第18回「同じ女性(ひと)と朝から何度もすれ違ってる...的大問題」

2020.01.03

石丸元章「半径168センチの大問題」

新生姜の岩下和了さんは、友達だから

　もっと飲みたい酒飲みたい、なんでもいいからアルコール飲みたい。ビール飲みたい。金麦飲みたい。でも無駄だから〜無駄だから〜、もう寝るだけだから意味ないから。それでも飲みたいたまんない。でもガマンだから〜我慢だから！と、――この年末を、アルコール問題で苦労して過ごしている。ふ、飲みたいんです。昼だけど今飲みたい、電車の中なんだけど、降りてすぐ飲みたい。

　これはもう依存系炸裂というか…。昨夜もそうだった。

　がぶがぶごぶごぶ。飲んでも飲んでもまだ飲める。忘年会は飲み放題だからね。皆と飲むって楽しいんだ。笑ってさ。気持ちが解放される。言いたいことを言う。遠慮なく飲む。おいしい。愉しい。酔えば酔うほど良い気持ちになって、げらげらと笑い、もっと時間があればなあと、宴が終わり皆と別れ、終電で家にたどり着いて。そのあとも余韻に浮かれて一人の部屋で缶ビール開けたくなっちゃって、1本目を開けると2本目、3本目と開けたくなっちゃって…だからそれ健康もお金も時間も――それはもう無駄だから。人生のすべてに対しての浪費だから。がく。

　なんとか耐えて翌朝を迎える。と、このように苦労している年末ではあるが、しかし‼　自分は、覚せい剤中毒を克服した人間です。覚せい剤がガマンできてしまうわたくしに、できないガマンなどない。と、言い聞かせて、うう半泣きで缶ビールの1本を我慢している。永久指針―『我慢。』押忍。

上野公園でウーバーイーツ頼んだ

☆

　と、昨夜を振り返りながら地下鉄の改札から階段を上がりながら「ハッ！」としたのだが、今すれ違っていった人…女の人なんだけれど、朝から何度もすれ違っている同じ人だ。同じ人と今朝から何度もすれ違っている！見間違えじゃない。どういうことだ―― 黒いダウンで髪は茶色。それは痩せて表情がない女性で。最初に気になったのは山手線の車内なのだが、青信号の交差点、地下鉄の階段と…そして今また交差点ですれ違った…謎だ。

アベマやりました

　ふ。自嘲するが――

　年が明ければ数えで55歳になるわけだけど、一日に何度も同じ人とすれ違ってしまう仮想というか、空想というか、妄想を現実に生きているのだから、けっきょく俺ってメンヘラおじさんなのかなNNNNhhHHHHHOOOOO〜〜!!! 誇れないよ。ソラナックスとかレキソタンとかSSRIでもSNRIでもリフレックスでもなんでもいいんだ、なんかくれー的なメンヘラみたいなこと言ってる場合じゃなくて、降圧剤（=血圧を下げるクスリ）をオーバードーズして上88下53だった今朝。死ぬぞお前！メンヘラおじさんは永遠に不滅です。

何年か前のプリクラが出てきた

☆

　リストカットしてみたい。

　思うのは――楽しい忘年会を終えて一人暮らしの部屋に帰った後、酒が飲みたくなるのとデパスが飲みたくなるの、どっちが病んでいるのだろう。わかんないけど、デパスかな。だって味ないもの。舐めていると最初糖衣の甘い味がして、そして苦い味になり…そして薄氷のような壊れかけの安心がやってくる。聖一夜夢の名残のラジヲかな。

　メンヘラが好きなんです。腕にデザインされて入ったカットの跡。多けりゃいいいいいいいいいってもんじゃない。横・横・斜め。病んだ心の傷跡を上手にデザインして見せる女の子に引き寄せられてたまらない。そこで思うというか、オノレニ言い聞かせる、ジジイのリストカット汚い！斬りたいんだけどおおお。おおおお。

CBDのワックス

☆

　ちょうど今、自分は脳卒中の退院から1年で――体調もよく、洋酒を飲む機会が増えた。飲めるようになってきた。で、自分でジョニ赤を買ってみたら、やっぱり旨かった。死ね死ね死ね死ね死ね〜。全員死んでしまえ、バカ野郎このやろう。と叫びながら練り歩いてる。年末て最高だから。フォーエバー師走。そして酒って最高だ。向精神薬よりずっといい。覚せい剤より、もっともっといいずっといい…と言い切って見せるこの年末2019。一晩の死の床に着く暮れノ夜。