おかげ様でスターベムズのデビュー・アルバム『サッド・マラソン〜(長いので以下略!)』も各地で好評&オリコン26位にチャートイン! ありがと〜&引き続きレコ発ツアーも張り切るドなおじさんミュージシャンがお届けする「過去のアーティストを現代に蘇らせるなら……」なゾンビ的コラムも絶好調。今月は思いっきりマニアックに攻めるド……フェイス・トゥ・フェイスじゃ!
しかもフェイス・トゥ・フェイスと言っても、NOFXのファットレック・コーズから出てたメロディックPUNKのフェイス・トゥ・フェイスじゃないよ……80年代に『10-9-8』って曲が若干ヒットした(ビルボード30位とか。今回のスターベムズと一緒だお)ファンキーな女性Vo.をフィーチャーした、いわゆる一発屋さんです。ここでひとつレッスンをば……「ありがちなBAND名は、被り易いから気をつける」!
紅一点のローリーをVo.に配した80年代フェイス・トゥ・フェイスは、多くの70年代後半のBANDがそうだったように「80's」という時代の波に乗り、ニュー・ウェーブなサウンドを構築していったようですが、元々が70年代に青春を送ってるわけですから、随所にハードROCKやFUNKの香りを出しています……そこが逆にいなたさを醸し出していて、イマイチ垢抜けない印象を与え、結果「一発屋」の座に甘んじているようですが、王道な美メロやリフは勉強になるポイントも多いので、ミュージシャンを志す人間なら聴いておいて損は無い完成度。
もし俺がフェイス・トゥ・フェイスを現代に蘇らせるなら、Vo.にビョーク的硬軟自在な歌い方を体得してもらい、大仰なメロを縦横無尽に歌い上げる方法を取ると思います……ファルセットや低音を駆使したりしてね。そうすると多少「クサい」楽曲でも熱さやEMOさが倍増するし、後年に聴いても印象が良い場合が多いのです。
とか何とか偉そうに書き連ねましたが、「一発屋」とて侮るなかれ……このフェイス・トゥ・フェイスのその後がなかなかスゴいのです……。Vo.ローリーは、2弦ベースのJAZZYなROCKでお馴染みモーフィーンのメンバーと組んだ「トゥワインマン」というBANDで元気に活動中。ドラムのビルはイベンター業を営みながら、ザ・ザやエイミー・マンのセッションマンらと共にセッション・アメリカーナを結成し活動中。そしてリーダーだったスチュアートはボブ・ディランのツアー・ギタリストを、鍵盤のアンジェロは何とキングス・オブ・レオンのプロデュースでグラミー賞を受賞! どうです、この華々しいキャリア!? もしフェイス・トゥ・フェイスが軌道に乗ってしまっていたら、現在の音楽活動とは確実に違う道を歩んでいたかもしれませんねぇ……もしかしたらもっとビッグになっていたかもしれないけれど、音楽業界の荒波に揉まれて心も体も荒んでいたかもしれません。現在の彼らはとても楽しく充実した音楽人生を歩んでいるように見受けられるので、やっぱりこれで良かったのかも。
ヒダカトオル
1968年6月5日、千葉県生まれのB型。働きながらインディー・デビューした元リーマン・ロッカー。
1997年BEAT CRUSADERS結成、2010年散開。BEAT CRUSADERSで活動中から数々の楽曲提供やプロデュースも行ない、木村カエラ、高橋瞳、メロン記念日ら女性陣のバックアップから、GOING UNDER GROUND、磯部正文等、男性アーティストのプロデュースを手掛ける。
2010年10月にはMONOBRIGHTと結婚(電撃加入)、2012年離婚(脱退)。2011年には“A.O.R”をテーマにヒダカトオルとフェッドミュージックを結成、2012年岩手のイベントで有終の美を飾る。
そして、2013年、新バンドTHE STARBEMSが始動!
http://www.thestarbems.com/
http://www.hidakatoru.com/