異次元の常識 text by ISHIYA(FORWARD / DEATH SIDE)
ライブハウスを叩く政府や人間たちの行為は無知な暴力だ
2020年3月現在、世界中でコロナウイルスの影響が甚大になっている。
中国を除く世界の国々では、イタリアと韓国、イランが飛び抜けて深刻な状況だとテレビでは伝えられているようだ。
テレビというものを見ないのだが、コロナウイルスの影響が拡散されている頃に、俺がテレビで見た情報を個人的感覚でまとめると、感染者を増やさないために検査をしないという日本は、前述の3国と変わりはないのではないだろうか。
学校を閉鎖にするという政策を政府は行なったが、学校に行かなくなった子どもの面倒を見る家族のことは全く考えていない。
雀の涙ほどの保障を条件付きで行なうだけで、会社は閉鎖せず、フリーランスや自営業に対しては、同じ国民とは思えない対策を堂々と発表する始末である。満員電車やパチンコ店などの、感染のリスクが高い場所に関して規制することはなく、ライブハウスやスポーツクラブ、雀荘などを吊るし上げ、あたかも感染源がそこであるかのような報道で溢れている。
特にライブハウスへ対してのバッシングはかなり酷いもので、多くのイベントやライブなどが中止、もしくは延期となり、ライブハウスに携わるすべての人々への被害は計り知れないほど大きくなっており、「これぞ人災」というものの構築過程を目の当たりにしている状況だ。
原発事故当時の「風評被害」という言葉の使われ方はおかしかったが、今回のライブハウスなどへのバッシングに関しては「これぞ風評被害」だと自信を持って断言できる。
現在の日本が、世界でも稀有の無知な政府であることは間違いないが、その無知な政府を支持して、政権を維持させ続けている国民も無知であることに気づかねばならない。
そして、無知の集団が起こす集団ヒステリーのスケープゴートとして、ライブハウスが槍玉にあげられた。
俺が個人的に世界一のフォークシンガーだと信じて疑わない人物が、友川カズキさんだ。
その友川さんの「家出少年」という歌に「貧困が暴力なら 無知も暴力である 悔しき暴力である」という一節がある。
ライブハウスなどを叩く風評被害を広める政府やテレビを支持する人間たちの行為は、まさに無知な暴力である。
今の政権を存続させることが負の連鎖を生み、貧困という暴力を生む。
そうした悔しき暴力に抗わなければ、あなたの愛する者の生命は危機にさらされる。
無知の暴力が、狂気を伴い雪崩を起こそうとしている。次のスケープゴートはあなたではない保障などどこにもない。
一人一人の力がスケープゴートを無くし、狂気の雪崩を止め、貧困と無知が生み出す悔しき暴力を無くす。
心を向ける方向を見誤るな。
詩人・歌手・画家・競輪愛好家・エッセイスト・俳優など多彩な顔を持つ友川カズキは、1974年3月にシングル「上京の状況」でデビュー。代表曲は「生きてるって言ってみろ」、「トドを殺すな」、ちあきなおみに楽曲提供した「夜へ急ぐ人」など。「家出少年」は1977年11月発表のアルバム『千羽鶴を口に咬えた日々』に収録されたほか、1978年1月発表のシングル「八竜町の少年達」のB面にも収録されている。
【ISHIYA プロフィール】ジャパニーズ・ハードコアパンク・バンド、DEATH SIDE / FORWARDのボーカリスト。35年以上のバンド活動歴と、10代から社会をドロップアウトした視点での執筆を行なうフリーライター。