スターベムズの限定デビュー・シングル(お、こう書くとアイドルみたいだぞっ!?)『FUTURE PRIMITIVE e.p.』も好評いただいているオジサンのコラムが今月も登場! 来月にはデビュー・アルバムも控えてるので、今月も「温故知新なアーティストを現代に蘇生させるなら」な当連載も気合いを入れてお届け……いや、いつも気合い入れて書いてるんだけどね!
今回は初の女性アーティストを取り上げます……その名もカースティ・マッコール。名前は知らなくとも、ちとPUNKカジった連中ならばザ・ポーグスの大名曲「ニューヨークの夢」でシェーンと美しいデュエットを披露している歌姫と言えばピンと来るかな? 英国フォーク界の重鎮イワン・マッコールの娘として成長した彼女は、やはり天才の遺伝子が受け継がれていたのか、元々ローカル・バンドのコーラスだったのに、その才能を見抜いたスティッフ・レコード(ダムドやエルヴィス・コステロを輩出)によってソロ・デビューを果たします。しかも作詞・作曲も自ら手掛け、自身の曲『ゼイ・ドント・ノウ』は後にトレイシー・ウルマンのカヴァーで世界的にも大ヒット!
そうかと思うと英国ワーキング・クラスのフォークPUNX、ビリー・ブラッグの『ニュー・イングランド』をカヴァーしてヒットさせたり、前述のトレイシー・ウルマンのプロデュースやポーグスとのデュエットを始め、界隈のミュージシャンのフックアップまでこなす、まさにスーパー・ウーマン! 日本で例えるならユーミンや林檎ちゃんの感じに近いでしょうか? しかも当時の旦那さんはザ・スミス等のプロデュースで知られるスティーブ・リリーホワイト。その縁もあってかロバート・プラントやハッピー・マンデーズなど錚々たるメンツのレコーディングに参加し、その美声でバック・コーラスを務める等、人脈的にもまさに80年代英国音楽の中心にいた才女なのであります。しかし13年前……家族とバケーションで訪れていたメキシコでスキューバを楽しんでいた折、ボートに轢かれそうになった子供をかばって非業の死を遂げます……享年わずか41歳……。
才能溢れるゆえに裏方的な仕事の方が評価を得てしまった、まさに無冠の女王とも言えるカースティ・マッコール。オールディーズ的な懐メロ感とニューウェーブなアレンジを合体させ、独自のギターPOPをクリエイトした彼女が、もし21世紀の現代に作品を出すなら……まずはアイドルのプロデュースでしょう! 俺でさえBiSに楽曲提供させて貰える昨今、競争や棲み分けが激化するアイドル戦国時代に、カースティの描く人懐っこいメロは女性Vo.との親和性も高いから同性からの支持もゲット必至。後に自身でカヴァーすれば、本物のクオリティにリスナーも圧倒されるハズ! 同性受けの悪い人は是非お試しあれ〜♪
ヒダカトオル
1968年6月5日、千葉県生まれのB型。働きながらインディー・デビューした元リーマン・ロッカー。
1997年BEAT CRUSADERS結成、2010年散開。BEAT CRUSADERSで活動中から数々の楽曲提供やプロデュースも行ない、木村カエラ、高橋瞳、メロン記念日ら女性陣のバックアップから、GOING UNDER GROUND、磯部正文等、男性アーティストのプロデュースを手掛ける。
2010年10月にはMONOBRIGHTと結婚(電撃加入)、2012年離婚(脱退)。2011年には“A.O.R”をテーマにヒダカトオルとフェッドミュージックを結成、2012年岩手のイベントで有終の美を飾る。
そして、2013年、新バンドTHE STARBEMSが始動!
http://www.thestarbems.com/
http://www.hidakatoru.com/