動し、わずかな期間で解散したが、2015年1月に一夜限りの再結成ライブを行なった。「DEATH TO THE WAR」は1992年に発表された唯一のアルバム『JAZZY UPPER CUT』に収録。
【ISHIYA プロフィール】ジャパニーズ・ハードコアパンク・バンド、DEATH SIDE / FORWARDのボーカリスト。35年以上のバンド活動歴と、10代から社会をドロップアウトした視点での執筆を行なうフリーライター。