MCハピネスとデスマッチに行った
なんだかんだとーー 今月も生きていた。
台風が過ぎたフェーン現象で、酷く暑い残暑の午後――親しくお付き合いしていた人が死んだ。これから、今日が通夜なんですよ。で、駅のホームで待ち合わせてて。
安井さんという人で。離婚して地獄のワンオペ育児を始めたときに、うんと世話になった雑司ヶ谷の向かいに住んでいたご主人で。享年78。
安井さんは脳梗塞を2度やってるんだけれど、お酒が大好きで、いつも緑色の篠焼のぐい飲みで「神渡」という信州の酒を飲んでいた。それでも2度目以降は飲まなくなっていたなあ。
さっき、おばさんと電話で話すと、ふと気づくと布団の中で死んでいたと。
デスマッチでキラキラ光るガラスをもらってきた。
という状況の中で、連絡が来るまで書いていたのは、わたくし脳出血になってからちょうど1年でーーということで。去年の今日、脳の動脈がブチ切れてしまい、自分はとある病院の集中治療室に運ばれた。
と、まあそれはいいとして、今夜の通夜が気になる。ネクタイ、ヨレてないかな。黒い靴はカビ生えてるんじゃないか。香典袋を買って来なければ。数珠はある。子供に一つ持たせるか。
恩人の葬式なのに、そんなことを気にしてる自分に呆れるが、葬式は儀式だから、そういうものなんだね。
胸に去来する安井さんへの気持ちは、例えば知らせを受けた昨夜とか、明日、焼き場から戻った独りの夜とかーーにかみしめたりするもので、そんなものをここで滔々(とうとう、と読みます)と語る作法は、自分にはございません。
MC漢さんと永山さんと朗読会
九州小倉へ行った
死ぬといえば、ブログで余命半年宣言をした『BURST』の編集長だった曽根賢くんだが、どうやら死なないらしい。
一説にはホスピスに入ったということで、こないだメールしたら、糖尿の数値が最悪でインスリンを常射することになったが、他は悪性腫瘍も血圧も何もなくて、ついには数値も平常範囲へ収まっちゃってーーついには病院を、アル中専門病棟へ転院し、元気に社会復帰に向けて奮闘しているそうである。詳しくは病者本人のブログをとうぞ。
退院後2ターン目のリハビリ計画書が来た。主疾患.脳出血。病巣.左視床。心身機能障害.右片麻痺。構音障害。筋力低下。高次脳機能障害。う、う、泣けるぜ。死ねえぇぇえ〜!
ときに、アル中がそう珍しい病気でないように、今日が1周年記念のわたくしの脳卒中も、まあそう珍しい病気ではない。たとえばglobeのKEIKOとか星野源の“クモ膜下出血”は脳卒中の仲間だし、K-1のミルコクロコップやラッパーのダースレイダーさんの“脳梗塞”も、いわゆる一つの脳卒中。ほか…今年デビュー組では天龍源一郎さん、美輪明宏さん、エスパー伊東さん、ミルコも今年ですね。
と、聞いても、他人のビョーキ系の話というのは、まるっきりの他人事に聞こえるもので、かくいう自分もそうだったわけだが、脳卒中は日本人の4大疾患の一つでもあり―――大丈夫、きっとなる。これを読んでいるあなたにもきっと来ル。どうか、これを読んだ人が全員が脳卒中になりますように。しかも1年以内に。
大麻の闘士高樹沙耶さんと高野政所さん
ネットが日常になっている生活が、ライターが書くことを変えたよなー、と思うのはこうした時で。だってこの瞬間に、目の前のスマホで簡単に1年前のその日のことを、振り返ることができる――。ツイッターを自分で振り返って、うんざりだ。集中治療室から出て、一般病棟へ移って数日のSNSを見ると、「病床にルルルルルルル秋の虫」とか5-7-5を作ってる。それなんかまだいい方。バカ丸出し。半身がマヒして、日常の動作や言葉が思うようにならないなかで、気持ちだけは“これまで通り”にしたいと思っていたのかな。
この「半径168センチの大問題」を読み返しても、軽口ばかり叩いてる。ふざけてるのかなーーよくわからないが...…でもそれがその時の切実な、どうしても言わなきゃならない軽口だったんでしょう、それか、脳が大きく損なわれた直後の影響で脳が機能してないか。わかんない。「第4回 脳卒中ナウ!これは本当に大問題!うあうあうあ... あう〜...」
太陽肛門スパパーンのライブ
菊地成孔さんと、目黒のバーで
やっぱりダイソーに、新しいお葬式のネクタイを買いに行こう。世話になった人のお葬式なのに100円のネクタイでいいのかーーという問題もあるが、気にしてたら葬式に行けなくなってしまう。
そういうわけで、今日の夜に出る予定だった阿佐ヶ谷ロフトの『ヤリマン五輪』へ忌引きの連絡をした。のみならず、明日ネットメディ『TOCANA』で予定してた"精子食"のクッキング&試食も忌引き。ちなみに精子食てのはーーなんか最近、精子は生命に必要な豊富なホルモンをふくんだ物質として注目されているらしくて。欧米では、保存して食べるための成分を損なわない殺菌〜調理法〜レシピまで詳細なメソッドが確立しているんだって。その実践の会を記事にするというそういうあれで。だからうちの冷凍庫の中には、できるだけ多くの素材を提供してくれということで、この1ヶ月半くらいの間に、出しては指定の方法で保存→冷凍していた自分の精子が冷凍されている。どーすりゃいいんだよ、それ。
雑司が谷みちくさ市
10月21日に阿佐ヶ谷で3人でイベントやります。ロマンさんと姫乃さんと。
そういうわけでーー去年、自分が脳卒中になって、退院してから安井さんちへ行って、で、かくかくシカジカ... と話したら、「へー!誰が病気になるかなんて、わからないもんだねえ〜」などとやりとりして、今これ。
人の死はいずれ後先。誰が死のうが、どの道いずれ自分もあの世に行くんだから待っててくださいよ、といつもは人の死で心が揺らがないのだが、今は揺らいでる。
おばさんに聞いたら、今、安井さんは斎場の冷蔵庫にいるんだって。おお、自分の精子は冷蔵庫の中だ。生と死が、季節が変わろうとする9月の終わりに冷蔵庫の中で交錯したーー。秋だ。空高くヘリコプターの音が響いてる。
『バースト』の新しいの。書いてる