良からぬ事件や事故が続く日々、元気にサバイブしてますか? 旧き良き時代のアーティストを振り返りつつ、もしも現代に甦ったなら……を妄想する当連載、何と今回はアメリカから書いております! サウス・バイ・サウス・ウェスト(通称サウスバイ。以下SXSW)という全米、いや世界一の音楽見本市(テキサス州オースチンの市街地全体で繰り広げられるサーキット・イベント)に、何とスターベムズも出演させていただいた次第。世界中の、そしてジャンルを超えた刺激的な音楽の集いはエキサイティングでありました(過去にここで取り上げたスパンダー・バレエも出演)! 今回はSXSW出場者の中でもかなり古株になるであろうゲイリー・ニューマンを取り上げましょう。
1976年にチューブウェイ・アーミーというNEW WAVEバンドでデビューした彼は、PUNK全盛期に先鋭的なシンセ・サウンドを駆使してヒットを飛ばし、79年のバンド解散後ソロとして発表したシングル『カーズ』が世界中で大ヒットして一躍その名を知られたエッジィなミュージシャン。爬虫類のような妖艶なルックスと、中性的な声はかなり個性的で、本当にサイボーグなんじゃないかと思わせる妖しさで人気を誇りましたが、80年代半ばにメジャー契約を失ったり、バンドメンバーの不慮の死など不幸が続き、いつの間にか『カーズ』の一発屋のような扱いを受けるようになってしまいました……。
しかし90年代に入ってマリリン・マンソンがゲイリーのカヴァーを発表したり、2000年代にはナイン・インチ・ネイルズが彼をライブに招いてセッションする等、ゴシックやインダストリアル系のアーティストから再評価を受けて復活! 色白で不健康そうだった80年代に比べると、マッチョで健康的なルックスになり、しかもロスに住んじゃうという超健康志向な現在のゲイリー・ニューマンは、当時を知らない新たなキッズを獲得して息を吹き返しました。サウンドもロック寄りになっていますが、ゴスな魅力は健在で、ルックスも含めて、ある意味ラルク・アン・シエルにも似た指向性になっているとも言えるのが2010年代のゲイリーの現状です。
今の彼も充分魅力的ではありますが、全盛期も観てきた筆者としてはここはやはり……クラブ寄りなサウンドも鳴らしてほしいところ! 勿論、クラブMIXやリミックスも多数存在するので、フロア対応はバッチリなのですが、オリジナル曲はいかんせん『カーズ』以外、ダークで地味な印象が強いので……ここはひとつスクリレックスやスティーブ青木みたいなパーティー仕様バリバリのDJとコラボするとか、カルヴィン・ハリスみたいな歌物系のDJと作る新曲とかも良さそう! ライブハウスにもクラブにも対応出来れば、そのキャリアの長さも含めて無敵な存在になりそうだし……俺も良い歳だから色々トライしてみよ〜っと。
ヒダカトオル
1968年6月5日、千葉県生まれのB型。働きながらインディー・デビューした元リーマン・ロッカー。
1997年BEAT CRUSADERS結成、2010年散開。BEAT CRUSADERSで活動中から数々の楽曲提供やプロデュースも行ない、木村カエラ、高橋瞳、メロン記念日ら女性陣のバックアップから、GOING UNDER GROUND、磯部正文等、男性アーティストのプロデュースを手掛ける。
2010年10月にはMONOBRIGHTと結婚(電撃加入)、2012年離婚(脱退)。2011年には“A.O.R”をテーマにヒダカトオルとフェッドミュージックを結成、2012年岩手のイベントで有終の美を飾る。
そして、2013年、新バンドTHE STARBEMSが始動!
http://www.thestarbems.com/
http://www.hidakatoru.com/