ゴーストライター騒動やソチ五輪でのメダル・ラッシュに沸いて、何とな〜くうやむやになっちゃったけど……都知事選の結果はいかがでした? SLANGのKOちゃんもFacebookで書いてたけど「◯◯党だから嫌」「右だから嫌、左だから嫌」はもはや古い価値観であって、具体的な対策をとことん話し合える環境を作っていかないとアカンのでは? という時代に突入しましたな……ネットのおかげである程度の事は調べられるし(真偽の見極めは必要だけど)、イデオロギーだけで対決出来る時代じゃないと気付いてるかどうかで、意見も溝もパックリ別れるわけです……そんな時代を先取り? していたかのように、都知事選にいち早く立候補したミュージシャン、内田裕也御大の音楽遍歴を振り返りつつ、21世紀に必要とされる音楽のパワーについて考えてみましょう。
四十路の我らもリアルタイムで出会った裕也さんは『戦メリ』とか『コミック雑誌なんかいらない』等の映画出演……80年代の事なので、その膨大なキャリアの半分位なわけですよ! 50年代には既にウェスタン・カーニバル(今で言うフェス)に出てるので、半世紀以上に渡って音楽界を牽引する、まさに大御所。ジャズ、ロカビリー、GS、そしてロックンロールとJ-ROCK黎明期の最前線にいた人であり、当時は和製のカヴァー曲が多い中、堂々と英詞で歌ってた先駆者でもあるし(当時はっぴいえんど一派と日本詞/英詞対決を繰り広げた)、ジュリー(沢田研二)のいたタイガースや、不世出のVo.ジョー山中らを見出し、生前のジミヘンやジャニスを生で鑑賞したかと思えば、ついには日本屈指のコメディエンヌにして大女優の樹木希林を妻にする大胆さ! 破天荒なようでいて実は、その後も長く愛される事になる芸術を見抜く、確かな審美眼を持った天才プロデューサーでもあるのです。
自身のフラワーズも、その後プロデュースに徹するフラワー・トラヴェリン・バンドもサイケでカッコ良いのですが、ソロ名義で出した80年代のアルバムで聴かせる、ロッカバラード的な渋い路線がやはり裕也さんの真骨頂。やんちゃを繰り返し酸いも甘いも噛み分けた男の切なさが満載で、Vシネマやゴッドファーザー的なEMOさを感じさせます。勿論、現在も続く往年のシェケナベイベー感(シンプルなロックンロール)も十八番なので、それらを加味した上で、今もし新たにソロをリリースするのなら……ポリティカル・ハードコアなんてどうでしょう!? ディスチャージやG.B.H.のような初期ハードコアの荒々しさは、裕也さんのクールかつポエトリーな歌唱法にも合いそうだし、言いたい事を字数気にせず詰め込んで速射出来るPUNKスタイルで、ぬるい世間に喝を入れて欲しいもんです。合間にロッカバラードなんか挟んだら、更にEMOさもアップ! 想像しただけでもカッコ良さそう!
(日高 央)
ヒダカトオル
1968年6月5日、千葉県生まれのB型。働きながらインディー・デビューした元リーマン・ロッカー。
1997年BEAT CRUSADERS結成、2010年散開。BEAT CRUSADERSで活動中から数々の楽曲提供やプロデュースも行ない、木村カエラ、高橋瞳、メロン記念日ら女性陣のバックアップから、GOING UNDER GROUND、磯部正文等、男性アーティストのプロデュースを手掛ける。
2010年10月にはMONOBRIGHTと結婚(電撃加入)、2012年離婚(脱退)。2011年には“A.O.R”をテーマにヒダカトオルとフェッドミュージックを結成、2012年岩手のイベントで有終の美を飾る。
そして、2013年、新バンドTHE STARBEMSが始動!
http://www.thestarbems.com/
http://www.hidakatoru.com/