2013年もお世話になりました! 45歳のオジサンが「過去のアーティストを現代に蘇生させるなら」を想像する変態のようなこのコラムですが、果たして無事に年越し出来るのかいな? ってなわけでBAND解散後も長きに渡って語り継がれ、虎のように死して皮を残したルー・リードと共に、いまだ音楽界に絶大な影響を与え続けるヴェルヴェット・アンダーグラウンドをテーマにして、永く愛される秘密を解剖してみましょう。
1964年の結成なので間もなく半世紀! 大英帝国からビートルズ旋風が吹き荒れる中、フォークやアートが咲き乱れるNYにて中心人物ルー・リードとジョン・ケイルが意気投合して始まった彼らは、ポエトリー・リーディング的な歌唱や、女性ドラマーのモーリン・タッカーによる変則的なスタンディング・ドラム、ノイズ交じりのガレージな演奏等ちょっと風変わりなサウンドで、ポップアートの元祖アンディ・ウォーホルに見初められレコード・デビューを決めます……。しかもウォーホルの勧めでモデルのニコをサイドVo.に据えて、誰しも一度は目にした事がある有名なバナナ・ジャケで! 結果的にヴェルヴェッツのサイケ感と、ニコのダークな魅力は強力に合体して、ジャケも含め傑作アルバムを生み出すのですが、あまりにも早過ぎたアート性により当時は殆ど評価されませんでした。
ウォーホルやニコと離れた2nd以降も世間的に大きな評価を得られぬまま解散してしまうのですが、先ごろ惜しまれつつ逝去したルー・リードがソロでのキャリアを成功させると共にヴェルヴェッツの評価もうなぎ上りに。かの偉大なる画家ゴッホが死後に評価されたように、解散後みるみるうちに伝説化していったロック界でも稀有な存在がヴェルヴェット・アンダーグラウンドです。
そんな彼らがその後の音楽界に与えた影響が非常に大きいのには様々な理由があると思いますが、まずは「音楽界初の試み」がとても多いという事……ロック界にノイズを持ち込んだり、セックスや薬物などタブーとされていた過激な内容を堂々と表現したり(とてもポエティックだけど)、女性ドラマーの先駆けでもあるし! そして最大のポイントは、そんなエクストリームな表現とは裏腹に楽曲がとてもPOPだという事でしょう! わざと崩した歌い方こそ独特ですが(多分にボブ・ディランの影響も強いかと)、カヴァーなどで他人が歌うヴェルヴェッツはとても優しくメロディアス。大いなる実験性の裏に隠されたPOPさは、下積み時代のルーが職業作家として働きながら得た音楽基礎が、実はとても反映されていたのだと思います。もしアナタが21世紀のヴェルヴェッツになりたければ、基礎と先端の両方を同時に体現する事が必須かもしれません!
ヒダカトオル
1968年6月5日、千葉県生まれのB型。働きながらインディー・デビューした元リーマン・ロッカー。
1997年BEAT CRUSADERS結成、2010年散開。BEAT CRUSADERSで活動中から数々の楽曲提供やプロデュースも行ない、木村カエラ、高橋瞳、メロン記念日ら女性陣のバックアップから、GOING UNDER GROUND、磯部正文等、男性アーティストのプロデュースを手掛ける。
2010年10月にはMONOBRIGHTと結婚(電撃加入)、2012年離婚(脱退)。2011年には“A.O.R”をテーマにヒダカトオルとフェッドミュージックを結成、2012年岩手のイベントで有終の美を飾る。
そして、2013年、新バンドTHE STARBEMSが始動!
http://www.thestarbems.com/
http://www.hidakatoru.com/