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トップコラム石丸元章「半径168センチの大問題」第8回「宇宙の大問題! 8分違いのパラレルワールドをめぐる奇妙な取材とその記録」

回「宇宙の大問題!  8分違いのパラレルワールドをめぐる奇妙な取材とその記録」

第8回「宇宙の大問題! 8分違いのパラレルワールドをめぐる奇妙な取材とその記録」

2019.03.08

 

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大江戸猫こと、わたくし石丸元章

 8分違いに別のパラレルワールドが存在するという、 「8分違いのパラレルワールド」の存在を取材し始めて、もうすぐ2年が経つ。

 ことの発端は2017年の初春ーー 存在しない"偽の1万円硬貨"を使用したとして、1人の男が逮捕されたのがきっかけだ。

 詐欺の容疑で逮捕されたのは、岐阜県の派遣会社の社員を名乗る30代の男性だった。男性は「北海道函館のコンビニで、買い物を装って存在しない偽硬貨を使用し、商品と釣り8500円をだまし取った」とされている。しかし、実際に使用されている500円や100円硬貨の偽物ならともかく、偽の1万円硬貨を使用するなどという犯罪が成り立つのだろうか。それが気になり、事件がテレビで報道された直後から、自分は取材に入った。2017年冬から春にかけのことだーー。

 警察によって公開された"偽硬貨"をみると、現実の硬貨としては存在しないはずの“昭和65年”という刻印がある。裏面には橋のような図柄があるが、それも日本国に存在する橋ではない。さらに、捜査機関が偽1万円硬貨を鑑定にかけると――高価な希少金属が使われるなど上質な材料で、鋳造技術も大蔵省造幣局と比べて遜色ないレベルだということが判明した。

 そもそも、精巧な“1万円”硬貨など、使い途がないようなものを一体誰が、なぜ作ったのだろうか。

 8分違いのパラレルワールドをめぐる、奇妙か物語はここからはじまる。

全ての始まりは、この記事を書いたことから始まった。『トカナ』2017年3月17日。.jpg 

全ての始まりは、この記事を書いたことから始まった。『トカナ』2017年3月17日。

 

 1人の人物が「これは実在する“8分違い”のパラレルワールドから混入してきた硬貨にちがいない」とSNSでコンタクトを取ってきたのだ。そしてからを取材することで、「昭和65年が存在する"8分違いのパラレルワールド"が存在するのではないかーー」という大きな疑念に到達する!

 取材したこととか一部始終は、ネットニュースの『TOCANA』に発表するのだが、なにしろパラレルワールドの取材である。自分は、好奇の目線を浴びることを避けて「大江戸猫」という別のライターネームを使用した。その時の当然の判断だ。

 ことはいわゆるオカルトめいた超常現象の取材である。自分がこれまで書いてきたカルチャーやドラッグとは現行の内容がかなり違う。そんなことを自分が書けば、「どうせ薬物にラリって書いているのだろう」と。誰にも相手にされなくなる危険性があるではないか。

 しかし、今自分は「8分違いのパラレルワールドが存在することを確信している」。それだけではないーー。8分違いのパラレルワールドをめぐる奇妙な話を、きちんとここに伝えることは、今のわたくしたちの世界にとって、意味があることだと。

 今回自分は、以来に2年をかけて取材して徐々にわかってきた「8分違いのパラレルワールド」について書こうと思うが、いったんここで時間を振り返りたい。かって発表した記事と重なるが、おつきあい願おう。

 

深夜のラジオで。海猫沢めろん先生と@東京FM.jpg

深夜のラジオで。海猫沢めろん先生と@東京FM

■8分違いのパラレルワールドは実在する!

 私たちが生きる世界とよく似た、別の世界が存在する――という話は、SF作品などで頻繁に語られる設定だ。あまたあるそうした架空世界の中で、“8分違いのパラレルワールド”は、その実在を示す証拠品や証言が一番多いパラレルワールドとされている。出会った証言者であり、そして今も匿名で取材に協力し、情報を提供してくれている女性は2年前の取材開始時期、次のように語っている。

「8分違いのパラレルワールドは、時間軸の“裂け目”をパイプにしてこの世界とつながっている異世界で、モノや人が行き来していることまで確認されている」

 そして自分は、「2つの世界を行き来した経験を持つ」という人物にも出会っている。最初は半信半疑だった。しかし、今はその話をここに書くことを躊躇しない。

 

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行き行きて原一男監督とパチリ!

■8分違いのパラレルワールドの誕生

 「8分違いのパラレルワールドが誕生したのは、昭和から平成にシフトするころ、つまり1988年~89年にかけてだと思います」 この世界と8分違いの世界を行き来しているというK氏は2年前に突然そう切り出し、かなり面食らったのを覚えている。この人は精神状態は大丈夫なのだろうか? 正気を保っているのだろうか....。

 しかしK氏は、こちらの目をじっと強く見つめて、こう言ったものである。

 「 わたくしたちの世界で判明した物理では、そのころ、宇宙の“時間の法則”を安定させていた暗黒物質に大きな物理的変異が起こり、時間軸が、まるで避けるチーズのように裂けてしまった。それが理由で、8分違いの世界とわれわれの世界が、チューブのようなもので通じてしまったのです」

 K氏は、まだ一言しか話し始めていないのに、自分はすでに息を飲んでいた。「わたくしたちの世界で判明した物理」そんな物理で宇宙を説明し始めたら、それは別の宇宙が存在するということを認めることになってしまうではないかーー。

 唖然として 数多くの疑問が湧いてきたのは当然だ。一方で、K氏への興味も湧いてくる、自分はしばし口をつぐみ、話を聞くことにした。

 

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MC漢さんと朗読会やりました@新宿紀伊國屋本店

 「世界が避けたのが、2011年ごろ。そしてそれはその瞬間から広く人々に知られることになったわけですが、東日本大震災との関係はよくわかりません。ただ、その時期に8分違いのパラレルワールドでも地震が起きており、異なった次元に存在する2つの世界の間を、重力が津波のよう行き来し、そのことが東日本大震災の被害を大きくしたのではないかという研究が、8分違いのパラレルワールドでは行われています」

 「ちなみに、8分違いのパラレルワールドとこの世界の関係ですが、どちらか片方が8分進んでいて、もう片方が遅れているという関係ではないそうです。説明してくれた“帰還者”によると、『2つの世界は、純粋に8分間だけ違っていて、でも早いでも遅いでもない。ただズレている』とのことです」

  ーーいったい彼は何を言い出すというのか! 取材を開始した2年前、自分はかなり驚いたのだが、しかし今はそこに驚愕もない。8分違いに存在するという奇妙なパラレルワールドをめぐる、その後のさらに取材の物語を、それでは書いていこうではないか。

 『Rooftop』にこれを書くのは唐突かもしれないが、他にも必然がある。ロフトプラスワンが存在する新宿歌舞伎町のビル地下二階の秘密。そしてロフトグループと奇妙な出来事の相似性相反性...。(次号に続く)

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花園神社隣の「ねこ善」ねこまつりは毎年、年に1日だけ。

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